無償の愛

僕のイメージする家族は
無償の愛で溢れる空間だと思ってた
どれだけ勉強ができなくても
どれだけ失敗しても
手を差し伸べてくれるような
背中をおしてくれるような
時には抱きしめてくれるような
そんなイメージだった

でもみんながみんな
そうじゃないことを知った
無償の愛なんてものはなかった

どうすれば愛されるのだろう
自分を愛せば 他人に愛される人間になる
誰かが言っていた
こんな僕も昔は僕が大好きだった
嫌う要素もなかった
見た目も中身も全て大好きだった
自信に満ち溢れていた
でもそうじゃないと世の中に教えられてから
僕は今の僕になってしまった

未だに僕は僕のままだ
あんなにも愛していたのに
愛されない
それは僕が出来損ないだから

僕には兄弟がいる
とても優秀な兄弟だ
勉強もできて
顔も誰もが綺麗というくらい整っていて
男女問わず仲良しでみんなに好かれて
親からも愛されて

僕はといえば何もかも真逆だ
顔も「誰に似たんだろうね」
と親に言われるほど似てなくて
性格も真逆で
勉強も必死に頑張ったけど
兄弟のようにはなれなくて
なんで同じように育ててこんなに違うのって
親がよく口にしていた
ほんとその通りだ
なんでこんなにも違うんだろう

僕は幼い頃
兄弟とは違って
手のかからない子だったらしい
それだけはいつも褒めてくれた
兄弟はかまってちゃんでほっとけなくて
僕は放置してても大丈夫だったそう
だからかな
兄弟はとても甘え上手で
僕は甘え下手だ
本当は甘えたくて仕方なくて
今でも必要とされたくて愛されたくて
でも何もかも兄弟に奪われてしまう

今までは仕方がないって流してた
でも大人になって
どんどんと頭に言葉が浮かんだ
大人になって
たくさんの言葉を覚えて
たくさんの人を知ったから
だから最近はダムが壊れたように
感情が漏れ出してしまう
今まで心に秘めていた感情が全て
でも結局それをしても僕は1番にはなれない
やっぱり僕は1番にはなれなくて
たぶん何をしても
何を伝えても
僕は一生このままなんだろうな

一日だけでいい
僕だけを見てほしい
兄弟を透かした僕じゃなくて
僕だけを
そう願って叶わないまま
相変わらず毎日が進んでいく

人はそう簡単には変わらない
本当その通りだ
僕もあなたも兄弟も

僕は素直になれないし
あなたは相変わらず僕の中は見てなくて
兄弟は自分のことしか興味がない

ただ愛して欲しい
僕を見てって言うだけなのに
それができない
どうせ伝えたところで
その時しか生まれない
自然の愛じゃないことが見えてるからかもしれない

僕は愛する人のためなら
何でもしたいと思う
困ってたらすぐに駆けつける
お金とか時間とかどうでもいい
できることはできる時に何でもしたい
そういう感情が生まれるのが
好きっていう感情だと思ってた
違ったのかな
言われたことに従うのが愛なのかな
自分で考えて伝えるものじゃないのかな
わかんないや

好きって言ってって言われていう好きじゃなくて
好きって言われたいだけ
ただそれだけなんだけどな
愛されている実感なんてものは
難しいのかもしれないけど
愛されたいよ

愛されてないわけじゃないのもわかってる
ただ
無償の愛が欲しい
決まった愛とか
他人や世の中、形が決めた愛じゃなくて
あなたの愛が欲しい

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