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検索順位で業績が予想できそうなGameWithの一本足打法的ビジネスモデルとSEO

GameWithに上場承認下りましたね。

早速決算情報を見てみました。

直近の主要顧客が掲載されていますが

直近1年の売上が約10億なので、ほぼこの2社で占められています。

以前エキテンというメディアを運営するデザインワンジャパンが上場した際にGoogleから1億の売上がある記載がありましたが、規模が相当異なります。

こういったネットワーク型の広告が売上のメインになっている企業は多いものの、このモデルで上場承認が下りたというのは珍しい気がします。

インターネットのサービスのビジネスモデルは

・掲載課金(タウンワーク、suumo)
・アフィリエイト課金(HOME'S賃貸、じげんの各メディア)
・クリック課金(indeed、Google)
・ユーザ課金(クックパッドや食べログ)
・プラットフォーム内の売買手数料(楽天市場、チケットキャンプ)
・物販(ほぼ日etc)

みたいな感じで色々ありますし、一つの企業でそれらをミックスして展開することが多いです。

GameWithを見るとネットワーク広告による一本足打法感を強く感じます。


SEOがただひたすら強い

PVは月間で9億。主要な検索キーワードの順位を各社と比較するとSEOがかなり強いことがわかります。

また事業リスクにもSEOが語られています。

ネットワーク型の広告は業種や提供会社にもよりますが、PV×0.1円~0.3円ぐらいが多くGameWithはざっくりPV×0.1=売上になっています。

以前友人が

「デパートの衛星写真を撮影し続けると、客数がわかるので決算前にその店の業績がざっくりわかる。それをやろうとしてるのがGoogle」

みたいなことをいってて、外から業績がわかるのは面白いなと思ってたんですがGameWithも検索順位を見ていればなんとなく業績がわかるなと。

IR資料によるとモンスターストライク関連のトラフィックが大半を占めていることが事業リスクと書かれています。検索数1100万回ある「モンスト」というワードがひとつ落ちるだけで数百万円のインパクトがありそうです。

実際はロングテールが相当多いと思いますが、各キーワードの検索数と順位をモニタすれば少なくとも上向きかどうかが外からわかります。

事業構造的にSEOを頑張るしか無いので、彼らのSEOに対する考え方や方法は参考になるはずです。


GameWithのSEOの面白いところ

①考え方がマーケティング視点であるところ

世の中にあるSEOの議論ってコンテンツを含むテクニカルなものと、マーケティングの話に分かれるんですが彼らの発言を読むとマーケティング視点を強く感じます。

GameWithのSEOマーケターのインタビューを紹介しましょう。

GameWithを立ち上げた当初は、『(モンスター名) 評価』という検索クエリはありませんでした。ですが、コツコツとモンスター情報を更新し続けてくるに連れ『(モンスター名) 評価』の検索クエリが多くなりました。現在はかなりのボリュームがあるクエリとなっています。最強のSEOだと思いました。

通常、SEOでは、すでに多く検索されているキーワードを狙って施策を行うことが多いですが、自ら検索市場を作るというのは、最強のSEOだと思いました。

「ソーシャルゲームでは、ユーザー内で流行り言葉が生まれることもあります。例えば徳川慶喜というキャラクターを『ケーキ(慶喜)』と呼ぶなど、ユーザー内で新しい言葉が生まれています。

通常、キーワードをリストアップする際は、関連ワードやサジェストキーワードを参考にすると思います。ですがそれらのツールはデータが更新されるまで、短くても数時間かかります。つまりユーザーが欲しいと思ったときに、欲しいコンテンツを提供するためには、発生するキーワードを予測して先回りして記事を作る必要があります。そのためGameWithでは、ある程度流行り言葉を予測してコンテンツを作っています。
http://www.ginzametrics.jp/blog/gamewith-case

マーケターは需要を生み出してナンボだと思っているので強く共感します。

以前GameWithのSEOマーケターの話を聞いたことがあるのですが、どうやってSEOを攻略するかよりもどのキーワード=マーケットを選択するのかを重要視していると語っており「1位をとることは前提なんだな」と感じました。


②クラウドソーシングの活用方法

彼らは初期はクラウドソーシングを活用した運営によって1000万PVまで成長させたものの、停滞し編集記事方式に切り替えたという歴史があります。

立ち上げ初期はユーザの投稿に期待せず、そもそも人手が足りないということで、Q&Aのコンテンツは対価を支払って買う、つまりクラウドソーシングを利用することにした結果、GameWithは3ヶ月で月間1000万PVまで成長できたそうです。

しかし、1回目のピボットから4ヶ月後、成長が止まってしまいます。クラウドソーシング利用で投稿数は増えたものの、質が低いことが要因でした。ここでGameWithは2回目のピボットに踏み切ります。

Q&Aコンテンツを重視せず、より詳細な表現ができる記事形式の攻略情報の導入でした。クラウドソーシングは立ち上げ期のみで完全に中止し、質の高い記事を書けるライターを社内で育成、ユーザに価値の高い情報を届けることに集中したそうです。
https://liginc.co.jp/life/useful-info/153162

クラウドソーシングはコンテンツ作成ではなく、コンテンツのクオリティフィードバックに使ったという話は面白いと思いました。

コンテンツの品質管理はデータを見てリライトみたいな話が多いですが、ユーザの定性調査をクラウドを使ってやるのはユーザビリティテストと同じなので手間暇はかかりますが確かに成果が出ると思います。

彼らはgameworksという自社クラウドソーシングサービスを持っていますが過去と現在の案件を比較するとこれがわかります。

過去の案件

2017年現在


まとめ

GameWithはSEOが重要な経営課題にならざるを得ないので、彼らの考え方や手法はSEOマーケターにとって非常に参考になります。

また私自身ポケモンGOでGameWithの情報に大変お世話になっていることも大きく、今後注目していかねばならぬ企業であります。

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