Vtuberが苦手な私が沼に浸かるまで

冒頭、いきなりで悪いがちょっとぶちかまそうと思う。


私はVtuberという存在が堪らなく嫌い、というか苦手だった。


そんな私が気付けば毎日のように生配信を追うようになり、作業の片手間に切り抜き動画を流すようになった。

昔の私はこんな感じで変わっていったのかーと思い返すためにも、覚えている限りの変化の過程をここに書き記していこうと思う。



■1.私の偏見と先入観

冒頭で話した通り、私はVtuberというものが嫌いというか苦手だった。それに気付いたのは今やかなりの数がいるVtuberの界隈の先駆けと言えたであろうバーチャルYouTuberのキズナアイさんが世の中に認知され始めた頃だった。

「何か変なの流行ってるな」。それが当時の私の感想。

Vtuberという存在が騒がれ始めた頃にはもうYoutubeを職業として飯を食ってる人がいて、私としては「YouTubeで動画出すならわざわざアバター纏わなくてもいいのに。出来ること制限されるし、仮に物食べる動画でも実際に食べてるシーン見れないから絵的につまんないし、意味が理解出来ない」というのが当時の所感。意味が分からないものはやはり怖い。

あと、これは完全的に個人的な話なのだが、私は世の中で流行ってるものは基本的に受け付けない性質だったりする(流行っている=界隈にいる人の数が多い=民度の低い人が目に入りやすくなる=病む)。


そんな私を他所に気付けば色々なVtuberが世に出て、成功していった。その様子を傍から見る程度に留まり、一生この界隈にお世話になることはないなと思って月日は流れていった。



■2.初めて“神”を見た日

唐突な話だが、私はオタクだ。間違いなくそういう部類の人間に分けられる自覚はある。オタクと言っても様々な分類で分けられるのだが、私は声優のオタク、俗に言う声オタだ。

そんな私の携帯に入っている音楽は若者が聴くKPOPとかアイドルの曲なんて何一つ入ってなくて、大体が声優アーティストの曲。特に綺麗で、芯の通った力強いボイスで歌い上げる水瀬いのりさんや水樹奈々さんの曲は、携帯に入っている曲を入れ替える時だって替えずにずっと入れっぱなしにするほど。余談だが、前に水瀬いのりさんの『TRUST IN ETERNITY』を使って創作をする機会があり、創作している最中にずっと聴いていたら、前々から好きだったことも相まって、都合2000回くらいFullで聴いたことになる。同じ曲を2000回って普通におかしい。

と言った風に私が好きになる基準の一つとして、声の刺さり具合というものが存在する。どんな者であれ、声が良いのが正義。特にカッコいいと可愛いのハイブリットなら尚良し。

そういう思考で普段からTwitterで水瀬いのりさんを布教というか「私の推しが最強過ぎるんだが」みたいなツイートばかりをしていたある日。いつだったか忘れたが、仲の良いフォロワーが私にリプを飛ばしてきたのだ。明確な文言を覚えているわけではないが、確か。


「水瀬いのりの楽曲好きなら多分これ好きだと思うんだよね」


そして、そのリプに付いていた動画のURLがこれ。

天神子兎音さんの『【歌ってみた】天樂 / ゆうゆP(篠螺悠那)【Kotone(天神子兎音)cover】』。………これ約半年前に更新された動画ってことはまだ半年くらいなのか。案外時間経ってないな。

そのフォロワーはかなり初期の頃から仲が良かったこともあり、「まぁ、あの子が言うなら聴いてみるか………」と、ぶっちゃけ殆ど乗り気じゃなかったけどもURLを開いて────鳥肌が立った。

綺麗でありながらも苛烈。まさに命を燃やして歌っているのではと思わせるその力強さに驚きを隠せなかった。ちょっと見ないうちにこんなレベルの人が出てきたのかと思ったし、何より「やっぱあの子は私の好み分かってんな〜〜〜」と。

そこから子兎音様の動画を見るようになった。歌ってみたやオリジナル曲は勿論、他の企画動画とかも目を通した。歌ではその歌唱力でカッコ良く、時には可愛くと色々な面を見せるのに、企画モノの動画では面白いというか俗に言う“芸人”の側面が見えて、そのギャップが良かった。あと、めちゃくちゃ噛む。流石は神様にして噛み様。

個人的に第3弾のオリジナル楽曲である『かごめ』は最強。子どもの遊びの一つであるかごめかごめをこういう風に曲として歌い上げれるのかと驚いたのは記憶に新しい。



■3.沼との邂逅、始まりを告げるメイド

先の項で子兎音様にハマった私を書いたが、そのブーム自体は一、二ヶ月で終わっていた。というのも、その頃には殆どの動画に目を通し終わってしまっていたからだ。それでも新しい動画が更新されたら漏れなく目を通していたし、ブームが過ぎたとはいえ全く見なくなったというわけではなかった。

ただ、私としてはもうVtuber関係でハマることはないと思っていた。私が放っていたのはあくまで「天神子兎音」という存在であり、Vtuber自体ではなかったからだ。

そんなことを思いながら2020年の2月初旬。それは諸事情により、かなり精神が削られていて、不安定だった時期だった。Twitterでも極力いつも通りで振る舞っていたが、実のところかなり危なかったりした。

基本的に作業する時には何かしらの音が欲しい私は何かの動画か音楽を流しながら没頭していくのだが、その日のその時はもう疲れに疲れ、今すぐにでも倒れてしまいそうで。「あともうちょっと……頑張れ………頑張れ俺………」と半ば意地で作業をしていたのだが、気持ちで鼓舞しても身体が付いてこず、一旦休もうと決断した。とりあえず少しだけ仮眠しようとし、iPhoneをスリープモードにしようと手を伸ばしたのだが………



………この時、誤操作で新しい動画を開いていた。



ただ、もう睡魔とデートに行こうとしていた私はそんなこと気付くはずもなく、机に突っ伏して約一秒後。耳につけていたイヤホンから爆音で流れる大乱闘スマッシュブラザーズのBGM。「何起き!?!?!?」とガバッと起きてiPhoneの画面を見るとそこにはスマブラの画面を下端っこにロリメイドの姿が。疲れていて全く事態が理解出来ない私はその動画をただ見つめることしかできなかった。

出来ればその動画のURLを貼りたいのだが、生憎どの動画なのかはすっかり忘れた。というのも、そのロリメイドがスマブラをしている切り抜き動画が今や大量に流れてるからどれだったか判別が付かない。とりあえず尺は10分前後だったから公式ではなく切り抜きではあったが。

構成としては一戦あたり二機撃墜の試合が五本纏められていた動画。最初は「まぁ……こうして動画になってるくらいならさぞ強いんだろう」と思って見ていた。因みにこの時は動画のタイトルは一切見ていなかった。

確かに強かった。Wiiのスマブラ以降、ノータッチで来た私でも分かるくらいに強かった。流石だと思った……………ロリメイドの実力ではなく、リスナーたちの練度が

別にロリメイドが弱かったわけじゃない、ただそれ以上にリスナーが強かった。隙を見せればコンボに繋げられ、撃墜される。そのたびにロリメイドは発狂する。

その光景があまりに痛快過ぎて、その10分は一瞬のように過ぎていった。すると次はどこだ次はあれかといった風に芋蔓式に手を伸ばす始末。

開けば開くたびに奇声をあげる、稀に猛者のリスナー相手から一機先取したものならここぞとばかりに煽り散らかす。正直、ロリメイドが勝ってる時はめちゃくちゃ腹立つのだが、不思議と不快じゃない。何故なら声が良い。可愛いんだこれが。

気付けばそのロリメイド───ホロライブ2期生、湊あくあちゃんとの出会いだった。そして、それがあまりにも強大で、深過ぎるホロライブの沼であるとは当時の私は知る由もなかった………





因みに、リスナーにボコボコにされたり、少し優勢になったら煽り散らかしたり、根は陰キャだったりと小物臭が凄いのだが、歌ってみた動画になると一変。お淑やかで、マジでただの可愛いアイドルになる。

個人的には前の誕生日記念で歌った『Ubiquitous dB』のカバーが凄い好き。

基本的に歌ってみたとかカバーって、結局はオリジナルには必ず劣ると思ってたけど、これに関しては正直オリジナルよりも好きだし、何よりOSでARアイドルだったYUNAの曲を、今をときめくVtuberである湊あくあが歌うというエモさ。その境遇というか、在り方の重なり方が凄くて、初めて聴いた時は感動のあまり震えていた。


■4.白銀の団長

ホロライブ3期生に白銀ノエルさんというVtuberが存在する。誰がどう見ても女騎士で、めちゃくちゃ逞しい大胸筋の持ち主。リスナーからは団長と慕われている。

実は存在していることは知っていた。随分前にTwitterで画像が流れてきたことがあり、その時には「なんか凄い見た目が好みだなぁ……」と思って見ていた(女騎士+イメージカラーがシルバーってのが性癖に刺さってる)。

ただVtuberだとは思っていなくて、初めて先述した湊あくあちゃんとのリングフィットアドベンチャーの3Dコラボのアーカイブのサムネで初めてVtuberであることを知り、「まぁ、見た目が好きってだけで取っ掛かるきっかけとしては有りだし、ちょっと見てみるか……」と思って見たら、これまた仰天。めちゃくちゃ可愛いのだ、声が。


想像していた角度とは120度くらい違うそのふわふわボイスに度肝抜かれた。見た目カッコよくて、声可愛い。あまりのギャップに私の心は一瞬でノックアウト。………そして、その時から少し後に知ることになるが、この団長。イケボがめちゃくちゃカッコいいのだ。カッコよさと可愛いのハイブリッドボイスは最強。好きにならない訳がなかった。


■5.ヤンデレ? メンヘラ? ネクロマンサー

私がオタクの道を走り始めたのは『バスカッシュ』という作品が起源だったりするが、同じくらいに影響の受けた作品に『未来日記』というものが存在する。

これに関してはまだ履修していない人は是非とも履修してほしいし、何一つネタバレを踏まずに見て欲しさがあるのでネタバレ要素を極力省いて話を進めるが、そのヒロインに我妻由乃という子がいるのだが、これが凄まじいレベルのヤンデレなのだ。愛が重い。

でも、初めて見た時から今に至るまで、私は由乃が好きなのだ。というか、この子が原因でヤンデレやメンヘラなどの愛が重い系の属性が好き(現実では死んでも関係を持ちたくない相手)。

故に必然といえばそうだったのかもしれない。ホロライブ3期生の中でも随一のヤンデレ属性というかメンヘラ属性というか、とりあえず危ない病み属性を持っている潤羽るしあちゃんと巡り合うのは。

例に漏れず、見た目も声もめちゃくちゃ可愛い。というか、この掻き立てられる庇護欲が凄い。護ってあげたくなる。怒った姿も可愛いし、台パンしてる時も微笑ましいし………と思ったら、普段の可愛いロリボイスだけじゃなくて、お姉さんっぽい声も出せて、更にイケボもいける。個人的に神回だと思っている3期生ホストクラブの配信で見せたルシファアのドンペリコール好きなんだ………花澤香菜さん感あって好きなんだ………


あと、先日3D化を果たした船長こと、宝鐘マリンさんとの『magnet』のデュエットカバーはマリるしが公式夫婦だと感じさせる雰囲気が凄いので必聴。



■6.本命にして最強、天に煌く彗星

今まで沼った順にホロライブのVtuberの名前を記してきた。実は他にもいたのだが、印象強かったのだけをピックして書いている。全部書くとあまりにも長過ぎた。

好きだし、推しだと思う。でも、“最”推しかと言われるとそうとは言えなくて。何故なら、本項で記そうと思っている存在にあまりにも惹かれ、鮮烈なまでに魅せられたから。その輝きは私の中では何よりも眩しかった。

その存在というのが星街すいせいちゃん。通称、すいちゃん。恒例の挨拶である「彗星の如く現れたスターの原石! アイドルVtuberの星街すいせいです! すいちゃんはー?」『今日も可愛いー!』って流れを1日1回は聴かないと禁断症状が出る身体に私はなっている。

すいちゃんの何が凄いって物凄く出来ることが多い上にそのクオリティがどれもこれも高水準。絵も描けるし、動画編集も出来るし、テトリスはめちゃくちゃ上手いし、歌唱力は途轍もない。以前配信で「出来ないことは配信でやってないだけですよー」と言っていたが、配信でやってることがあまりにも広い。

特にテトリスの腕はVtuberの中でもトップクラスの実力を持っていると思っていて、先日の視聴者参加型テトリス99生配信ではバッチという圧倒的な優位性があったとはいえ世界2位と数分間撃ち続けるという展開を繰り広げるほど。


その配信を機に、感覚だけでやっていたテトリスをちゃんと技術を学んで強くなろうとする練習配信をあげ始めたが、一つ覚えるたびにめちゃくちゃ嬉しそうなすいちゃんが凄い可愛い。


あと、歌唱力もかなりのお化け。歌ってみたや歌枠ではその歌唱力を遺憾無く発揮して、めちゃくちゃ魅せてくる、感動させられる。それだけの力を秘めた歌なのだが、何が凄いってこれで歌に関して専門的な教育を受けていないということ。

因みに私がすいちゃんの沼に来たきっかけも歌だった。彼女自身で絵と動画を手掛けたオリジナル楽曲である『comet』と『天球、彗星は夜を跨いで』は凄い出来なので是非聴いてみてほしい。


余談だが、「hololive 1st fes. ノンストップ・ストーリー」にて「天球、彗星は夜を跨いで」を披露した後にはその歌唱力の高さから「口からCD音源」と言われ、Twitterの世界トレンドに「すいちゃん」があがっていた記録が残っている。世界トレンドに名を刻める歌唱力が凄くない訳がない。


ただ、これまでだったら、別に最推しにはなっていなかったと思う。凄い人だなぁとは思ってはいたと思うが、所詮はそこ止まりだったと思う。

では、何故最推しになったのか。それは彼女の今に至るまでの経歴に関するエピソードが原因だった。

元々、彼女は個人でVtuberを始めたのだが、個人で出来ることに限界を感じ、ホロライブのオーディションに応募。しかし、そのオーディションは一度落ちており、彼女からの熱烈なアプローチで実現した二回目の面談で、新規立ち上げ予定であったイノナカミュージックへ加入させてもらえることになったエピソードも熱くて好きなのだが、個人的にはイノナカミュージックからホロライブへ転籍してから今に至るまでの苦悩の話が刺さり過ぎた。

正直、このアーカイブを全部見て欲しさはあるが、時間が無い人は35分くらいから見て欲しい。そこには元々個人勢だった彼女の苦悩と、それが故の今の周囲の環境への溢れんばかりに喜びを噛み締める姿が詰まっている。初めてそのエピソードを聞いた私の双眸から涙が止まらなかった。初めて聞いた私でこれなんだから、個人勢の頃から応援していた人にとって、今の彼女というのはきっと夜空に煌く彗星の如く映るんだろうな……って。

この時、私は彼女を推していこう、応援していこうと思った。私も彼女が煌く姿を見届けたいと、心の底から思ったから。………というか、このエピソード聞いてから、前に添付した『comet』を改めて聴いてほしい。泣く、感動のあまり泣かざるを得ない。それだけの“意味”を感じることが出来る曲なのだ。

因みに2020年の3月(執筆段階では来月)には3Dモデルのお披露目会の予定も入っているそうなので今間違いなくホットなVtuber、最高に推し得。



■7.最後に

いい加減認めよう。好きなのだろう、Vtuber。

でも、これを書いている段階では苦手だった頃の自分もはっきりと覚えている以上、今の“Vtuberという存在を認めている自分”が苦手で仕方ない。………まぁ、これも時が経てば呑み込めるようになっているのかもしれないが。

これからも私は沼り続ける。そんな未来が容易に脳裏を過る。今は専らホロライブのオタクで、赤井はあとちゃんの英語版『千本桜』に惚れたり、紫咲シオンちゃんの『ADAMAS』の歌ってみたにハマったり、百鬼あやめちゃんの『愛言葉Ⅲ』の歌ってみたに心撃ち抜かれたりしているが、いつかはにじさんじとかにも足を突っ込み始めるのかもしれない。どうかは分からないが、可能性は無い気がしてないのが現状の結論である。

きっと、ここまで沼ったのは性癖に刺さる存在に立て続けに会ったことと同時に来年度の春に二次創作的観点で私が拠り所とする作品の殆どをロストするからなんだろうなと思っている。気にしないようにしていたが、無意識のうちに拠り所を求めた結果に行き着いたのはここだったのかもしれない。

作品には明確な終着点が存在するが、Vtuberにはそれがない。………いや、本人が活動を辞めてしまえば、それは終着点となるが、それでも少ない作品を軸に考えるよりかはずっと将来性がある。

そして、その万物が避けられない終わりを少しでも遠ざけるためにも応援をし続けなければならないのだ。私はまだ彗星の輝きを見ていない、少なくともその時までは何としてでも。

それでは書きたいことは粗方書き出したし、そろそろ筆を置こうと思う。最後にすいちゃんはー?






今 日 も 可 愛 い ! ! ! ! ! ! ! ! ! !






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