台本制作振り返り① 軍人の尋問耳かき

ごきげんくるっくー!

というわけで、過去の台本制作についての裏話を始めていこうと思います。
書いていた当時何を考えていたかとか、明かしていない設定等、思い出せることを書き残していきます。

今回は軍人尋問耳かき。私のフリー台本処女作ですね。それでいて反響が一番大きかったものでもあります。
(ゆるボイ!リンク→ https://yuruboi.com/script/2772)




この記事を読む前に

この記事は、台本についてくるっくー自身の考えを述べたものでありますが、特定の演じ方・聴き方を強制するものではありません。台本、および台本を元に作られた音声作品について、解釈の仕方は個々の自由です。

逆に「自分の中に絶対的な解釈が存在し、それを崩したくない」という場合は、読まずにブラウザバックをおすすめします。
以降を読み進める場合、上記内容をご理解いただいた上でお願いします。




台本あらすじ

舞台はとあるディストピア国家。
国民のあらゆる情報は政府により管理され、行動も監視される。
そんな現状に危機感を抱いたあなたは、秘密裏に「反乱軍」を結成し、反逆を企てるも、そのことが政府に知られ逮捕されてしまいます。

拘束され、部屋に置き去りにされたあなた。そこへやってきた女軍人から、屈服させるのを目的とした耳かきを受けることになります。

https://yuruboi.com/script/2772


制作背景

そもそもなんで台本を書き始めたのか

きっかけは些細なことで、今日は何を聴こうかとYouTubeで耳かきASMRを探しているときに、ふと「悪の組織に耳かきで堕とされる音声ってあるのかな~」って思ったんですよね。

いや、ふとそんなこと思うか? って思われるかもしれないですけど、これには流れがあって、

くるっくーは女性上位が大好き

女性上位のシチュエーションといえばなんだろう?

悪の組織に捕まって快楽堕ちさせられる……かな……

悪の女幹部に耳かきされて敗北したい!

っていう思考フローを経ています。

ところで、自分が勝手に抱いているイメージなんですが、「女性上位×耳かき」にあたる設定はヤンデレが一番人気なんじゃないかと思ってますが、どうなんでしょう?(ヤンデレを女性上位で一括りにはできないとは思いますが)
少なくとも当時(2021年頃)においては、ヤンデレ耳かきはたくさん見た気がします。私自身はヤンデレについては、まあ、好き寄りの普通かな、って感じです。

話を戻しましょう。
試しに「悪の組織 耳かき」で検索をかけてみたんです。結果、こんな動画がヒットしました。

内容としては、正義の味方に耳かきしながら、甘言で釣って組織に入れようとしてくる、といったものです。
「へーあるじゃーん! 流石はインターネットだな~」と思いながら、その日はこれを聴くことに決めました。

そんなときに、概要欄を見たら「フリー台本」の言葉があったんですね。
これがフリー台本という概念との出会いでした。

で、翌日、気になってフリー台本について詳しく調べていました。


「ふむふむ……台本という形でpixivとかにアップしておくと、声の活動をされてる方が拾って使ってくれる仕組み……

……これすごくないか!?
自分の"癖"をどこかの声優さんが具現化してくれるかもしれないってこと!?」


それまで、ASMR・シチュエーションボイスといえば、演者自身か、あるいは同じサークル等で活動しているライターがシナリオを書くものだと思っていたので、そういうシステムもあるのか! と驚いた覚えがあります。
だから、それを知ったときに「自分の理想の耳かきシチュエーションをぶつけてみたい」という思いに駆られたんですよね。

じゃあ、自分にちゃんとした台本が書けるのか? という話になるんですが、前の自己紹介記事でも触れた通り、サイズフェチもののSSを書いていることもあるので、まあなんとかなるっしょ! というノリで制作を始めました。

……まあ、結局構想から完成まで、2ヶ月以上かかったんですが……。


テーマ

台本を書くにあたって、やりたいことは2つありました。

①.耳かきで堕とされる

これは単純な快楽堕ちというより「守るべきものがあるのに、耳かきで崩されてしまう」というものを作ろうと思っていました。
「耳かき気持ちいい……でもこのまま流されちゃいけない……!」っていう理由付けが欲しかったんですね。で、結局負けちゃうと。

そう考えたときに、やっぱり演者側と聴き手側はそれぞれ敵対し合っているのがやりやすいだろう、と方向性を決めました。
そしたら次は、どう負けるのが一番気持ちいいか? を考えます。
寝返ってしまう? それでもいいんだけどもっと良いアイデアはないかな……と思案を巡らせていった結果、

「よし! 仲間売ろう!」

という風になりました。

そこからは、

どうやって仲間を売ろうか?

隠していた本拠地をバラしてしまうとかかな……

でも秘密のアジトって正義っぽくなくない?

じゃあ聴き手は秘密結社っぽいとこの所属にしよう

といった感じでどんどん設定が固まっていきました。

②.デレは不要

ここで言う「デレ」は恋愛感情のことですね。
演者側は別に聴き手側に対し好意を寄せてなどいないということです。

私は「最後まで演者側に精神的優位がある」状態を保っていてほしいので、
下手にLOVEが挟まると、それがブレてしまうと思うんですよね。
耳かきをするのは、あくまで精神的に支配するための手段ですから。

本作では、演者側が聴き手側に向けている感情は愛玩動物に対するそれに近いと思っています。


こうして見ると、以降の台本も大体こんな傾向のものが多いなって感じがしますね……。

作品解説

ここからは、作中のこだわりポイントについて語っていこうと思います。

導入

貴様か……政府に逆らう不届き者は。
おい、騒ぐな。拘束されて動けない、自分の立場をわかっているのか?

開幕で、互いの立場と、聴き手の置かれた状況を伝えていますね。
敵対している相手にどうやって抵抗されずに耳かきするのかというハードルは、拘束すればいいよね、ということで乗り越えました。
今思うと、後半がちょっと説明的かな~って感じがしないでもないですが、まあいいかな。


……フン、おとなしく過ごしていれば、理想的な生活を享受できるというのに。
支配されることを悪と決めつけ、我々に反抗するなど、実に愚かだ。

舞台となっている国がどういったところかが、なんとなーく伝わるようなセリフ。
これはこの後のセリフに繋がってくるんですが、本作では耳かきを「何も考えず、なすがままに従っていれば、いいことがある」ということを叩き込むためのものとして描いています。
もしかしたら他の国民も耳かきされてるんですかね?


……拷問? 笑わせるな。私がそんな野蛮な手段を使うとでも?

(耳かき棒を取り出す)
これだ。
知っているだろう? そう、耳かきだ。

呆気にとられたような顔だな。耳かきごときで屈するはずがないと、そう思っているのか?
貴様はまだ、支配される悦びというものを知らない。耳かきは、それを自覚させるのに最適な手段だ。

ここ地味~なこだわりポイント。
聴き手側の認識は、普通に拷問されると思ってるんです。ある意味で大多数の視聴者と同じですね。
そしたら耳かきが出てきたと。この時点では、聴き手側は耳かきに負ける訳がないと思ってるんですよね。


耳かきパート①

……フフッ、少し掻いてやっただけで、身体がピクリと動いたな?

恥ずかしがることはない。当然の反応だ。もっとも、今の反応を見た限り、貴様の耳はかなり敏感なほうみたいだが。

耳かき開始直後、身体が反応してしまったことを指摘されます。
ここで初めて、聴き手側は「まずいかもしれない」と理解します。逆に、演者側からすると「耳かきを甘く見ていた相手に、その威力を認識させた」瞬間でもあるわけで。
これにより、後の煽りがより効いてくるんじゃないかな~って狙いがあります。


貴様は普段、自分で耳かきをしているようだな。
この程度、一目見ただけで丸わかりだ。中途半端に耳掃除されてあるから、綺麗な部分と汚い部分が不自然に残っている。

ほら、この辺りなど、耳垢がたっぷりこびりついているぞ。
耳掃除すらろくにできないくせに、我々に管理されるのを嫌がるなど……笑わせる。

耳かきで気持ちよくなってしまっているところへ、さらなる辱めを受ける部分。
後半の暴論管理の正当性を主張するセリフは、割と気に入っています。


……よし。こんなところか。
こちらの耳は終わったから、反対の耳をこちらに向けろ。

(180度回転し、反対側の耳を向ける)
……フフフッ。
随分あっさりと従ったなぁ? 最初は反抗的だったのが、まるで別人のようだ。

『今の状況で歯向かうのは分が悪いから』? 違うな。それは自分に都合のいい言い訳に過ぎない。
わかっていないようなら、教えてやろう。貴様の身体は、既に堕ちている。私に耳かきをされることを、待ち望んでいるんだ。ただ、反乱軍のリーダーというメンツが邪魔をしているから、心では認めきれないでいる。それが今の貴様だ。

安心しろ。そんなちっぽけなプライドは、私が耳かきで綺麗にそげ落としてやる。

反対側の耳に移るパート。いわゆるイシツブテLv25ごろーんですね。
ここは「女の子に全てお見通しされたい」という癖が存分に出ています。

咄嗟の言い訳もあっさり見抜かれて、現在の自分の状態を的確に分析されてしまうというのが、M心をくすぐるんですよ。
まさしく精神的優位ですね。

あとは、聴き手側が「堕ちかけているが、まだ負けてはいない」ということを提示しておきたかったという意味合いも含んでいます。
というのも、聴いてていつ負ければいいかわからなくなっちゃいそうだと思ったので……。なにせこの後、明確に負けるパートが控えてますから。


耳かきパート②

……フフッ。
先程から、ずっと耳の手前側だけを掻いているのがわかるか? もどかしくてたまらないだろう。貴様はすでに、私に耳の奥を掻かれる気持ちよさを味わってしまっているからな。

だが、わかっているだろうな? これは尋問だ。もし、もっと奥を掻いてほしいと言うのならば……

反乱軍の拠点がどこにあるのか、教えてもらおう。

尋問が詰めに入っていきます。
ここでついに、耳かきの目的が明らかにされます。
聴いている人からすれば、最低限の設定しか知らないとはいえど「これは絶対に教えてはいけないやつだ!」ってなりませんか?


……ふむ。まだ口を割る気は無しか。
それなら、このまま奥を掃除せずに終わらせてしまうが、いいのか?

そうだな、今から私が5つ数える間に言わなければ、耳かきはこれでおしまいだ。今後二度と私に耳かきをしてもらえないと思え。

5……4……3……2……1……
フフ、フフフッ!
言えたじゃないか。ようやく自分の欲望に素直になれたな。

ここでさらにルールを追加してきて、耳かきと裏切りの板挟みになってしまう。しかもカウントダウンによって、考える暇すら与えてくれない。そしてついに……。

きました屈服パート。
"二度と"耳かきしてもらえないなんて言われたら、仲間売ってしまうのも仕方なくありませんか?
ともかく、強い言葉+カウントダウンで追い詰められた結果、ポロッと秘密がこぼれてしまう、というような負け方を想定しました。

音声作品でカウントダウンというといかがわしいイメージがありますが、本作にそういった意図はありません。本当に。


表情が緩むと、とっても可愛らしいじゃないか。
だが……まだ、完全にはリラックスできていないように見えるぞ? もしかして、仲間を売ったことが、心に引っかかっているのか?

それなら安心しろ。仲間に危害を加えるつもりはない。
ああ、本当だとも。部下達には、穏便に済ませるよう伝えておく。各自、耳かき棒を持参させて、な。

私の部下達も、甘やかすのは得意だぞ。お前の仲間も皆、骨抜きになって、我々に管理される道を選ぶだろう。だが、それがこの上ない幸せだということは、今のお前が一番理解しているはずだ。

仲間を売らせといて何言ってんだという話ではあるんですが、売られた仲間の処遇については作中で明らかにさせたほうがいいと思ったんですよね。
それこそ、投獄あるいは処刑されてるかもしれないってなったら、流石にモヤモヤが残ってしまうでしょうから。

皆様方においては、こうして耳かきすると明かされたことで「裏切ったのは悪いけど耳かきならむしろ良いから許してくれ……」って自分を正当化してほしいです。ここ。



……さて、耳垢も大体取り切ったし、この辺りで終わりにしよう。
どうやら、お前も眠気に耐えられなくなってきているようだしな。

今日はもう疲れただろう? 何も考えずに目を閉じて、私の膝枕に意識を委ねるといい。
おやすみ。起きたらまた、たっぷりと可愛がってやるからな……。

寝落ち〆。
完全に愛玩動物へと成り下がった瞬間です。
念の為ですが、ここはデレではありません。




反響について

この台本を投稿した当時、これを誰かに使ってもらえるというイメージは、正直なところ湧いていなかったんですよね……。
何しろ初作品ですし、どう見ても万人受けするような内容ではないし。

……そう思っていたんですが、公開してから2日でこれを元にした動画があがりました。

そしてその投稿者は、最初のほうで言った、フリー台本を書き始めるきっかけとなった動画の投稿者と同じ方です。


……そんな偶然ある?????


ただ、それだけにはとどまらず、

↑で言った動画がどんどん再生数を伸ばしていって、とうとうそのチャンネルの一番の再生数に躍り出たり、
台本を使用される方が他にも現れるどころか、男性演者の方による女性向け音声としても使われたり、(その方向の需要は全くの想定外でした)
当台本を原案に続編を作らせてほしいという申し出を受けたりと、(二次創作って……コト!?)
想像を遥かに超える反応をいただきました。自分が聴いてみたいものを書いただけだったのにどうしてこうなった?

実のところ、台本を投稿した段階では、2作目以降も作るつもりは全く無かったのですが、
この反響を受け「もしかして自分には才能があるのでは?」と思い込み、今でも台本を書いている……というのが今の自分です。
今やサイズフェチSSよりも台本のほうが多くなってる……サイズもやるつもりはあるんだけど……。
まあどちらも趣味みたいなものなので期待しないで待ってもらえたらと!



ご使用実績

(2024/3/30時点で、くるっくーが把握しているものを掲載)

  • 音枝優日様

  • かざまASMR様(蘭世様)

  • こりす様

  • 西園寺心様

  • 雨月ミツル様(↑の方で触れた、続編を作られている方)

  • 猫仙人様

  • 月皇レン様

  • 一色茶利様




おわりに

いや記事長い! 普段書いてる台本の3倍はあるんだけど……。

「書いてたとき、本当にここまで考えていたの?」と言われると、正直微妙なところもあります。もしかしたら後付けあるかも!
とはいえ、それぐらいの熱量を持って書いたものであることは確かです。他の台本、これぐらいの量書くことあるのかな……。


とまあ、こんな感じで、飽きなければ自作の振り返りを書いていこうかなーと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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