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つながるスイッチ!! -vol.14-支え合い推進会議 ― その⑩ ―「善導寺校区」の取り組み


立派な楠の木がある大本山善導寺。

遠方からの参拝者も多く
国の重要文化財にも指定されています。

また、南に耳納連山を仰ぎ、北に筑後川が流れる善導寺校区。

令和4年4月には、支え合い推進会議で作成した
「善導寺校区福祉防災マップ」が全世帯に配られました。

善導寺町全体の鳥瞰図ちょうかんずに加え、
災害の特性に沿った避難所や交番などの緊急連絡先、
医療機関や公共施設、保育園・学校などの電話番号の
記載もあるそうです。

家の目につくところに貼りたくなる貴重なマップ。

社協探検隊Pも自分の地域にこんなマップが欲しい!

「つながるスイッチ!!vol.14」、
今回も元気にスタートです!!

支え合い推進会議の取り組みを紹介していくシリーズ第10弾。

今回は、「善導寺校区」を紹介します。



善導寺校区社会福祉協議会
会長 中村 英治(なかむら えいじ) さん

善導寺地区民生委員児童委員協議会
前会長 金子 美恵子(かねこ みえこ)さん

ふれあい善導寺
会長 赤木 民憲(あかき たみのり)さん


3名にお話をお聞きしました。


1、第3次善導寺校区福祉活動計画の策定


善導寺校区支え合い推進会議では
令和3年5月、第3次善導寺校区福祉活動計画の策定に取り組み始めました。
前計画は、コミュニティ振興会の健康福祉部会のメンバーだけで策定していましたが、今回は、コミュニティ振興会事務局や自治会等からの意見も反映した計画にするため、支え合い推進会議の場を活用して策定しました。
それにより、今まで福祉視点中心に作られていた計画にまちづくりの視点も加わり、
校区全体で地域をつくっていこうという内容に仕上がりました。

「先輩たちが作られた前計画を尊重しながら、会議で改めて内容を協議・検討し、約1年かけて第3次校区福祉活動計画を完成させました」と中村さん。

「前計画の内容を活かしつつ、災害対策などの新しい分野も加え、今の時代に合った計画をつくりました」と金子さん。


この校区福祉活動計画の推進には、
2つの特長があります。

1つ目の特長は、計画に掲げた取り組みへの達成度を単年度ごとに評価し、見直す仕組みをつくったことです。
①毎年、年度初めの運営協議会(校区内の各団体の集まり)で、計画内容について説明する。
各団体はそれぞれが担当する取組みについて活動計画に基づき実施し、その達成度を年度末までに評価する。
各団体は計画内容の見直しについて要望や意見があれば提案する。
各団体から提出された評価結果や要望意見を支え合い推進会議で報告・整理し、さらにその内容を運営協議会でも報告する。
この流れで、達成度と計画への意見について確認し、次年度以降の計画を見直していきます。


「前計画は策定後5年間、評価する機会がありませんでした。長期間見直さなかったことで、単年度ごとの校区の現状把握が十分に出来ていなかったように思います。作ったことで終わりではなく、取り組んでどうだったかを見直し、次につなげていくために、今回は短期間ごとに評価できる仕組みを作りました」と中村さん。

「それぞれが自分の団体の取り組みを振り返るため、みんなで地域を作り上げていくという共同作業になります。一人ひとりの意識が高まり、頑張っていることが評価されると活動自体にやる気が出て、楽しくなると思います」と、金子さんは話されました。


2つ目の特長は、
校区福祉活動計画の概要版を「福祉防災マップ」との一体型で作成し、校区全世帯に配布したことです。

おもて面に「支え合う『こころ』あふれるまち善導寺」という理念と令和4年度~8年度までの校区の取り組み目標を掲げ、
裏面は、避難所や医療機関、公共施設などを載せた校区のマップになっています
。また、マップにはそれぞれの連絡先等も記載しています。


「計画冊子を作って住民の皆さんに配布しても、なかなか見てもらえない。
福祉防災マップがついていたら、捨てずに常に目に留まる場所に置いてもらえるのではないかと考えました」と中村さん。


「善導寺校区は校区の中でも浸水しやすい場所と、そうでない場所があるため、地震、水害、台風など災害の内容で避難所が異なります。どの災害の時にどこに避難するのか分かりやすく載せているので、活用しやすいと評判が良いです」と金子さんは話します。
ちなみに、この概要版は、B4・2つ折りの大判厚紙で作っているので、誰にとっても見やすくなっています。

善導寺校区福祉活動計画の概要版


2、計画策定後の取り組み


計画策定を進める中で、校区の課題もみえてきました。
「新たなことに取り組むことも大事だが、今、急いで対応すべき困りごとはほとんどない。校区にある既存団体の活動内容等について、お互いが十分に知らないことが一番の課題ではないか」という意見が上がりました。
そこで、善導寺校区支え合い推進会議では、校区にある団体を一つずつ取り上げて理解を深め、その団体が抱える課題について話し合うことにしました。


その第一弾として取り上げた団体は、
「ふれあい善導寺」です。


ふれあい善導寺は、一人暮らし高齢者の見守りやいきいきサロンの運営などを行っている団体で、約65名の会員がいます。

「長く活動している人も多く、会員の負担が大きくなっています。しかし、引き継いでくれる人材が少なく、担い手不足が深刻です。また、ふれあい善導寺は自治会とは別の組織なので、自治会や住民にあまり活動が知られておらず、連携しにくいことが課題です」と、赤木さんは話します。


こういった課題が支え合い推進会議を通して詳しく見えてきたことから、支え合い推進会議主催で、ふれあい善導寺について周知する講座を開催しました。この講座では、会の概要と訪問活動の事例、今後の課題について説明を行いました。
例えば、以前はよく公民館に来ていた高齢者の方をだんだん見かけなくなったことに地域の方が気付いて、ふれあい善導寺で対応したというケースについて報告がありました。最初は訪問してもなかなか会うことが出来なかったそうですが、訪問を重ねるうちにやっと関係性ができ、自宅が散らかっているなど、生活の困りごとに気づいたそうです。最終的には関係機関につないで状況を改善することができた、という内容でした。
講座に参加した人からは、「こんな活動をしている人が地域にいることを知らなかった」という感想も多く聞かれました。
自治会からの参加者も多く、自治会に「ふれあい善導寺」を知ってもらう機会にもなりました。今後は、各自治会のエリアで活動しているふれあい善導寺の会員を各自治会に把握してもらい、連携を強化していくことが目標です。

講座の様子


3、活動を通して感じたこと、これからのこと


●中村さん

前計画がしっかり作られていたからこそ、それを土台にした振り返りができ、その結果、新たな課題や今後の目標を盛り込んだ計画を策定することができました。
会長を務めて4年目。地域活動に参加したことにより、今まで知らなかった地域の良さを知ることができました。先輩たちが築いてきた地域活動をこれからも大事にしていきたいと思っています。


●金子さん

超高齢社会をどう乗り越えていくかが課題です。個人の情報が取りづらくなったことに加え、女性の会や老人クラブなどの団体も後継者不足で活動が減少してきています。保護を必要とする人の情報をどのようにとらえていくか難しい時代になってきたと思います。情報をとらえ共有していく為に、自治会やふれあい善導寺との横のつながりや協力が欠かせないと考えています。


●赤木さん

ふれあい善導寺の次の担い手をどうするかが一番の課題です。今は、会員を辞める場合、その人が次の人を探してくるというかたちをとっていますが、今後はもっと自治会と連携しながら協力してくれる人を増やしていくことも考えています。他の校区がどうやっているかなど参考にしながら、市社協の担当コーディネーターに相談して進めていきたいです。


4、取材を終えて

善導寺校区支え合い推進会議では、校区福祉活動計画を策定する過程で見えた課題に対応していくために、各団体の活動を知ることから始め、その団体が抱える悩みなどについてみんなで考えていました。
取材中、中村さんの口から何度も出ていた「先輩たちが築き上げてきた」という言葉からも感じるように、昔からの流れや先輩方の活動・想いを尊重している善導寺校区。先代がつないできた校区の様々な活動を絶やさないために、今一度互いのことを知り、一致団結して進もうとしている姿を感じました。

 中村 英治さん     金子 美恵子さん         赤木 民憲さん

中村さんは40年間バドミントンを続けています。東久留米バドミントンクラブの部長も務めるほどの腕前です。そのほかにも、釣りや山登りなど多趣味で、もっと時間がほしいとのこと。金子さんは、昔から茶道をずっと続けているそう。着物でお稽古やお茶会に参加すると、気持ちが引き締まったようになるそうです。赤木さんは毎日朝8時からグラウンドゴルフに行かれています。「健康維持が大事!」と話されます。金子さんのご主人もグラウンドゴルフ仲間だそうです。


【まとめ】

・支え合い推進会議で、第3次善導寺校区福祉活動計画を策定

実際に活動する団体に単年度ごとの評価をしてもらうことにより、
校区全体で計画の進捗状況を把握できる

・計画概要版を「福祉防災マップ」と一体型で作成し、全世帯に配布

・「ふれあい善導寺」をはじめとした校区団体の課題を共有し、
改善策をみんなで考える



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