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つながるスイッチ!! -vol.11-「大城校区」の取り組み

『災害はいつ起こるかわからない…』

あたまではわかっていても
実際にそのときがきたとき、

自分がどのような対応をするか…
何をどこに準備していただろうか…

きっとパニックになるのではないかと
思います。

今回の大城校区の皆さんの取り組みは
とても勉強になりました。

地域が大変なとき、
人と人とのつながりこそが
大きな大きな力になるのですね。

「つながるスイッチvol.11」スタートです!!

近年は毎年のように水害の被害が起こっている大城校区。
大城地区民生委員児童委員協議会では、
「災害時マイプラン」作成の取り組みを進めています。

「災害時マイプラン」とは、
災害が起こった時に、“どこに避難するか”“日頃から何を準備しておいたらよいか”“頼れる近くの人は誰か”ということについて、
避難に手助けが必要な人一人ひとりの避難計画を事前に作成するもの
です。


今回は

大城地区民生委員児童委員協議会
会長 小坪 孝志(こつぼ たかし)さん

民生委員・児童委員
才川 桂子(さいかわ けいこ)さん

2名のメンバーに、大城校区の「災害時マイプラン」の作成について
お話をお聞きしました。


1、「災害時マイプラン」作成のきっかけ


「県外の地域のことですが、避難行動要支援者名簿に登録されていた人が、豪雨の際に逃げ遅れたことで亡くなったという内容のビデオを見ました。そのとき、災害時に取り残される方をなくしたい、地域で救助の手を差し伸べたい…
水害が多い大城校区も何か取り組まなくてはいけないと強く思いました」と小坪さんは話します。

避難に支援が必要な人を取りまとめている、市の「避難行動要支援者名簿」に登録はしていても、具体的な避難計画はなく、その名簿をどのように活用していくか課題がたくさんありました。

そこで小坪さんは、民生委員が、要支援者たちと一緒に避難計画を立てることはできないだろうか…
市社協の担当コーディネーターに相談することにしました。


市社協からは
市の出前講座の「自分で作る災害時マイプラン
(本人が災害に備えて自分の災害時の備えや避難計画を立てる)

「地域で作る災害時マイプラン
(本人と地域の自治会長や民生委員などが一緒に避難計画を立てる)

という2つの取り組みについて紹介がありました。


小坪さんは、
「個人個人で災害時マイプランを作ってもらうことは難しい。でも、『地域で作るマイプラン』だったら取り組めるのではないか!やってみる価値がある!と感じ、取り組みたいと思いました」と話します。

令和4年8月、民児協定例会で、
小坪さんは「災害時マイプラン」の作成に取り組みたいと提案しました。


その提案に対し才川さんは、
「私の住んでいる自治会(赤司地区)では、災害時に誰が誰に連絡を入れるかという連絡網をすでに作成していましたので、最初は必要ないのではないかとも思いました。
しかし、「誰がどこに避難するか」「誰が支援できるか」ということについて、自治会だけでなく、民児協やまちづくり振興会とも共有しておくことが大切だと思い、この取り組みに賛成しました。最終的には、赤司地区のような防災意識が校区全体に広がったらいいと思っています」と話されました。

民児協定例会の様子


2、「災害時マイプラン」作成スタート


民生委員みんなが納得して動き出した「災害時マイプラン」。

「避難行動要支援者名簿」に登録されている大城校区に住む約70名のなかでも、
災害時に声かけが必要だと民生委員が特に感じる人が48名いました。
まずは、その48名の「災害時マイプラン」の作成
から取り掛かりました。


「なかには、名簿に載っている緊急連絡先が遠くに住む親族や知人という人もいる。
それでは災害が起きた時に、急ぎの対応ができません。
だからこそ近所同士が支援しないといけません。困った時に頼れる人が近くにいるという安心感のためにもマイプラン作成は大事でした」と、
小坪さんは「災害時マイプラン」の必要性を話します。


「災害時マイプラン」は
対象となる48名一人ひとりのご自宅を直接訪ねて、本人と民生委員が一緒に作成していきます。

避難時の持ち物を準備している人が少なかったですね。薬と水は絶対準備しておいた方がいいよ!と言ってまわりました。
作成のために一人ひとりまわったことで、たくさんの気づきがありました。
『民生委員との絆が深まり、安心できた』と言ってくれた人もいます」と才川さん。


「プラン作成を通して要支援者自身の防災意識が高まっただけでなく、民生委員の見守り意識の向上にもなりました。“自助”だけでなく“互助”の大切さを改めて認識しました」と小坪さんは話します。 


大城校区の「災害時マイプラン」は
48名全員分を完成させることを目標に今も頑張っています。

災害時マイプラン様式


3、活動を通して感じたこと、これからのこと


●小坪さん

「災害時マイプラン」は1回作って終わりではありません。年に1回はその人のところを訪ね、再確認・聞き取りなどをし、プランを更新したいと思っています。
さらに、現在の対象者は高齢者がほとんどですが、今後は、障害のある人や小さな子どもがいる世帯などにも広げていきたいと考えています。
また、プランは自治会、まちづくり振興会、校区社協、消防団などと共有していきたいです。最終的な目標としては、マイプランを作ったことをきっかけに、ご近所付き合いが深くなり、昔のような地域になっていってほしいですね。


●才川さん

「災害時マイプラン」を作成することで、支援する側も支援される側も、災害時にどうするか具体的に考えるきっかけになってよかったです。しかし、プランを作ったあと自治会に共有をしても、自治会のメンバーは毎年変わるので、どのように引継いでいくかということが今後の課題です。
また、自治会だけでは対応しきれない場合や、聴覚障害がある人など声かけだけでは情報が届きにくい場合もあります。今後は、そういった様々なケースにできるだけ対応できるよう、災害の危険があるときに、校区から情報メールが届くような仕組み作りにつながっていくといいと思います。


4、取材を終えて


災害が多い大城校区では、年に1回図上訓練を行っています。この訓練には、消防団も参加。避難行動要支援者がどこに住んでいるか皆で把握し、災害が起きた時のシミュレーションを行っています。新たに校区で「災害時マイプラン」作成に取り組むことで、より一層、地域が一丸となって災害を乗り越えようという強い意気込みを感じました。


小坪 孝志さん      才川 桂子さん

小坪さんは釣りが大好きで、ほぼ毎日出かけているそう。今はあゆなど川魚がよく釣れて、「それを甘露煮にすると美味しいんだよ」と笑顔で話します。パワフルで行動力がある才川さんは、傾聴ボランティアや料理教室の講師など様々な活動をされています。特に料理は大好きで、おかずをたくさん作ってご近所さんに配るのが楽しみだそうです。


【まとめ】

・地区民児協で「災害時マイプラン」を作成。

・プラン作成をきっかけに、支える側・支えられる側ともに防災意識の向上
つながった。また、要支援者と民生委員の絆が強まった

・今後は、自治会やまちづくり振興会との連携も視野に入れて活動していく。


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