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つながるスイッチ!! -vol.13-支え合い推進会議 ― その⑨ ―「南薫校区」の取り組み


南薫校区コミュニティセンターの窓からは
五穀神社や中央公園の芝生の緑、

そこでスポーツしている人たちの姿などの眺めが広がり、

お向かいからは、幼稚園の子どもたちの声もあふれ、

明るい雰囲気に包まれています。

お寺でのジャズライブやイベントなどが盛んな寺町地区も南薫校区。
賑やかなエリアです。

ふらりと歩いていると、
お寺の前に「今月のひとこと」が
貼られています。

そのひとことがいつも心に染みる社協探検隊Pです…

今回も元気に
「つながるスイッチ!!vol.13」
スタートです!

支え合い推進会議の取り組みを紹介していくシリーズ第9弾。

今回は、「南薫校区」を紹介します。


南薫校区まちづくり振興会
会長 田中 幹雄(たなか みきお)さん
事務局長 河野 文紀(かわの ふみのり)さん

南薫校区自治会連絡協議会
会長 稲益 千白(いなます かずあき)さん


以上の3名にお話をお聞きしました。



1、困りごとアンケートから活動のスタートまで


南薫校区では、支え合い推進会議の中で「まずは地域の現状を把握する必要がある」という方向性が決まり、令和3年7月に75歳以上の高齢者を対象にした困りごとアンケートを実施しました。

各自治会にアンケートの配布や回収について協力をお願いし、スムーズに調査を終えることができました。

集計の結果、困りごととしては「庭掃除・草取り」が一番多く、
次いで「買い物」や「電球の交換」が多いという傾向がみえました。
この結果は、環境衛生連合会や防災士会、民生委員児童委員協議会などの校区内団体にも共有し、それぞれの専門分野の立場から、今後の改善策等を示してもらいました。

さらに、普段から自治会ごとの地域活動を大事にしている南薫校区では、「課題は地域ごとに違うはず。自治会別にアンケート結果を把握したい」という意見が数多く出ました。
その後、アンケート結果を自治会別にも集計し、支え合い推進会議から各自治会にフィードバックしました。
自治会ごとに地域性が異なり、それに伴って困りごとも様々でした。アンケートでそのことを改めて把握できてよかったです」と田中さん。

その次に行ったのは、自治会別アンケート結果を基にした各自治会内での話し合いです。
各自治会に対して、「“自分の地域の一番の課題は何か”“今後まず何に取り組んでいくべきか”ということについて話し合いの場をもってほしい」という投げかけを支え合い推進会議から行いました。

自治会の中で今後優先的に取り組んでいくことを1~3つほどに絞ってもらい、支え合い推進会議に提出してもらいました。それを見ると、各自治会の課題や考え方がしっかりと反映されており、各自治会が、自分たちのために自分たちで取り組んでいこうという意気込みをもっていることを感じることができました
と、田中さんが話されるように、各自治会が取り組むと決めた内容は、「ゴミ出しマナーの改善」「ゴミ出しが難しい人の支援」「放置自転車への対応」「防災対策」「自治会活動の充実」「交流の場づくり」など様々であり、また、具体的なものとなりました。

そのように各自治会の今後の方針が決定した後には、
普段、支え合い推進会議のメンバーではない自治会長にもオブザーバーとして会議に参加してもらい、自治会間の情報共有、校区全体としての活動の流れの確認を行いました。

そして令和5年4月から、
自治会ごとに決めた活動を、自治会ごとに一斉にスタートしていく予定です。

支え合い推進会議の様子


2、「自治会」活動と「支え合い推進会議」



南薫校区は、23地区ある自治会それぞれに団結力が強く、その基盤の強さが校区全体の地域づくりを支えています。

自治会によっては、役員会議も定期的に行っており、地域課題の共有や自治会活動の話し合いなどが活発に行われています。


ルールを決めていなくても、自然にご近所同士で困りごとを解決している例がたくさんあることや、「地域のためにできることをしたい」という意識をもって自主的に活動している自治会役員が多いことからも、南薫校区の自治力の高さがうかがえます。
支え合い推進会議の場でも、「地域の困りごとを吸い上げて、その対策を自分たちで考える。それが自治会の役割だ」という意見が毎回のように出てきます。


寺町自治会の自治会長でもある稲益さんは、
自宅入り口に、住民が自由に意見を入れられる「受付箱」を設置しています。

「受付箱は、地域に住んでいる人が気軽に意見を言えるように置きました。
また、近所の人のゴミ捨ての手伝いなど、ちょっとした手助けは日常的にしています。
小さな活動の積み重ねが住みやすい地域をつくると思っています」と稲益さん。


このように自治会ごとにすでに様々な活動が行われているなか、支え合い推進会議で困りごとアンケートに取り組んだ理由を田中さんは次のように話されます。

「改めて支え合い推進会議で取り組んだのは、地域の足並みをそろえるためです。
やはり、自治会によっては活動に対する意識に差があります。すべての自治会が「地域をよくしたい」という積極性をもつことで、地域全体が活性化していき、それが南薫校区を盛り上げていくことになると考えています。
また、支え合い推進会議の中で取り上げることで、意見交換ができ、地域の悩みを共有することができました。例えば、ある自治会では対応が難しいと感じていたことも、他の自治会では工夫しながら対応していて、それが活動のヒントになるかもしれない。もしくは、自治会だけでは出来ないことも、それを会議の場で皆が知ることで、支え合い推進会議やまちづくり振興会でサポートできるかもしれない。
このように校区全体で協力し合って、困りごとを一つひとつ解決していくために支え合い推進会議を行っています」

稲益自治会長宅の玄関先にある「受付箱」


3、活動して思うこと、これからのこと



●田中さん

支え合い推進会議では、スピード感をもって中身のある会議を行いたいと思っています。実のある活動をすれば、それが次の活動の種にもなります。今までの伝統を大事にしながら、そこに、必要な味付けをしていくイメージで校区をよくしていきたいと考えています。
また、ここ数年、自治会の加入率は維持した状態ではありますが、マンションの増加などで今後、加入率が減っていくのではないかと懸念しています。子ども会の加入率も、多かった時期の3分の1ほどになりました。周りとの関わりがだんだん希薄なっている時代だからこそ、自治会の活動を大事にし、元気で楽しく住みやすい町をつくっていきたいです。


●稲益さん

私が住む寺町自治会の地域活動の手伝いを始めて20年くらいになります。自分が役に立てることがあれば、これからも積極的に活動していきたいです。以前、自治会の集まりの時に「みんなでカラオケをしたい!」という声が出たことから、カラオケサークル活動を行うようになりました。このように住民の皆さんの意見を丁寧に汲み取っていきたいです。今後も、寺町自治会の皆さんが安心して暮らしていけるように、住民の困りごとをキャッチし、できるかぎり地域の力で支えていきたいです。また、楽しい活動やイベントを行うのもいいですね。


●河野さん

南薫校区は、自治会の皆さんの協力のおかげで、決断や活動など全てがスピーディーだと感じています。また、「コロナ禍でも支え合いは必要だ」という考えから、開催が難しい時でもオンラインで支え合い推進会議を行い、歩みを止めませんでした。さらに、会議進捗について定期的に広報紙に掲載し、校区住民にも活動を知ってもらえるようにしています。皆が同じ方向を向いて進んでいるのが南薫校区の強みだと思います。
南薫校区も高齢化が深刻で、後継者育成が課題となっています。今後は、若い人にも地域活動に参加してもらいたいです。体育部会やPTAなど若いメンバーが所属する部会がいくつかあるので、その人たちを少しずつ地域に巻き込んでいけたらいいなと思っています。


4、取材を終えて

今回の取材場所だった南薫校区コミュニティセンターの窓からは、五穀神社や中央公園の芝生が見渡せました。その開放感と元気な皆さんのおかげで、明るい雰囲気の中での取材となりました。
南薫校区は「いきいきサロン」活動なども活発で、集まる回数も多いそうです。何事にも積極的で行動も早く、南薫校区を大事に思っている皆さん。
取材の中で、田中さんが「南薫校区には寺町や五穀神社、中央公園などたくさん魅力的な場所があるので、ツアーを組んでたくさんの人に遊びに来てもらいたい!」と笑顔で話されていました。もしかすると校区発信の観光ツアーがいつか誕生するかもしれません!楽しみです。


  稲益 千白さん            田中 幹雄さん       河野 文紀さん

「健康管理が一番です!」と話す田中さんは、毎日10kmのウォーキングが日課だそう。稲益さんは日曜大工が趣味。家の簡単な手直しは全てご自身でされています。あと1日の最後に味わうお酒が何よりの楽しみ。河野さんの趣味はゴルフ。月に1、2回は遠出をして回っているそうです。「なかなかいいスコアを出しますよ♪」と河野さん。野球観戦も好きだそうです。


【まとめ】

自治会ごとの課題把握や活動を大切にしている。

自治会それぞれが「自分の地域をよくしたい」という
意識をもつことで、校区全体も元気になっている。

自治会だけで対応できないことは
支え合い推進会議や校区がフォローできないか考える。

・「できること」を考えて地域活動の歩みを止めない。


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