イングリッシュスクールで思ったこと


※イングリッシュスクールでの出来事なのですべての会話は英語で話されています。

学校のロビーでイタリア人のレオナルドと話していた。彼はでかいバイクに乗っていつも学校に来ていたのでかっこいいねと褒めたらオーストラリアに来てから買ったけおかげで金がなくなったから国に帰らないといけないかもしれないと言っていた。

青い目で虚空を見つめ美しい白金の髪をかき上げるその姿はアホとは似つかわしくなかったけど彼は多分アホだった。勉強も全然してないみたいで過去完了の使い方も全然理解できてないみたいだった。

話しているとロビーの入り口から数人の日本人の女の子が「レオー!」と彼を呼んだ。彼は僕との会話の途中だったのに話を千切るように立ち上がり(背が高い。190センチくらいあった)女の子のほうに言ってしまった。女の子たちは上級クラスの子でもう下級クラスの日本人の僕なんかもうそこにはいないかのように目もくれなかった。

レオが彼女たちに近づくと女子達はそれだけでキャーキャーと甲高い声で笑い室内なのにサングラスをしてる女の子が「今日は私の誕生日なんだよ?」と英語で言った。彼は「オウ!ハッピーバースディ!」と言って彼女のほっぺにキスをして抱きしめた。またキャーキャーと笑い彼女たちは去っていった。彼は帰ってくると席に着きながら「日本人の女の子と韓国人の女の子は本当に簡単」と言った。簡単と言うのは抱けちゃうみたいなニュアンスだった。これは差別なのか、もてない男のひがみなのか、彼のパーソナルを知らずにオープンな白人男性ってだけでキャーキャーなっちゃうことにも問題があるのか、そこを問題だということが問題なのか、そもそもそんなこと英語で説明なんか出来ないし、言えたとしても彼も理解できないだろうとかいろんな思いが逡巡したあと結局「ふーん」ということしか出来なかった。

そのあと一週間前までタイにいたという日本人がやってきて輪に混じった。彼はタイで風俗に行ったら抱いた人が実はニューハーフの元男の人だった。という話をしてくれた。「触るまで本当にわからなかった。肌に触れて初めて、男だって思った。やっぱりどんなに綺麗でも肌は違うんだよ。女の人の感じじゃなかった。結局最後までいったけど」

英語を勉強して気がついたのは、僕は日本語を母国語とする人で「日本語」というものを必然的になんとなく読めるし、理解できるので言葉にはいろんな種類があるということにあんまり自覚的じゃなかった。日本語は総じて日本語だと思っていた。でも言葉って実はもっと色々ある。英語でスーパーで買い物をしたり、日常生活を送ったり、最近あったおかしい話なんかを聞いたり話したりすることは少し出来る。

でも英語話者しかいないアルバイト先で業務についての説明を受けたときやニュース番組だったり、ロードオブザリングの細かい情報が出てくるシーンなんかは全然わからない。言語が同じと言うだけで種類が違うのだ。これはもう勉強するしかない。

そして逆に面白かったのは、日常的なコミニュケーションは知識としてその言語を知っているかどうかとはあんまり関係ないというところ。当時英語を一日10時間は勉強して先生も驚くほど(営業驚きだったかもしれない)英語が上達した僕は授業中に喧嘩を始めるブラジリアンや、マリファナがどこで売っているかをみんなに教えてくれるイタリア人親子を置き去りに中級クラスに昇格することが出来た。知識を得て話せることも増えた結果、僕はやっぱりあまり話せなかった。人見知りで口下手な僕は置物みたいにクラスで黙りこくっていた。コミニュケーションは知識じゃない。話したいことがあるかどうか。イントネーションも語彙力も壊滅的なブラジリアンの女の子がネイティブの先生と楽しそうに喋りまくる姿を見ながら心底実感した。

こぼればなし
 台湾からきたという男の人と仲良くなった。他のクラスも含めて何人かの台湾人がいた。彼らは休憩時間になると現金を出して、渡したり受け取ったりしていた。何をやっていたのかはいまだにわからない。
ブラジル人のクラスメイトはみんな「ビーチ」(海とかのビーチ)という発音の伸ばすところが難しいみたいでみんな「ビッチ」と言っていた。意味が全然違いすぎておかしかった。めちゃくちゃ顔の濃いキューピーちゃんみたいな顔をした男でバナナがめちゃくちゃ安いことや、長く付き合ったカップルは結婚せずに別れるときに男性は女性に慰謝料を払わなければならないこと、オーストラリアに来られるのは裕福な人だけなどブラジル事情を沢山教えてくれた。ブラジルの人はすごく陽気で、勉強なんかしたくない楽しい話をしよう!見たいな感じだったので大学生とかなのかと思っていたら皆、自国ではエリート銀行員で会社から金を出してもらってきていると話していて驚いた。
タイの女の子が僕の「ゆう」という名前を書いてくれたが本当にこれが文字なのかと思うくらいタイの文字は複雑でこれを今から習うとしたらちょっと大変だなと思った。
エジプト人クラスメイト(バスストップに出てきたアフマド)も書いてやるよと書いてくれたのがほぼただのクネクネした線でそれもかなり衝撃的だった。
関係ないけどアフマドは突然授業に来なくなりしばらくして帰ってきたと思ったら頬がこけて目が落ち窪んで、会話もたどたどしくなっていた。麻薬をやってたと思う。アイムノットシュアだけど。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

10

やましたゆう

さみしさが好きです。 文章を書いています。演劇をつくったりもしています。 次回公演Pityman「ばしょ」2019年9月20日(金)~23日(火)@新宿眼科画廊 連絡→pityman0@gmail.com

水着はないけど、スカボロービーチ

Pityman「ばしょ」公演特別連載 2019年9月20日~24日@新宿眼科画廊 山下由のオーストラリア滞在記。ウルルは大きな赤ちゃんみたいでした。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。