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BBQでの出来事

友達がホームステイしている家でバーベキューをやるけど来ないかと誘ってくれた。
オーストラリアでのバーベキューは日本とは少し違っていて、パティやソーセージを焼いてソースや野菜とパンにはさんでビールで流し込むどっちかと言うとハンバーガーの延長に近いものが主流。

友達がお世話になっている家は10メートルくらいの大きなプールのある真っ白な家で、知らない人が広い芝生の上に沢山集まっていた。あっちの人たちはよくバーベキューをやる。天気が常にいいのと、広い土地、土日に休まないやつはクレイジーだという考え方があるからだと思う。(土曜日に勉強をしていたら本当にクレイジーだといわれた。)
そしてバーベキューには必ず知らない人が沢山いた。どういうつながりかわからないけど、誘われた人は誰かを誘い、そのまた誘われた人が誰かを誘う。

人見知りで酒も飲めない僕は肉ってよりパンを沢山食べてる感じだなーとか思いながらみんなの話を聞いていた。
小学生くらいの女の子も来ていた。ユミカは日本人夫婦の子供で、親子移住でこっちに来てまだ1年くらいだった。
大人と話すのは苦手だけど子供と話すのはすごく好きだったのでひたすらユミカと追いかけっこをしたり、草笛を吹いたりして遊んだ。彼女も大人の会話がつまらないみたいでずっと僕をくすぐろうとしてきた。

一人のケイという日本人の女の子がホームステイ先であった話をしていた。ショートカットの黒髪のスラリと背の高い、いたって普通の日本人の女の子と言う感じの人だった。

ママに今日は何が食べたい?って聞かれたからちょっと考えて、麺類が食べたいなって思ったの。だからヌードルっていおうと思ったのに日本語で「麺」って言っちゃったの。そしたらママの顔がすごいびっくりしてて「あ、間違えた日本語で言っちゃった」って思ったら「あなたメンが食べたいの?」って。ママはメン(men 男の複数形)って私が言ったと思ったんだよねーあはははは

僕はユミカと遊びながらも子供とばっかり遊んでるのも大人気ない気がして、それとなくビールを飲む人たちの会話に入り込もうとした。僕が大人の中に入ってしまうとユミカは遊んでくれる人がいなくなり退屈そうに一人で座っているのがかわいそうだった。そしてまた僕のところにやってきては追いかけてもらおうとくすぐってきた。走りすぎて疲れていたけど、追いかけてもらおうというあざとさが健気で結局また追いかけっこをはじめる。
それを見る周りの「あははは」という笑い声がなんともいえず恥ずかしかった。

少し遅れて別の日本人の男の子もやってきた。男の子は少し離れたところで家の人に招待してくれてありがとうとか言いながらビールを受け取っていた。
話は変わってこっちで恋人ができたかと言う話になった。ケイはこっちに来てからオランダ人の恋人が出来た。英語で会話してるけど喧嘩になると向こうがオランダ語でまくし立てるからわけがわからない。と言う話をしていた。すると来たばかりの男の子がケイを指差して「おーケイじゃん!久しぶり」と言った。
二人は別のコミュニティーで知り合いだったみたいで久しぶりの再会を喜んでいた。男の子はさっきの話を聞いていたようで「恋人出来たの?」と彼女に聞いた。ケイは目をそらしながら「え、あ、うん」とぎこちなく答えた。恥ずかしいのかな?と僕は思った。男の子は続けて「日本に彼氏いたんじゃなかったの?」と言った。
「ちょっと言わないでよー!」ケイは笑いながら男の子の肩口をたたいた。周りは「ヒュー」とはやし立てた。

僕の隣では25歳の女の子が付き合ってすぐ帰国した18歳の彼氏くんが電話にすぐでないとめちゃくちゃに怒る。電話は一日に10回はかけてくる。と愚痴っていた。キッチンの窓は開け放たれていて家の持ち主の夫婦が洗い物をしながらキスをした。

ユミカが帰り際に僕にチョコレートをくれた。「またね」チョコレートは袋の上か袋の上からわかるくらいぐしょぐしょに溶けていたし、オーストラリアのチョコはただでさえねっとりした触感だし甘すぎるのであんまり欲しくなかったけど「ありがとう」と受け取った。

これがオーストラリアのバーベキューです。

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