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#6【58歳女子 ロンドン留学日記③】~ただいまロンバケ中~

人生のうち、一度でいいから外国に住んでみたい!
この夢を、いま叶えることにしたロングバケーション中の58歳女子。

初ロンドンの、それなりに辛い2週間が過ぎた頃、奇跡が起きました。
嬉しすぎて眠れなかった夜。
ロンドンでこんな日が来るなんて!


ピアニスト角野隼斗(かてぃん)くんがロンドンに!

ジャンルも国も越えて大活躍するピアニストの角野隼斗さん。
私がファンになったのは、3年前のショパンコンクールより少し前に、彼の「きらきら星」を聞いた時からです。
もう、全てがキラキラしているのです。

全てはここから始まった

友人が知らせてくれたXの投稿記事。

信じられないのは私のほうです!
時は私がロンドンについて1週間ちょっとのジタバタ期間中。
4月22日って、すぐじゃないの!?
まさに神様からのギフトー!!

ロイヤルアルバートホール

ロンドンのロイヤルアルバートホールとは、歴史も深く権威ある音楽シアターです(なんてことももちろん知らなかったけど!)。
急ぐべきはチケットの予約。

公式ホームページから4月22日(月)の公演は・・・と調べると、クラシックFMライブ?
角野隼斗くんの名前はありません。たくさんの人が演奏するのかも?
とにかく予約入力画面へと進みます。
ちなみに、日本で彼のチケットは、ファンクラブに入っていても(私も会員)、チケットの入手は相当に困難です。
やがて、なんとかチケットをゲット!
この時点ですでに6日前。知らない土地で心が折れそうな日々も、あと6日は間違いなく頑張れると思いました。

幸せの絶頂へカウントダウン

体当たりの毎日ですが、角野さんの演奏が聴けると思うと元気が出てきます。そしてそのXデーは、着実に日一日と近づいてくるのでした。
楽しみな気持ちと同時に、「この一大イベントが終わったら、どうなっちゃうんだろう、ワタシ。終わらないでほしい~」という気持ちも募っていきます。もともとがネガティブシンキング。

イベント前日の日曜日は、念入りに会場の下見をしました。
当日の授業終わりは夕方6時。イベントの開会は7時半。学校から会場までは50分近くかかるので、絶対に道に迷うわけにはいきません。

会場の最寄り駅、地下鉄サウスケンジントン駅から会場まで歩いてみます。あそこ!?と会場らしき建物が見えてきた時には泣きそうになりました。

正面に見えるのがロイヤルアルバートホール

私は明日、ここで角野隼斗くんに会えるのね?
彼は今、この近くに泊ってたりして?
いつもの妄想癖で一気にテンションが上がります。

待ちに待った当日

学校はこの日から、90分×3コマの授業が始まりました。
あんなに英語の猛特訓を誓ったけれど、すでに初日から切れています。
とにかく6時きっかりに学校を飛び出したい!

地下鉄キングスクロス駅は、たくさんの路線が乗り入れる大きなターミナル駅。深い地下へ地下へと降りていきます。
えーっと、サウスケンジントン駅まで一番早く行けるのは?もう一度確確認しておこう・・・。
とグーグルマップを参照するも、なんということでしょう。スマホがまさかの圏外です。なぜに今??
少し前に地上で確認した路線のホームに着くと、入ってくる電車の行先が全部違います。乗っていいのか、いけないのか?
イチかバチかで飛び乗り、通り過ぎる駅を一つ一つ間違っていないかガン見しながら、最寄りのサウスケンジントン駅に到着。
ここからは大丈夫。きのう下見したんだから。予行演習どおりに進みます。下見しておいて本当によかった・・・

地上に上がると、コンサートに向かうらしきの人々もたくさんいます。けっこう服装はカジュアル。
実は、歴史ある音楽シアターだし、ちょっとでもフォーマルに?と考えて唯一持ってきた薄いワンピースにトレンチコートという寒々しいいで立ちで臨んでいました。マジ寒かった。ダウンにスニーカーでもOKだったことがわかりました。

ラジオ局主催のコンサートに向かう人々

開演。ラプソディー・イン・ブルー

会場に到着したのは開演15分前。ある意味すごい席でした。一番上の、仕切られた小さな部屋の一番後ろ。ですが椅子を動かしたり、いってみれば気楽な席です。

開演前、会場内はこんな感じ
右が私の椅子。始まったら見やすい位置に移動

演奏はロイヤルスコティッシュ管弦楽団、ベンパーマー氏の指揮。
有名な曲が、いいとこ取りのコンパクトバージョンで演奏されていきます。

オペラスターも次々登場

プログラムは進み、前半の最後。いよいよ角野隼斗くんの登場。
数々の受賞歴とジャンルを超えた音楽家「ハヤート、スミーノ!」と紹介されて、華々しく登場しました。

オペラグラスを持ってくればよかった

ジャズアレンジを加えたガーシュインのラプソディー・イン・ブルー。
途中、彼のいつもの鍵盤ハーモニカのパフォーマンスにも会場は大喜び。
そして感動のラスト・・・!
最高です!しびれました。

拍手喝采!会場は大盛り上がり

感激のサプライズ

休憩中にワインも飲んで一息、後半は気楽に聴いてさっさと帰ろう~、と思っていました。
コンサートがお開きとなり、出口に向かうと長い列があります。
なんと!角野隼斗くんののサインがもらえるとのこと!プログラムに!
到着時はブログラムを買う余裕もありませんでしたが、とにかくプログラムをゲットしないと!買える場所を聞いて、ダッシュで買いに行ってダッシュで戻りました。
途方もなく長い列。ですがやがて、それは有名な権威ある指揮者、ジェンキンス氏のサイン待ちの列だということが判明。皆さんCDも持っているので、係のお姉さんに「ハヤトスミノのサインをもらうにはCDも買うべき?」と聞くと、「ちょっとあなた、こっちよ」と短い列に連れていかれ、その先に角野さんがいることがわかりました。

サイン待ちの長蛇の列

サインとまさかの・・・!

さっそく並んでいると、私の前の女性に「日本の方ですか?」と声をかけられました。「このために日本から?」と聞かれ、これまでの珍道中を手短かに説明。その彼女はロンドンに20年も住んでいて、日本にいるお友達から「すごいピアニストがそっちに行くから、絶対行った方がいい」とすすめられて来たのだとか。名前はミサさん。
だんだん私たちのサインの順番が近づいてきます。
ええーっ!?
こんなに時間がかかっていたのは、一人一人と記念撮影をしていたのでした。日本では考えられないことです。
7時半に開演して、この時すでに11時近く。疲れも見せず、にこやかに丁寧対応している角野さん。泣けてきます。

演奏といい、神対応といい、感謝しかありません

私もツーショットを撮影してもらい、家宝にするサインもいただいてきました。

サインはプログラムの表紙に

ニューフレンド

にわかファンのミサさんもなぜか興奮気味。駅までの道すがら、「私はこのためにロンドンに呼ばれたと思う!」と私が言えば、彼女は「がんばってください、とか当たり前のことしか言えなかった…」(ほかに何を言う?)とか「握手してくださいって言うの忘れた!」などとしきりに言っています。「だけど、最高だったよね~!キャーッ」。
二人ともエキサイトし過ぎて駅を通り越してしばし彷徨い歩き、忘れられない夜に。嬉しい時に話せる人がいるって、なんと幸せなことなのでしょう

寮に帰り着いたのは12時過ぎ。あー早く誰かに自慢したい!
早く寝なければと思いつつ、一人だけどビールで乾杯し、幾度もこの日のことを思い返すのでした。


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