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#3【58歳女子 ロンドン留学への道③】~ただいまロンバケ中~

ついにきました。旅立ちの日。
人生のうち、一度でいいから外国に住んでみたい!
この夢を、いま叶えることにしたロングバケーション中の58歳女子。
いよいよヒースロー空港に向けて出発します。

この1週間、何をしていたのか

とにかく時間がありませんでした。
これといった進んだ感がないまま、時間はあっという間に過ぎていきます。
おばさんの留学準備って、若い人とは違う準備がたくさんあります。

【持ち物の準備】

なんとなく、あれを持っていこうとか、これがあったら便利だろうな、といったイメージはいつもありました。だけど厳選して種類や数を確定するとなると、これが結構な大ごとなのです。
とりわけ時間がかかったのが、初めて使う品々の実験。

ロンドンでご飯を炊くために

例えば、レンジでご飯を炊く容器。
私は学生寮のミニキッチンがついた部屋に滞在予定です。米と醤油だけは絶対にもっていこうと決めていました。電子レンジで簡単に炊き立てのご飯ができたらどんなによいでしょう。しかもロンドンで。

まずは100均のお店で買った容器。
12分レンジにかけて、取り出して混ぜて、弱めのレンジにまたかけて、取り出して15分蒸らす、って結構な手間でしたが、できたのはカチカチのご飯。失格。
もう少しお金をかけたらどうなのかと、次にアマゾンで380円の容器を買ってみました。9分レンジにかけて、取り出して15分放置。感動的に美味しくて、こちらは合格!

これだけで数日かかっております。

ウォッシュレット問題

日本では今や当たり前のウォッシュレットですが、ヨーロッパではあまり普及していません。「温水洗浄便座」に慣れてしまっている私たち。イギリスに行ったらどうなっちゃうの?
この問題は、心の片隅にずっとありました。静かに。
友人に打ち明けたところ、世のビジネスマンは海外出張の際、携帯用ウォッシュレットなるものを持参しているのだとか。そんな優れモノがあるの?
さっそく検索したところ、電池でお湯が出てくるタイプ、ペットボトルのような容器をギュッと押して水が飛び出すタイプ、色々あります。
これこそ実験はマストでしょう!さっそく値段が手ごろな手動タイプを購入してトライ。まずは便座がビショビショに。これは猛練習が必要かも。だけど、何してるんだろうワタシ・・・?
時に我に返って戸惑いつつも、不安を一つずつ解消するための時間はどんどん過ぎていくのでした。

お洋服選び

さらに衣類。向こうでは何を着る?何を持っていく?
学生っぽい服とは。というところから考え始めました。仕事用の、わりときちんとした服はたくさんあるのですが、これじゃ見た目が先生になっちゃうよー?(英語話せない先生はいないけど)などと自分にツッコミを入れながら、孤独なファッションショーは続きます。
やがて、引き出しの奥から大昔のジーパン(近頃はデニムと言います)が出てきました。果たしてジーパンは入るのか?と思ったらなんと(無理やり)履くことができました。
そしてこれまた古い黒革のライダースジャケットも取り出して合わせてみると・・・、けっこうロンドンっぽい!?
誰もいない平日の昼間。家の中でサングラスまでかけて鏡の前に立ってみると!なんかヨーコオノみたいじゃない~?ヨーロッパのマダム風?
意外なところでスイッチが入り、テンション爆上がり。ほぼコスプレ。いやいやこれで外を歩くのはどうなんだろう・・・。だけどチラ・・・。
勘違いでもいい。アブナイおばさんでもいい。なんだか楽しい!
こうやって時間はどんどん過ぎていくのでした。

時間を足りなくさせたのは

ヒュー・グラント

ノッティングヒルの恋人。この映画はロンドンに行く前に絶対見たいと思っていました。動画配信の無料お試しにて、1週間前を切った月曜日の夜、ついに実行。
そして!誠にもって今さらですが、英国男優のヒューグラントが素敵すぎる!
残りの火水木金の夜、毎晩1ヒュー(の作品を見る)のノルマを自分に課すことにしたのでした。
アバウトアボーイ、ラブソングができるまで、フォーウェディング・・・
まさに寝る時間を削ることに。

ベイ・シティ・ローラーズ

そんな中、もう一つ渡英を楽しみにさせてくれたのがBCR。
先日久々に会った中学の友人の「外タレはベイシティローラーズから始まったよね」という言葉を思い出し、にわかにBCRを聞き始めてみました。これが!なんともイギリスっぽい(気がする)のです。赤いタータンチェックのBCR旋風が吹き荒れたのは私が小6か中1、1978年頃かと思います。当時はそんなに興味もなかったのに、長い年月を経た今、こんなにたくさんの曲を知っていたなんて!サタデイナイトをフツーに口ずさめる自分に感動。
ビートルズは神だけど、BCRはね、近い!
58年間生きてきた中で途中見過ごしてきた景色を、私は今、取り戻そうとしているのかも?
そう考えると(お目目キラキラ風に)、このロンドンへの冒険がものすごく意義があることに思えてきます。

正直、出発が近づくほどに不安の方が大きくなっていったのですが、出発前最後の数日は、ロンドン行きがとても待ち遠しくなってきたのでした。

前日!パッキング大詰め

荷物は想像以上に多く、スーツケースが閉まりません。
大人の長期海外滞在の秘訣は、なるべく普段の生活を変えないようにすることだと信じていた私。
だからウォッシュレットも必要だし、石鹸もいつも使っている洗顔用ソープ、ボディソープ、シャンプー、なんなら台所用洗剤もいつものでなければ、とかたくなに思っていました。(学生寮はホテルと違って消耗品はありません)
液体の石鹸類が揃うと、当然ながらかなりの重さになっていました。明らかに飛行機で預けるには重量オーバーです。すでにお米や調味料などもスーツケースに鎮座しています。

この日、渡英前最後の美容室にも行きました。美容師さんにパッキングの苦労話を熱く語ってみたところ、衝撃の一言が。
「わたし、顔も体もちょっとした洗濯も、ぜんぶ牛乳石鹸で済ませてますけど」。

石鹸1個あれば、なんでもできる。まさに目から鱗の瞬間でした。
そもそもおばさんが海外留学を決意するとは、「向こうでなんとかやってみよう!なんとかなるさ!できるさ!」というのが醍醐味だったはず。それなのに、私はいつの間にかすっかり安全志向の守りに入ってしまっていたのでした。もちろん安全に健康に過ごすことは大前提で、最も大切なことではありますが。
いつもの毎日ではない日常を体験する。外国に住んでみたいって、そういうことだったんじゃないの?
持ち物なんか適当でも大丈夫。大切なのは飛び込んでいく精神でした。
結果、ギリですが荷物の重量は制限内に収まりました。

当日の朝


今朝、羽田に向かう途中から、近年まれにみるワクワク感があふれてきました。短くも長かった準備期間からやっと解放され、いよいよ楽しめるフェーズへ。

とにかく進むしかありません。
力いっぱい楽しんできます!


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