猶木閑子

音楽と妄想と石と甘いものが好きです。 エブリスタで書いていた詩や、エッセイなどを気ままに投稿する予定です。 →http://blog.livedoor.jp/kurushimany/

ゼロ

私の部屋には海がある 誰も知らない海がある 布団を捲り手繰り寄せ 波打ち際へと辿り着く 土踏まずから少しずつ 徐々に体を馴染ませて 大きくひとつ深呼吸 両目を瞑り覚悟...

あまやどり

ふたりぼっちの散歩道 静かに重なる足音は 同じテンポからずれていく 僕はひとり上の空 遠くの電線を見つめている 突然変異の黒い雲 あなたはひたりと足を止め 手のひらを...

Mangata

あんたのお気に入りの腕時計 月面模様の文字盤を うんざりするほど自慢してた ガラスを撫でる指先が 妙に生々しく蘇る あの日あんたが望んだ答えを それらしく唱えてあげ...

残り香

初夏の陽気に汗ばむ額 緑の合間に降る日差し 流れる水のささやきを 聞かずにぼくは歩いてく きらきら呑気に揺らめく水面 甘い匂いのあめんぼう 今日の小川は穏やかで 水位...

三角フラスコ

何てことないエルレンマイヤー 透明なままゆらゆら揺れて 小さな泡と大きな泡と ぽこぽこ無邪気な音が鳴る “大切なものをひとつだけ” いったい何を閉じ込める? 例えば...

to You

雨音の響くバス停で 窮屈に握る折り畳み はみ出た肩が濡れながら 袖が湿って重くなる 小さなブーケをぶら下げて わたしはひとりで立っていた “Happy Birthday to You” ...