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四季折々の俳句 25




「 コート 」

につぽんが華やいでをり正月富士

かへりみる成人の日ははるかなり

かんぱいのあと好き好きに新年会

あかん坊が手足ちぢめて寒波来る

町中のポスト真つ赤に凍ててあり

わらふ顔ばかりのかがみ開きかな

魂が飛び出しさうなくしやみかな

おほぞらへのぼつて行かん冬の坂

うたた寝て試験のあとの炬燵かな

絵ぶすまのなかにも一人旅のひと

寒星やいつでもいつまでもひとり

落ち葉掃く音にはじまる一日かな

あさぞらに太陽さがすさむさかな

水仙やあるともしれぬかぜのいろ

ゆめの世や揺れてまばゆき水仙花

せんせいとふたりの茶室すきま風

年ねんに重くなりゆくコートかな

着ぶくれてわがみちをゆく女かな

寒紅をさしてしあはせ待つひとよ

灯のひかりとぢこめて露凍りけり

寒星やひとりぐらしの灯がひとつ

大寒の戸をばりばりとあけにけり

いつもより嶺々とほくある大寒よ

人の世へうなづきやまず日向ぼこ

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