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四季折々の俳句 28




「 帰る鳥 」

春障子こころもろともひらきけり

さきがけて空に響かすうぐひす笛

おほいなるフェリーの汽笛雪の港

背中押すバレンタインの日の風よ

揚りゆきそれつきりなる雲雀かな

勿忘草わすれたころに咲きにけり

誰しもがいつぺんの雲のどかなり

のり巻いておむすびといふ母の愛

子どもらへわらひて母は春の風邪

日だまりに寝ころぶここち春炬燵

馬鹿らしくなりてわらへり花粉症

たびびとのゆくへは知らず春の雲

はつ恋をおもひださせよさくら貝

真向かうてちからをもらふ春夕焼

があがあといのちをうたふ蛙かな

鳴きなきて夜をふかくする蛙かな

耳ばかりうごいてをりぬこたつ猫

尾を立てて日なたあるくよ春の猫

どの雲も富士へながれる春野かな

帰る鳥とほくに富士の見ゆるなり

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