四季折々の俳句 46
「 待つ人 」
日なたぼこというしあわせ永遠に
わらい袋わらわせている小春かな
みなでゆく道こがねいろ銀杏散る
身一つでゆくのがあの世おでん酒
ゆめかたるひとに雪国まなりあり
初雪をみあげてゆめはゆめのまま
かおあげてはせるおもいは雪国へ
かじるたびこころ深まる冬りんご
顔だけがおもいだせずよ毛皮びと
夢も頬もふくらんでいる河豚の鍋
◇
錦鯉のほかはいろなき冬なりけり
一人傘さしてしぐれのどまんなか
図書館にくしゃみの余韻残りけり
なかなかに陽のさしてこず神無月
踏みしめてひとりのおとの落葉道
くじら跳ねて太平洋のしずかさよ
ほんとうのしら息はいて旅終わる
しんとあるからだのなかの冬銀河
あおぎみるひとりひとりが雪の花
待つ人にちかづいてくる聖夜かな
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