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四季折々の俳句 46


「 待つ人 」

日なたぼこというしあわせ永遠に

わらい袋わらわせている小春かな

みなでゆく道こがねいろ銀杏散る

身一つでゆくのがあの世おでん酒

ゆめかたるひとに雪国まなりあり

初雪をみあげてゆめはゆめのまま

かおあげてはせるおもいは雪国へ

かじるたびこころ深まる冬りんご

顔だけがおもいだせずよ毛皮びと

夢も頬もふくらんでいる河豚の鍋

錦鯉のほかはいろなき冬なりけり

一人傘さしてしぐれのどまんなか

図書館にくしゃみの余韻残りけり

なかなかに陽のさしてこず神無月

踏みしめてひとりのおとの落葉道

くじら跳ねて太平洋のしずかさよ

ほんとうのしら息はいて旅終わる

しんとあるからだのなかの冬銀河

あおぎみるひとりひとりが雪の花

待つ人にちかづいてくる聖夜かな

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