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手抜き介護 78 すりこぎでエア抜き

実家のリビングは、床板があちこちはがれて、補修の跡がモザイク模様になっている。食卓椅子にキャスターがついているので、その辺りは特にひどい。ホームセンターで買ってきたシール状のシートを、今回は切らずに大きいまま貼ろうと思った。

慎重にまっすぐ端の線を合わせて、シールをはがしながら貼っていく。エアが入らないように指でこすりながら作業していたら、母が「これ使うかい」と大きな円柱の木の棒を持ってきた。この家にある、一番古い家財道具だという。

「何に使うの」
「ごますり」

すりこぎかい! 何か手伝いましょかという気持ちは嬉しいけど、すりこぎでエア抜きは、残念ながら出来ない。端のラインがだんだんずれてきてエアが増え、汗も噴き出してきたところでヘルパーさんの時間になり、いったん剝がした。

第2ラウンドはテープで仮止めしてから始めると、ぴったりまっすぐの位置でスタート出来た。体重をかけて両端のテンションを保ちながら少しずつ床に合わせていくと、きれいに付いていく。なるほど、こうやったらいいのか! 最後までエアも入らず板目に沿って仕上げられて、とっても満足。父が「上手いもんだな」と言い、母は「今日は手巻きにしようか」と返す。会話のかみ合わせが良く分からないが、3人とも気分が良かったのは確か。

こんなにキレイに出来るのなら、ビフォーアフターを撮っておけば良かった。次の機会には準備しようと秘かに思った。


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