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手抜き介護 51 両親の旅

昨日と同じ、十数年前の話。両親が、兄のいる東北に旅行に行くことになった。父はもともと一人でどこにでも出かける人だから、兄宅も泊まったことがあるが、母は重い腰をあげての旅だった。多分、将来同居できるかの見極めなんかも兼ねていたのだろうと思う。
 
電車を乗り継ぐには札幌がちょうど真ん中にあるので、行きも帰りも我が家に泊まって行った。珍しいお客さんだから、私も随分前から迎えるシミュレーションをした。2人の寝室にはテレビを置き、旅館のようにウエルカムスイーツや電気ポット、クーラーボックスにドリンクなどを用意した。

食後の団欒の中で「雑草が伸びてるね」「トイレットペーパーが残り少なかったよ」「湯呑みに茶渋がついてる」と母からのダメ出しが続き、私は苦笑するのみ。翌日2人を駅まで送って帰ってきたら、夫は黙々と草取りをしていた。私はといえば、もちろん湯飲みを濃い漂白剤に浸す。

3日ほど経って、2人が旅帰りの1泊に来た。兄宅はどうだったか訊いたら、母が「モノがあふれている」「料理をしないのかガスコンロが外して置いてあった」と、もっと言いたいけど我慢しておくわ的に話した。そして、「アンタのところは行き届いてるわ」とひと言。行き届いてる?! 何があったか知らないけど、うちの上前はねた兄夫婦、ナイス!

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