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手抜き介護 86 常宿

実家がある街に来て、朝ごはん付きの小さなホテルに泊まっている。7時、朝食会場に行こうとドアを開けたら、ちょうど隣の部屋の人が戻ってきたところだった。また引っ込むのもヘンなので出てカギをかけると同時に、隣の彼も自分の部屋のカギを開ける。ドア同士がくっついている間取りなので、瞬間2人がぴったり並んだ。

女の人なら「おはようございます」くらい言ったかもしれないけど、体格の良い男性にこちらから声をかけることは、何となくできなかった。この男性、いつも深夜1時か2時ころ足音を響かせて帰って来る。部屋同士の音はあまり聞こえないのだけど、廊下の声なんかは結構響く造りのよう。

私が出かける頃には「Don’t disturb」の札がかかっているから、昼夜逆転気味なのかもしれない。今朝も出てくるときには札が見えて、ドア前にタオルやごみが置いてあった。でもごみはきちんと口が結んであるし、脱いだパジャマが隠れるようにバスタオルがかけてある。几帳面過ぎずだらしなくもなく、個人的には好印象。

朝食会場のスタッフも、私がいつも「ご飯を半分に」と言うので、「減らしましょうか」と声をかけてくれるようになった。その昔、「行きつけの喫茶店」とか憧れた時期があったけど、この年にして常宿と言ってもいい場所が出来つつある。

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