FPS 野望と絶望

何を思ったかチームを作ってFPSを遊ぼうとしたことがある。

だがリアルフレンドでFPSをやる様なベビーゲーマーはいない。
勤め先でも普段からゲーム好きを公言している痛いわしは、社内で大体のゲーマーを把握している。そんな中から目ぼしい人間に声をかける事にした。
メールでの呼びかけに、4名程の同僚が名乗りをあげてくれた。
わしのやりたかったゲームは1小隊8人編成だが自分を入れて5人おれば、チーム内で連携を取る事はできるであろう。こうしてチームクサオが誕生した。

やがてサービス開始当日、チームクサオは予定通り集結。
わし以外は皆、対人FPS初心者である。最初はやはり死にまくるであろうが、わしが指導し引っ張っていくしかない。
中にはスナイパーライフルをかついで来ている奴が二人ほどいる。
スナイパーはどのゲームでも初心者がやるには難しい兵科なのだが・・・うんうん、いいんじゃないかな。かっこいいよねスナイパー。
わしはさながら映画フルメタルジャケットのハートマン軍曹の様な心持ちで見守る事にした。

そしてついに始まったチーム戦はわしにとって最高に楽しいものであった。あまりの楽しさにチームメイトの事など吹っ飛んでしまうほどに。
わしは前線で気持ちよく重機関銃をぶっぱなしながらよく殺し、またよく死んだ。だがふと気が付くと、チームメイト達は死んでばかりで全くキルが取れていない。初心者であれば当然である。
しかしこの試練を乗り越えれば、そこには脳内麻薬出まくりの楽しい世界が待っているのである。これからも共に戦場を駆け回ろうではないか。
分かったかウジ虫ども、分かったら口でクソたれる前と後に『サー!』と言え!  わしはひとりご満悦であった。

そして次の日も、わしは高ぶる気持ちを抑えつつチームの集結を待った。
だが1時間、2時間待っても誰も来ず、結果的には初日以降二度と誰もログインしてくる事は無かった。
殺される事に慣れていない新兵達は、早々に心が折れて購入1日目にしてFPSに挫折したのであった。

チームクサオは1日で瓦解した。