ネトゲにおける挨拶

ここしばらく遊んでいた『ドラゴンズドグマオンライン(DDON)』のサービス終了が告知された。
RPGとしては色々と不満のあるゲームではあったが、アクション部分は良く出来ていた。やや惜しい気もするがここまでで引退する事とした。

終了告知があるまでは、DDONは長く遊ぶつもりだったのでクランにでも加入しようと考え、メンバー募集を行っているのはどの様なクランがあるのかを調べた。
がっつり遊ぶほどもう若くはないし、おちついて雑談でも楽しむ目的で社会人メインのクランを探し、実際とあるクランに加入もした。

だがルールに「ログイン、ログアウト時の挨拶必須」を謳うクランが多くて閉口した。DDONというゲームの傾向であろうか、特に「社会人(クラン)だから」という理由から挨拶を強制するクランが多く見られた。
ゲームでの挨拶そのものを否定するものではない。ただ、強制されてやるものでは無いとわしは考えるのである。

逆に挨拶、雑談禁止のクランもあった。
クランに入る事でのシステム的なメリットのみ享受したい者の為の集まりなのであろうが、コミュニケーションを求めてクランを探していたのでこの手のクランは眼中になかった。

ゲームでもリアルでも、挨拶はなるべく自分からするようにはしている。だが日常生活においては「社会人」でも挨拶をしない奴はたくさんいるし、そもそも社会人でなくても挨拶は可能な限りするべきだ。
だがマクロボタンをポチポチ押すだけの挨拶にはたしてどれだけの意味があるか、わしには分からない。

ところで毎日深夜4時まで遊んでいるというクラメンの彼は本当に社会人なのか?どうでも良い事であるが、わしには確かめる術はない。
とある社会人クランの規約には、お決まりの挨拶強制ルールの他に「他人に自分のゲーム流儀を強制をしない」とあった。矛盾しているのではないか?
かようにネットゲームにおいて「社会人クランだから」という理由で挨拶を強制するのは、ナンセンスだしなんとも滑稽だ。

社会人1年目、わしは新入社員教育にて最初に挨拶の仕方を徹底的に学んだ。そしてある日の退社時、営業課の先輩社員に「お疲れ様でした!」と元気よく挨拶をしたのだが、彼はわしに目を合わせる事もなく、見事にガン無視して通り過ぎて行った。つい先ほどまでは取引先と電話ですごい笑顔で会話していたというのに…
この時はさすがにショックを受けたが、営業という職種は顔で笑いながらも腹の中では権謀術数を渦巻かせている人々の集まりであるという事を後々理解した。
挨拶をしない人間は、こちらに挨拶する価値を見出していないか、そもそもコミュニケーションする気がないのである。世の中には色々な考えの奴がいる。
年を経た今ならば、誰に挨拶を無視されたとして特に腹も立たない。やはり強制する様なものではないと考えているからである。

10年来の友人でも礼儀を忘れず、初対面の相手でも旧知の間柄の如く本音で語る。ネットでもリアルでもそんな一期一会を心掛けたい。