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今日、青山教室、最後の授業

令和元年九月六日。枕草子最終段『跋文』を終了。一段も漏らさず、全段読破した。月一回の授業で、まる十一年。

このやり方で良かったかどうか分からない。短期間で終わろうとしたら、抜粋して読めばよいのだ。

でも、一段もぬかすことなく読んだ。

それはそれでよかったと思いたい。

永田町での地下鉄乗り換えは、怒涛のような人の流れが怖かった。

東日本大震災の後は余震が怖かった。地下鉄は大地震のときは走る棺桶になるのではないか。そう思ったりした。

青山教室の生徒は少なかった。開講ギリギリの数で始まり、結局、最後まであまり増減することなく今日を迎えた。

生徒は少なかったが、濃密なひとときを持てた。授業が終わるとロビーのカフェで軽食を共にし、文学から政治芸術までお喋りした。

十一年間、ついて来てくださった生徒さんたちにただ感謝あるのみ。

五十代、六十代、七十代、もうすぐ九十になる生徒さんもいる。わたしの至らなかったところはすべて彼女たちが補いフォローしてくれた。

十一年間、一度も休まず遅れずを貫いた自分の頑張りも大いに褒めたい。

休めるのはインフルエンザのときだけ。そう思っていたがインフルエンザにもならなかった。

生徒が「全段読破して達成感がある」と言ってくれたことが一番嬉しかった。

そう。達成感なのだ。

達成感以外に手に入れたものは何もない。修了証をもらえるわけではなし、何かの資格をもらえるわけでもない。実技系の講座なら、展示室に作品を並べたり、展覧会を開く歓びもある。

だが、教養系のクラスはそんなイベントはないのだ。

手にしたのは達成感だけ!

「達成感があった」と言ってくれた生徒さんたちの言葉が私の手にした花束。永遠に枯れることのない花束。

十月から一年、『更級日記』を読むことになった。今回は、生徒及び私の年齢を考えて抜粋をフルスピードで読むことにした。

全員が継続してくれ、新しい方の申し込みもあったらしい。

しっかり朝ご飯を食べて、白内障も手術して、絶対にインフルエンザにも罹らないで、頑張れ、私!

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