※当記事は「BBL Advent Calendar 2021」の25日目、最終日の記事です。

私はあの日を覚えている。
ダンスの審査中にぶっ倒れた君を。
何かの才能を感じる訳でもなく
ただひたすらがむしゃらに踊っていた君を。
控室で夢を語った君を。
初ライブの前に思いっきり不安を吐いた君を。
最有力とも言われながらも2度も涙をのんだあの日を。
それでも諦めずに努力を重ねる君を。
自分の「過去」と重ねたあの日を。
再び夢を追うようになれたあの日を。
そして今、その夢にあと一歩のところまで迫っているということを。
私は覚えている。君から動き出した夢を。

私は忘れない。
友人にも、教師にも、親にも夢を反対されたあの日を。
都内の高校に合格し、上京することが決まったあの日を。
上京の時に一人、深夜バスの中で泣いたあの日を。
来る日も来る日もオーディションに落ち続けたあの日を。
オーディション中に倒れて夢を語ったあの日を。
私は忘れない。プロデューサーさんから始まった夢を。

武道館での合同ライブ直前。忍が話しかけてきた。
「ねぇ、楠木Pさん?今更だけどさ、なんでこんな私をアイドルにしてくれたの?」
…今更聞くかそれ、と困惑する。数秒黙った後、こう答えた。
「夢をもう一度追わせてくれたからだよ。」
なにそれ、と忍はクスっと笑う。

-工藤さん、出番ですのでお願いします-

アナウンスが入る。
「あっもう出番だね、Pさん、行ってきます!」
駆けだした忍。その背中に向かって大声で
「夢を叶えて来いよ!」と叫んだ。

忍は少し立ち止まって、こちらに笑顔を見せて、
舞台に上がっていった。

ーステージには私だけ…夢が叶う瞬間…!ー

「みんなー!来てくれてありがとう!ここまで合同ライブ楽しんでもらえたかな?ここからは私、工藤忍のステージだよ!いっっっぱい頑張るから、熱い応援、よろしくね!」

‐色彩・君色、ツバサ、1/6の夢旅人2002、努努～ゆめゆめ～、プラリネ‐
1曲1曲力を込めて歌う。自分の曲から超有名ロックバンドの曲まで。

5曲目が終わり、最後の曲が流れ始める前。

…みんなー！楽しんでくれてるかなー?アタシはとっっても楽しいよーっ！
みんなの熱、伝わってきてるよ！だから、もっともっと熱くして！

私ね、この間ファンレターを貰ったの。
「忍ちゃんみたいなアイドルになりたい」って。
それがすごく嬉しくて、でも、いろいろ考えちゃった。

夢を追いかけるのは、楽しくていいことばっかりじゃない。
ひとりで泣くことも、才能に凹むことも、たくさんある。
そのことをちょっとだけ、知ってるつもりだから。

でもね、だからこそ、それでも必死に夢を追いかける人を、
アタシは応援したいんだ！大丈夫、ひとりじゃない！
いつだってアタシも一緒だよって！

アイドルのステージはね、アイドルへの夢と、毎日の頑張りと、
信じてくれるみんなの応援でできてるんだ。

その夢が叶う瞬間に「諦めないでよかった」ってそう思えるの。
そう思えたことが本当に幸せなの！
だから、このステージで、アタシもみんなに恩返しがしたい！

そこで今回のライブをするあたって、私が1から作詞作曲した曲を聞いてほしいの!夢を追う全ての人にこの曲を聞いてほしいな。
曲名は【夢追い人の旅路】だよ！

ーアタシのこの歌が、昔のアタシと夢を追う全ての人に届きますように!ー

輝く未来へと進め
私らしい輝きを放つ為に…♪

周りの声は聞こえていたけど
誰にも理解されなかったけど
輝く明日を信じて突き進んだのさ
幼き日に夢見た世界へと…

道は決して楽なんかじゃなく
何回も転んだけれど

仲間が居るから
ファンが居るから
何度でも立ち上がれるのさ!

輝く未来へと進め!
私らしい輝きを放つ為に
諦めなければ夢は必ず叶うさ!
夢見たステージは
決してゴールなんかじゃなく
これからも歩んでいくんだ…♪

夢への道のりは
遠く険しく
長い道でも迷わず突き進んでいく

雪に耐えて梅の花は咲き
霜を経て楓の葉は色づく

時には道に迷って不安になり
何回も振り返ったけど
仲間が居たから皆が居たから
前へ進めるのさ!

遥かなる未来へと進め!
私らしい輝きを放つ為に!
諦めなければ夢は必ず叶うさ!
あの日見てたステージは
光り輝く眩しい舞台で
その輝きに近づいている…♪

輝く未来へと進め！
私らしい輝きを放つ為に
諦めなければ夢は必ず叶うさ
夢見たステージは
決してゴールなんかじゃなく
これからも歩んでいくんだ…♪

～夢を諦められなかったあの日の君へ～完
著者：楠木

あとがき＆謝罪

～夢を諦められなかったあの日の君へ～
をご覧いただきありがとうございました。
12月25日、クリスマスの日が最終日となったBBL Advent Calendar 2021
まさかのトリを私、楠木が務めさせていただきました。

リアルが忙しく、そこまで本格的な小説を書けなかったことをここに謝罪しますm(__)m
制作経緯としましては、他の方がこういう小説タイプのものを書いてなかったので…適当に書くかぁ、とバイト帰りの2時間程度で書き上げた次第です。計画性が無い(迫真)

もしこの小説…？記事…？を見て工藤忍に少しでも興味を持って下さったら幸いです。