ノーベル賞を支えた「特許」~2019年ノーベル化学賞に想う
待ちに待った受賞、という印象を持った方が多かったのではないでしょうか。ノーベル賞候補と言われて久しかった、旭化成株式会社の名誉フェロー 吉野彰 博士 が、ようやくノーベル賞を受賞されました。
母校 京都大学 の大先輩ということもありますが、「企業研究者」の受賞ということで、今回の受賞は、特に非常に印象深いものがあります。
インタビューのお言葉の中に、ちょっと聞き逃せないフレーズを発見。
「企業研究は論文として表に出ないことが多く評価されにくいが、今回は特許で発明の証拠を示せた。ノーベル賞の委員会が特許まで見てくれたのであれば、ありがたい」
実際にどのようなやりとりが、ノーベル賞委員会側となされたのか、興味深いものがあります。吉野さんのコメントにある通り、分野にもよりますが、企業内の研究開発成果の多くは、論文としては公表されない、と考えておくのが良いでしょう。
しかし、論文として公表されない研究成果の中でも、重要なものは、必ず特許出願されます。今回の受賞の対象になった業績についても、論文ではなく、特許が一つの根拠になったのでしょうか。
そうだとすると、とても興味深いですね。
仕事柄、知的財産部門の方と、日常的にやり取りをさせていただくのですが、知財の仕事は裏方の仕事、ということで、表に出てきにくいことについてのいろいろな想いを、酒席などでお聞きすることがあります。
ですが、
「ノーベル賞につながった特許、私が出願権利化を担当したんですよ」
となると、結構、うれしいのではないでしょうか。
旭化成の知財部の方!
もちろん、製品化されて、収益にも多大なる貢献をしている、ということで、これまでもやりがいを感じてきておられるとは思いますが、
「ノーベル賞の根拠の一つになった、特許」
「ノーベル賞を支えた、特許」
となると、また趣も少し異なるのではないかなぁと。
特許や知財に関心を持つ方が、これからも、どんどん増えると嬉しいですね、知財業界の皆さん。
企業の研究者は、
「特許で存在感を示す」
んだよと、
「ノーベル賞にも効果ある」
んだよと。
ちょっと言いすぎかな(笑
楠浦 拝
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