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新規事業の参集障壁の1つは言葉かもしれないという話

議論をしていて、ある「言葉」の暗黙の意味付けの違いですれ違って、ふと気づいたら30分くらい過ぎてしまう打ち合わせを経験したことがある人も多いのではなかろうか。

同じある言葉であってもその言葉に対する解像度は、人によって様々だ。
例えば、同じ「営業」という言葉をとっても、
・ ベテランの営業部長が想起すること
・ 就活真っ只中の理系学生が思うこと
・ 高校生が感じること
は全く別のものを指しているように聞こえるだろう。
営業をなんととらえているか話さぬままに、「このプロダクトの販促に営業はどう関わるか」など議論していたら、自ずと打ち合わせでもすれ違いが容易に起きてしまう。

同じ言葉でもカラフルさは人によって異なる。

「1つ言葉(シニフィアン)に対して、概念(シニフィエ)は無数に紐づく。そして、その結びつき方は、個々人によって異なる」というのは言語学者のソシュールが指摘したことだ。

例えば同じ「イヤホン」というシニフィアンに対して
「単なる音楽を聞くためのツール」
とだけ思うのか
「最近、完全ワイヤレス流行ってる」
「音声コミュニケーションの要になるもの」
「そういえばあのアニメの主人公は嫌になるとすぐイヤホンかけてたな」
と想起するのでは大きな差がある。

例えば「介護」という言葉に対して
「縁起の悪いなるべく遠ざけておくもの」
と考えるのか
「人生100年時代に誰もが経験する1フェーズ」
「介護には質がある」
「介護職は生活の全変数を捉えるコンサル」
と考えるのかによって、スタートアップが勝負をする、課題や事実も異なってくるだろう。カラフルな捉え方は大きな産業を生む可能性もある。

言葉という参入障壁

1つの言葉に対して結びつく概念の数が多いほど短い話から多くの背景を推察したり、フラット解釈したりできるようになる。

ある言葉に対して多くの人が思う意味と、自分が知っている意味の多様性に大きな差異があるとき、見える市場や事実には偏りが出てくる。

ある言葉へのカラフルさの差によってうまれる認知ギャップが、新規事業への参入障壁になりうるのだ。
「シェアハウス」ときいて「入居者入れるの難しいビジネスだな」と思うか「新しいストーリーをコンテンツとして創出できる新しいチャンスだな」と思うかによって可能性の見積もりは異なる。この場合、後者には例えばシェアハウスという言葉に、テラスハウスのようなストーリーが結びついていたのかもしれない。

事業を作るというときには、それまでの人生を通したカラフルな体験が重要だと感じる。

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