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あざらしのひと

世の中の事象を一方向から見ない。いろんな方向から見ることで、変化のない日常生活楽しむことも豊かにすることもできる。
「与えられる楽しさ」「生み出す楽しさ」が加わり…豊かな想像力が生活に彩りを加える「きっかけ」になるとすれば、浅生鴨さんの新刊『あざらしのひと』(ネコノス合同会社・2021年12月3日発売)は間違いなくその「きっかけ」になり得る一冊です。僕はそう思います。

はじめに豊かな想像力が生活に彩りを加える「きっかけ」になる』と書きましたが、『あざらしのひと』を読み終えると、今まで気にならなかった周囲の人間の行動口癖が気になりだして、

「そうか、あの人『エコーの人』だったのか。だったらまぁ仕方ないか」
…と、ラベリングすることで許せるように。
「お!『ギオン者』発見だ!」
「やった!今の店員『のほう者』『未来の人』のコンボだ!」
…と、なんでもない日常の一コマの中から「スーパーレアのポケモン」をゲットしたかのような感覚へ。

といった感じで、見えていなかった風景が見えるようになるのです。
ただし、

「そうか。今まで意識したことがなかったけれど、自分って『のほほんの人』だったのか…」
「いつか自分も本では紹介されていない『ひと』を発見し、オリジナルの名前をつけてどこかで発表するんだ!」

の段階まで足を突っ込んでしまうと、生活に支障が出てしまうかもしれません。いや、出るでしょうね。おそらく。

ちなみに僕が過去に発見した『ひと』は以下の二つです。

なんでも大袈裟に盛って話す人『盛進一(もりしんいち)それが女性であれば『盛昌子(もりまさこ)
・「フォロワー数が一万人だから…」「今まで一万冊以上本を読んでいて…」「動画の再生数が100万回超えているので…」といった感じで数の多さを信頼し数こそ最強と考えている人『キング・カズ』

…ただし発見はしたもののどこかで発表しているわけではありません(2021年10月現在)ので、浅生鴨さんから「そんなひとはいない」と言われたら僕は何も返せないでしょう。


『あざらしのひと』ですが「浅生鴨さんが日常生活で遭遇した【様々なひとを紹介】するコラム」と「あざらしの声をとおして世の中にあまり知られていないこと(?)を紹介する【あざらしのつぶやき(僕が勝手にそう呼んでいるだけです)」との二つで構成されています。

コラムとコラムの間、箸休め感覚で出現する【あざらしのつぶやき】では「〇〇には雄と雌があって…」といった世の中にあまり知られていないことがいくつも書かれているのですが、浅生鴨さんご本人に「これって本当ですか?」と質問したところで、おそらく「そういうものなのだから仕方ない」的な答えが返ってくるだけだと思います。答えのない状態を「モヤモヤ」とするか「なんだ、そういうものなのか」とするかで、生きやすさって随分変わりますよね。


今後、浅生鴨さんと直接お話しできる機会があったら確認してみたいことがありまして、それを最後に書いておきます。

『メロンパンは脱皮を繰り返して成長します。脱皮してすぐのメロンパンの表面は非常にやわらかく半透明。数時間かけて表面は固くなります』

…脱皮の様子を直接確認したことはないのですが、これって本当でしょうか?









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