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初の書籍化の話をしよう-吉玉サキさんインタビュー(前編)

書籍「山小屋ガールの癒されない日々」の著者、吉玉サキさん。10年間の山小屋勤務を経て、現在はライター、エッセイストとして多数のメディアで執筆されています。noteの記事でもおなじみです。

今回、こちらの素敵な企画に応募し、吉玉さんにインタビューしました。

書籍のお話から、吉玉さんが今後チャレンジしてみたいことまで、様々な話をお聞きしました。前後編でお届けします。

1. タイトルと書籍デザインについて

―最初、cakesの連載タイトルは「小屋ガール通信」だったんですが、なぜ書籍は「山小屋ガール」になったのですか?

吉玉:書籍になった時に「小屋ガール通信」だと、ちょっとわかりにくくなるからですね。本屋に並ぶ際に、何を扱う本なのかが。

―確かに。そのおかげで、すぐ書店の山ジャンルのところで手に取れるようになっています。

さて、今回の書籍化にあたって、リクエストなどはされましたか。例えば、デザイン面で。

吉玉:特にないですね。結構お任せしました。上がってきた表紙のキャラクターの表情がちょっと違うと思ったので、そこを変えてもらったくらいです。

―このイラストはご自身に似ていると思いますか?

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吉玉:こちらに関しては、記号化された「小屋ガールちゃん」だと思っているので、自分とは切り離して考えています。

―実際、こんな感じの恰好で働いていたのでしょうか?

吉玉:そうですね、ユニクロのデニムやフリースなどを着用していました。

岸本(書籍担当編集):イラストレーターさんに吉玉さんの写真をお送りしたので、そんなに現実とはかけ離れていません。ただ、働いていた山小屋が特定できないようにしました。

―絵だけでわかってしまうものなんですね。

吉玉: そうですね。イラストでの表現は気をつけました。

2. cakes連載からの、書籍化について

―改めて、こちらの本が書籍化された経緯をお聞かせください。

岸本:僕も山が好きだったんで、毎週cakesの連載を読んでました。ある時「この本を書籍化したい出版社募集」というメッセージを読んで、書籍化が決まってないことを知りました。本になる前提で始まった連載なのかなと思っていたんですが、そうじゃなかった。それで面白そうだなと思い、会社に企画を通して実現しました。

吉玉: 書籍化に関して、web連載されたエピソード全てを入れているわけではないですね。元々cakesの読者層は登山者ではないので、一般の方が興味を持ちやすい、人間関係や恋愛方面の話を多くしています。

一方、書籍は読者層が登山をする人たちなので、ディープな山の話(遭対協や登山道整備など)も入れました。

―他のメディアの仕事をしながら、書籍化の作業を進めるのは大変そうです。

吉玉: 書籍化が決まってからは、けっこうタイトなスケジュールでした。山のハイシーズンに合わせての発売が決まっていたので、それに間に合うように書かないといけなくて。初めの打ち合わせから締め切り(3月半ば)まで、わずか2ヶ月足らずでした。

3. 山小屋スタッフからの評判は?

―山で一緒に働いていた人から、この本の感想を聞いたりしましたか?

吉玉:「面白かったよ」は普通に言われました。山にいるスタッフは読めてないのかなと。

―まだ働いてますもんね(取材時は9月)。本屋はないですし。

吉玉:「休暇で山を降りた時に買ったよ!」みたいな話は聞きましたが、感想はまだもらっていません。下山した元スタッフからは連絡がきますね。まあ、読んだらばれますよね(笑)。LINEとかがいっぱい来ました。

―関係者としては、すごい嬉しいと思います。基本的に悪いことが書かれていないから。

吉玉:そうですね、だいたい好印象でした。

【取材を終えて(前編)】

筆者が吉玉さんの本やnoteの記事に感じているのは、 RPG 感。例えば「ぬののふく」を着ている冒険者が、ちょっとずついろんな町に行ったりいろんな人と会ったりして、経験値を積むような感じに思えるのです。だから、読んでいて楽しいし応援したくなる。

積み重ねの上、確実にレベルアップしていくその姿に、まぶしさを感じています。

後編はこちら。吉玉さんと書くことについてお話した模様をお届けします。




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