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甘ったれた日々にスパイスを。(紫野和久傳 果椒)

こう食いしん坊だとさもありなんですが、わたくしタプタプしておりまして。
バラ肉も二の腕もあごもタプタプ。
ショートパンツを履いて歩こうものなら、それだけでタプタプタプタプ。
御見苦しくて申し訳ない(とはいえ暑いから履いちゃう)。

食べられる時期と何かしらで食べられない時期があり、食べられるうちに食べておけと言い訳しておりますが、それにしても限度というものがあるわけです。

そんな時は、ちょっと何かつまみたければドライフルーツやナッツをぽいと口に放り込んでいます。
しかし口当たりが良すぎて、特にPCに向かっていたりして意識が手元にお留守になっていると、止まらないやめられないなんてことも(ドライいちじくやマンゴーは満足感があり比較的止まりやすい)。
いくら食物繊維やビタミンが豊富で美容にもいいとはいえ、程度というものがある。

自制心のない甘ったれなんですね、まったく。


そんなこんなで暑苦しい夏を過ごしていたある日、
母がプレゼント用に用意したものの先様がナッツ苦手ということで
私の元に京都の料亭・和久傳のおもたせ店、
紫野和久傳の果椒(http://shop.wakuden.kyoto/shop/c/c1043/)がやってきました。

手っとり早くわかりやすく言うと、和製グラノーラバー。
数種類のドライフルーツとナッツが、昔懐かしい麦芽糖や和三盆、黒糖などのねっとりとした蜜で寄せられています。
この蜜が、出過ぎず引き過ぎず。
グラノーラバーを想像すると面食らうほど甘みは奥ゆかしい。
控えめで安心感がある一方でコクのある甘さで、素材の味を活かしつつ全体をまとめています。

何といっても一番の特徴は、山椒が入っていること。
西の山椒はかなり香りが高いのが特徴。しかも、山に生えている光景が目に浮かぶ、洗練されているんだけどワイルドな香りが。
山椒が入っているところを一口かじると、その鮮烈な香りが一気に駆け抜けていきます。
そして広がるドライフルーツやナッツの味と、どっしりとした蜜の土壌。
いいものを摂りこんだという満足感がやってきます。

こういう、甘味だけでなく、山椒や胡椒、塩味などを上手く取り入れたお菓子、あるいはオレンジやベリーを上手く取り込んだ肉料理など、意表を突くハーモニーを生むものは奥深さを感じてただただひれ伏し、丁寧に頂きたくなります。

そうすると、たくさんの量でなくても満たされるんですよね。
食べ過ぎるというのは、どこかで気持ちが満たされていないのでしょう。
そんなだらりとしたところに、山椒がパンチ。そしてドライフルーツやナッツとささやかな甘さの蜜ががっぷり組んで寄り切り。
いいものだとお財布もダイエットされがちなんで、日常のアクセントに、くらいになってしまいますが。

そして包装の経木は本物。
もうとんと見かけなくなった…。
ふわっと木の香りが漂い、野の山に連れて行ってくれるよう。
添えられた説明書きでも、“京丹後に広がる和久傳の森”や“恵みの大地”など、野趣を意識した言葉が。


それを念頭にもう一度果椒本体を見ると、無骨というより野趣という言葉が合うような、地とその恵みを思わせる姿をしています。

余談ですが、草木が比較的豊富な環境で育ったからか、
華美な花束よりも野の花 司さん(http://www.nonohana-tsukasa.com/tsukasa.html)のような、
庭先をそのまま持ってきたような、手を加えていると思わせない楚々とした野草の寄せ植えや茶花が好きです。

果椒のパッケージも、そっと淡いトーンで山椒が描かれた上に山椒色の水引がかけられ、こういうあしらいがもう心憎いのです。


話はそれましたが、日常にメリとハリをもたらせてくれるくらいパンチのある山椒が効いた果椒。
大事にいただきます。

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