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私は柚子になりたい ~柚子ピール~

冬至に湯船に浮かべるのが柚子。
なもんだから、柚子は年末近くに採れると思っていました。

ところがどっこい、うちの柚子は11月下旬頃には実が程よい大きさに。採りきれなかった柚子は冬至の頃にはもう枝の上でシオシオになっています。

冬至のイメージが強くて、うっかり採り損ねるとこだった……。

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2019年11月下旬の様子。収穫します。

今年は、まだもう少し育つのでは……と思うくらいのところで収穫。
というのも、柚子の枝には針のように細くて長い(3cmはあるでしょうか)トゲがあちらこちらから出ていて、そのトゲが実を傷つけてしまうんです。
実が大きくなりトゲに当たって傷つき皮が固くなったり、実自身に突き刺さったりしてしまうことも。

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先端恐怖症の方は閲覧要注意です。

収穫する際にも気を付けないと手が傷ついたり、あるいは下に落ちた枝を踏んだらトゲが軽いプラスチックサンダルの底を貫通したりします。
だったら前もってトゲを剪定してしまえばいいのかもしれませんが、それは何だか作為が過ぎるような気がして(単に面倒くさい)。
店先に並ぶ柚子の実は、多少は傷がついていたとしても、きれいなもの。手をかけ育てられた中でもさらに選ばれしエース。
ついそのことを忘れがちだな、と、うちの柚子を見ながら反省します。

無精者だから肥料を年に一度撒く程度で、農薬も消毒も一切せず放っておきっぱなし。
それでもしっかりとした実をつけてくれるからえらいもんです。

柚子の実は外皮を料理に使うから、確実に無農薬のものが手に入るのはありがたい限り。
木を植えた母に感謝です。

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採った実はよく洗って横半分にカット。果汁を絞り出します。
果汁は、そのままだと極度に酸っぱく、酢の代わりにサラダ等にかける、蜂蜜とお湯で割って飲む、醤油・煮切ったみりん・昆布と合わせてポン酢にする、等々。

絞った後はさらに半分(都合全体の1/4)にカットし、中皮やワタをできるだけとって外皮だけに。
外皮の一部は冷凍。煮物や汁物など使う時に使う分だけ細く千切り。

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残りの外皮は柚子ピールにします。
全体の1/4サイズのまま土鍋で一度茹でこぼして水にさらし、さらに二度茹でこぼし。少し冷めたら、取り除ききれなかった白ワタ部分をそぎ落とし(気になるようなら)、適度に細長く切ります(短冊切りくらい?お好みの細さで)。

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茹でこぼす前。まだ皮がしっかりとしています。

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三度茹でこぼしてしんなりしたら……

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細長く切ります。

ここで総量を計り、その70%量の白砂糖(本当はグラニュー糖)を用意。
土鍋に三度茹でこぼした柚子の外皮と白砂糖、さらにひたひたになるくらいまで水を入れて、弱火でぐつぐつ。

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水っ気がなくなってきたら火を止め、バットに置いた油切りの上にばらばら広げます。
(柑橘類は酸が強いからできれば金物を使わない方がいいんだけど、手元にないから見て見ぬふり……)

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砂糖と合わせて煮るのに使った土鍋は、すぐに洗うのではなく、お湯を入れて鍋肌に残った蜜や柚子を溶け込ましたら柚子茶になるし洗い物が楽になるしで一挙両得。

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油切りに広げた柚子の皮をそのまま干すこと数日。天日に干してもよし、乾いた室内に置いてもよし。
ある程度乾いてきたところで、くっついた部分を引きはがして、また放置。
ちょっと触ってべたつかなくなったら、出来上がりです。

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甘い方がお好きだったら最後にちょっとグラニュー糖をまぶすのもあり。

柑橘類の皮をピール菓子にするのは、近くのバーで教わりました。
そこでは、レモンを使用。
お客さんのいないところで三日ほど扇風機の風を当てて乾かしているそうです。
教わった時には面倒くさそうと思っていましたが、実際にやってみると、時間はかかっても何かの合間合間に手を加えればいいだけなので、意外と簡単です。

ところで、自分のトゲで自分を傷つけてしまうなんともいたたまれない柚子の性質が、どうしても私自身と重なるんです。
私は幼い頃から自家中毒のクセがあり、ストレスや疲れが溜まったり、遊園地や映画に行くなど刺激を受けたりすると、ひどい頭痛と吐き気に見舞われダウン。
それから数十年経った今でも何かにつけすぐに頭痛と吐き気がやってきて、鎮痛剤が手放せない始末。
ストレス耐性がないことがわかっているくせに、ストレスが溜まっていることに気が付かず、自ら進んで刺激を受けに行く傾向があります。
そのストレスだって、大半は自分自身が作り出しているものなのに。

柚子の香りは邪気を祓ってくれると言われてます。
冬至に柚子湯に入ると風邪をひかないというのも、邪気を祓ってくれるから。
強い。
トゲで傷んだ外皮はかさぶたのようになり、さらに固くなります。
自分で自分を傷つけても、タフ。

自分で自分を傷つけないに越したことはないけど、そういう性質なんだから仕方ない、それなら柚子のような強さを身につけたいものです。

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