ITと決算など

IT業界に関わりあるメンバーで、決算関係のことやデータ分析などについて触れていきます。…

ITと決算など

IT業界に関わりあるメンバーで、決算関係のことやデータ分析などについて触れていきます。 財務情報を元にどういったことが読み取れるか、どういう目的のためにどういう分析をすれば良いか、などについて発信していきます。

マガジン

  • ソフトウェア に関する会計や税務の基準

    ソフトウェア に関する会計や税務の基準などについてまとめた記事

  • 収益認識

    収益認識に関するトピック 2021年からの新しい収益認識基準に関する話題など https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2020/2020-0331-01.html

  • ソフトウェアの資産計上からの企業分析

    上場会社等を中心に、決算書類からソフトウェア関連の金額について分析していく記事

  • 企業の財務分析一般について

    ソフトウェア資産については別途まとめたマガジンがありますが、それ以外の項目などからも企業分析をした記事をまとめています。

  • ソフトウェアは資産なのか?

    ソフトウェアを資産計上することについての論点をまとめています。

最近の記事

収益認識 百貨店等の商品券に関して その2

百貨店などの商品券発行会社を見ていく続きです。前回は、三越伊勢丹について調べて行きました。今回はそのほかの百貨店について見て行きます。 高島屋、丸井、阪急阪神、近鉄、松屋、さいか屋について取り上げます (2023年1月作成時点のデータをもとに記載) 高島屋まず、高島屋です。高島屋も国内主要都市に店舗があるため、ご存じの人も多いと思います。 前回の三越伊勢丹や、IFRSの例で取り上げたJフロントリテイリングの中核の大丸松坂屋、H2Oリテイリングの阪急阪神百貨店などのように

    • 収益認識 百貨店等の商品券に関して

      前回、商品券を発行している会社についてみていくと書きました。 (タイトルは、すでにSuicaの話ではなくなっているので、変えました) Jフロントリテイリングが前回の書籍で例として出てきたので、同業種である百貨店関係を見てみます。「商品券」を取り扱う業種としてはよく出てくる例と言えるでしょう 今回は三越伊勢丹を取り上げてみようと思います。 三越伊勢丹三越伊勢丹HDとして上場しています。三越や伊勢丹は国内主要都市に店舗があるので知っている人も多いでしょう。 百貨店には、全国

      • 収益認識 Suica未使用残高の失効益 その3 参考書籍その他

        前回、前々回とSuicaなどのJRのICカードについて、最近のトピックなどを踏まえて書いてきました。そしてそれらのICカードの処理について、商品券の処理を参考にしていました。 関連するものとして、そもそも会計基準等に文言のある「商品券」を発行している業界が気になります。 前々回もいくつかの参照書籍を取り上げて説明しましたが、今回はこちらの書籍から参照箇所を見てみます。 参考書籍 『業種別・収益認識基準の適用実務』 中央経済社 本書の「第Ⅱ部 第1章 8 商品券」の項目

        • 収益認識 Suica未使用残高の失効益 その2

          前回、JR東日本のSuicaの会計処理について考察してみました。 JR東日本が出てきたので、では、他のJRの会社はどうなっているのか、が気になるところです。 JR系の上場企業としては、JR西日本、JR東海、JR九州があります。 今回はそれらの会社の状況を見ていきましょう。 JR西日本JR西日本も、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた企業です。2021年3月期、2022年3月期と2年連続で大きな赤字になっています。 JR西日本はJR東日本の発行するSuicaに相当するIC

        収益認識 百貨店等の商品券に関して その2

        マガジン

        • ソフトウェア に関する会計や税務の基準
          11本
        • 収益認識
          11本
        • ソフトウェアの資産計上からの企業分析
          16本
        • 企業の財務分析一般について
          6本
        • ソフトウェアは資産なのか?
          7本

        記事

          収益認識 Suica未使用残高の失効益

          さてちょっと、面白い記事を見かけたので、収益認識の観点からちょっと考察してみます。 https://biz-journal.jp/2023/01/post_330712.html JR東日本の発行しているSuicaをめぐる会計処理についてですね。 会社概要JR東日本は正式名称『東日本旅客鉄道株式会社』ですが、何の会社か説明する必要はないでしょう。 2020年初頭のコロナの感染の広まり以降、人の移動が極端に減少したことにより、業績がここ2年ほど急速に悪化しました。 今後へ

          収益認識 Suica未使用残高の失効益

          AppStoreの価格帯(tier)とは その4

          さてこのテーマも4回目ですが、前回の続きです。 今回は、tierが存在する理由と、それがあることによるメリット・デメリットを考えたいと思います。 Appleがtierを決める理由これまでtierという価格帯があることを説明してきました。 ところで、なぜAppleはこういったtierを定めているのでしょうか? その2で挙げた規約関係を見ても、その理由について記載している箇所が見当たりません。(もしかするとどこかにあるのかもしれないですが、見つけられませんでした) ここ最近

          AppStoreの価格帯(tier)とは その4

          AppStoreの価格帯(tier)とは その3

          さて前回の続きです。 いちばんの問題は、この価格帯- tierを、Appleがいつでも自由に変更できるという点です。Appleがいつでも変えることができる規約内容となっているのです。そして、実際、今回10月初旬に価格帯変更が行われたわけです。 販売者が自分の意思で価格を決定することができない状況です。(価格帯の中から選択することはできますが) 今回は、市場側によって販売側が価格を拘束される場合として、どういうパターンがあり得るかを検討していきたいと思います。 パターン1

          AppStoreの価格帯(tier)とは その3

          AppStoreの価格帯(tier)とは その2

          さて、前回は、AppStore価格変更に関するニュース報道等を取り上げてみました。 今回はタイトルにあるもあるAppStoreで定める価格帯 - tierについて触れていきます。 規約関係まず、関連する規約を見ていきます。(ここで、取り上げるAppleの規約は2022年11月22日時点でのものです。以後、更新されて内容が変わる可能性もあるのでご注意ください) Appleのアプリ開発者向けの規約としては、以前の「スマホゲームの徴税強化?」の記事でも触れていますが、以下の規

          AppStoreの価格帯(tier)とは その2

          AppStoreの価格帯(tier)とは その1

          9月の下旬ころ、こういったニュースが目につきました。 App storeのアプリが値上げ、といったものです。 これらのニュースの元になっているのが、Apple社がリリースしたこちらの内容です。 Appleのリリース文どうも字面だけを捉えると、各種ニュースでは「アプリが値上げ」のようですが、実際そうなのでしょうか?Appleのリリースによって、価格が変動するということは、そもそもアプリの価格はApple社が決めているのでしょうか? 各種反応 こういったAppleのリリー

          AppStoreの価格帯(tier)とは その1

          スマホゲーム徴税強化? その4

          これまで、税制調査会の資料から関連するアプリ関係の税金周りの話をしてきました。 その1、その2、その3 今回は少し違う観点から税調資料を見てみたいと思います。 このうち、これまでみてきた消費課税①資料の中で、以下のページがあります。元は、法律事務所の方が作ったらしいですが、ここでちょっと注目したポイントがあります。 このうち、後半部分にあるこの箇所についてです。 消費税上の「免税事業者」の扱いを受ければ日本で消費税を納めなくて済むので、免税事業者の要件を満たすような

          スマホゲーム徴税強化? その4

          スマホゲーム徴税強化? その3

          前回から引き続き、ちょっとまた補足的に少し書いてみます。 今回は、実際のアプリストアの規約を見ながら、現状の消費税とアプリ事業者の関係がどうなっているかを見てみたいと思います。 また例の税制調査会の資料からですが、資料中に下記のページがあります。 こちらがバイセル方式の取引図です。 一方、こちらがセールス・エージェント方式の取引図です。 前回、前々回と、アプリストアであるApp storeとGoogle playは「セールスエージェント方式」に該当すると説明してきました

          スマホゲーム徴税強化? その3

          スマホゲーム徴税強化? その2

          前回こちらの記事を書きました。 ちょっと補足的に、実際のお金の動きがどうなるのか、というあたりを書いていこうかと思います。 前回も取り上げた税制調査会の資料のうち、こちらの消費課税①の資料を参考に説明していきます。 現状の消費税のルールまず消費税に関しては前回や、こちらの過去記事でも書いていますが、一応簡単に説明します。 上記のように、2015年に改正があり、インターネットを利用した、音楽、動画、書籍、ゲーム等のコンテンツに関しては国外事業者が提供したサービスでも、日本

          スマホゲーム徴税強化? その2

          スマホゲーム徴税強化?

          下記のニュースがちょっとネット界隈をざわつかせているようで😮 これは、インパクトのあるタイトルに比較して、ちょっと記事としての必要な情報がだいぶ不足しているような印象です。書いている内容にウソはないだけど、事実の全体像を的確に表しているかとうとちょっと違うよね?という感じです😓 そのため、ネット上ではこの記事の元になった情報とは見当違いの意見がたくさん出ているようです。 例えば、以下のようなコメントなどがあります この記事がちゃんと正確なところを伝えていないせいで単純に

          スマホゲーム徴税強化?

          ソフトウェアの会計の考察③

          さて、前回は主にインターネットの歴史的な話をしました。 今回は現行の会計基準のベースとなっている1998-1999年の会計基準等がどのような背景からできたのかについて触れていきたいと思います。 制作目的別の基準先日、公認会計士協会(以下、JICPA)が公表したソフトウェア制作費等に関する公開草案(以下、本公開草案)のⅡ2(2)において、以下の記載があります。 これは1998年に企業会計審議会が発表した『研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書』の第3項を踏まえての

          ソフトウェアの会計の考察③

          ソフトウェアの会計の考察②

          前回、現行の基準が時代に合っていないということについて触れました。 では、実際、会計基準等の成立時期と、インターネットビジネスの動きでどういう流れがあったのかを今回は見ていきたいと思います。 ソフトウェア関連の会計基準等まず、ソフトウェアに関連する会計基準等は、1998年の「研究開発費等に関する会計基準の設定に関する意見書」から始まり翌年の実務指針とQ&Aの公表でソフトウェア会計処理の基礎ができました。下図のような流れです 21世紀に入ってからは関連する基準等がいくつか

          ソフトウェアの会計の考察②

          ソフトウェアの会計の考察①

          さて、ソフトウェアの会計基準関連で少し動きがありました。 公開草案の発表公認会計士協会より、下記のような文書が公表されました 会計制度委員会研究資料「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案)の公表について 「はじめに」の「検討の経緯」でこちらの記載があります。 現行のメインの基準ができたのがまだ20世紀の頃だから、当然スマートフォンなどはないし、インターネットも今のような大容量送信がで

          ソフトウェアの会計の考察①