請求書と押印④

いったん前回は話が変わりましたが、本筋に戻って、③の続きとなります。請求書への押印自体には法的根拠はないけれども、何かトラブルがあった時に押印の有無が影響する場合がある、と述べました。

※私は法律専門家ではないので、法的解釈は個人的見解になるので、正確なところを知りたい方は、ご自身で法律専門家に確認ください

例えば、こちらの「請求書の印鑑は必要なのか」のページにも記載あるように、印鑑があれば有印私文書の偽造ということになり、最大5年の懲役刑があり、印鑑がない文書の偽造であれば、最大1年の懲役というように印鑑の有無によって刑の重さに違いがあります。(刑法159条

今の時代感覚からすると、ハンコの有無で刑が違うなんて納得いかない、という気もしますが、少なくとも現在はそのような定めになっています。

ただ刑の重さは、偽造された側からすると、偽造した人の刑が重いか軽いかなんてどうでもいい、偽造されて迷惑を被ったことに変わりはない、というところではないでしょうか?(そもそもそんな偽造をしようとする人が刑の重さまで考えて偽造するかもビミョウですし)

請求書発行側ではなく、受け取り側にとっても、押印の有無が影響する点があります。

「2段の推定」という用語があるようです。(実は私も最近知りました(*ノェノ)

検索すれば解説ページとかが出てくるので、詳細はそちらをみてもらえば良いと思うのでこちらでは細かくは触れません。(例えばこちらのページなど)

これによって、印鑑が押されている文書は真正なものと推定されることになります。つまり請求書に押印があれば、正当なものである、という推定が働きます。

あくまでも「推定」であって、「確定」ではないので、何かトラブルがあった時にこれをひっくり返すような事象があれば、判断は変わるということでしょう。

例えば、ちょっと見れば明らかに会社名の違うハンコが押されていたというような落ち度があるようならば、この推定がひっくり返る、ということもあるのでしょうかね。(そういう事例があったかどうかは知りませんが)

このように、トラブルがあった場合には、印鑑の有無が影響する、ということになります。このことから考えると、請求書に押印を求めるのは、受け取る側のリスクヘッジ、という点でも意味のあることかと思います。

請求書渡す側からすれば、意味ない、と思っても、受け取る側にはこういった理由が存在する、ということは念頭においておいた方がよいでしょう。

では、電子データのやりとりをする時には、このような2段の推定を働かせることはできないのかどうか、少しみてみたいと思います。

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