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神に守られ家族を守る! インドネシア技能実習生バリ人の家に訪問 してわかった信仰心

バリ人は本当に信仰心が厚く、家族を守る事を重視しています。

バリ人の幸せとは金銭的に豊かになることではなく、精神的に神に守られていることが幸せであることに気が付きます。屋敷寺を守り、継承していくのが一番の幸せであることです。

バリ独特の方位が存在

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バリ島の北東部には、グヌン・アグン(アグン山・海抜3142メートル)という、古くからバリ島民の信仰の対象となってきた火山があります。

この、聖なる山に対して、穢れた存在・魔性の住みかとしての海があり、

聖なる山「山の方角」カジャ(Kaja)
穢れの海「海の方角」クロッド(Kelod)

という、バリ島独特の方位観を生み出しました。

カジャ・クロッドに対して

東の方角がカンギン(Kangin)
西の方角がカウ(Kauh

となります。

家の建つ場所から見てからアグン山位置で方角が決まりますので、島の南側(ウブドや、デンパサール、サヌールからヌサ・ドゥアなどの南側半分)では、カジャ(山の方角)は「北」、クロッド(海の方角)は「南」、となり、反対に島の北側(カランアッサムの北側やシンガラジャ、ブレレンなど)ではカジャ(山の方角)は「南」、クロッド(海の方角)は「北」となります。

私達には「南北東西」という地理的方角概念がしみついていますが、バリ島では「東西南北」よりも「カジャ、クロッド」が優先されます。
バリ島民の生活は、全てがこのアグン山を中心とした「山側」「海側」、カジャ・クロッド、北東・南西という方角がしみついています。村の寺院の配置、屋敷の構造、寝るときの向き、上座・下座などの座る位置など生活のあらゆるところで生かされています。

バリ人の家の配置は方角が決まっている

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バリの家の配置もカジャ・クロッド・カンギン・カウの方向で位置が決まります。

バリの家には、家の敷地内に屋敷寺サンガ・クムラン(Sanggah Kemulan)があります。

屋敷寺は、家の中で一番重要な場所で、必ず北東(カジャカンギン)の位置に配置されています。
家から見て、バリ・ヒンドゥー教の聖なる山アグン山は北東にあれば、屋敷寺も敷地の中の北東の位置にあるわけです。

家に入る門はアンクル・アンクル(Angkul Angkul)と呼ばれます。門の多くは西(カウ)の方角にあります。
バリの家の入り口の多くは、日本人の感覚からすると、比較的狭く感じられます。門から悪霊が入るのを防ぐためのものだそうです。バイクが一台、ぎりぎり通れる程度の広さです。

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屋敷寺の横を通って、家屋の方へと進みます。中庭があり、その庭をぐるりと囲むように、北側に「バレ・ダジャ(Bale Daja)」という建物があります。
これは北(カジャ)側にある建物のことで、主人夫婦の寝室、貴重な家財の保管場所になっています。
バリの伝統的な決まりでは、このバレ・ダジャには窓が無く、完全に壁で囲われた建物です。唯一プライバシーが保てる密室になります。夫婦の寝所・家財を仕舞いこむ金庫代わりになります。

西側(カウ)の建物「バレ・ダウ(Bale Dauh)」という建物があります。
これは、西の建物のことで、家族の寝所、若い夫婦の寝室になります。

東側(カンギン)には、屋根と柱だけで壁の無い、「バレ・ダンギン(Bale Dangin)」という建物があります。
これは東(カンギン)の建物のことで、赤ん坊の誕生後のウパチャラ(儀礼)、削歯儀礼(ウパチャラ・ポトン・ギギ)などの、家族の成長儀礼や、家族の死後、遺体を一時安置するのに使われます。儀式のないときは、子供達が遊んだり、絵を描いたり彫り物をしたりといった作業場・フリースペースにもなります。

南側(クロッド)には、「パオン(Pawon)」と呼ばれる台所があります。火の神=カマドの神であるブラフマの方位が南(クロッド)ということに由来しています。また、家の入り口・門は、必ず台所に近いところに配置されるようです。昔ながらのカマドのついた台所もあります。


バリ人の家では、外から帰ってきた人や、この家を訪れる人は、まず台所の敷石を踏むように言われます。これは、外から来る者は、時として良くないもの、悪霊や病魔などを引き連れて来るので、台所でそれらを「落として」から家に入るしきたりです。悪人や泥棒が侵入してきたときは、台所の守護神である火の神ブラフマが、その火で焼いてしまうという神話が残っています。

南西(クロッドカウ)の位置は最も不浄な方位とされます。トイレやゴミ捨て場や、ブタなどの家畜の飼育所があります。

バリの家には米倉「クルンプ(Kerunpu)」があります。米倉は入り口、台所の近くにあり、田んぼから収穫してきた米をすぐに運び込めるように配置されています。

バリ人の家の配置を人体に例えると、

屋敷寺=頭、寝室や応接室=腕、中庭=へそ、門=性器、台所と米倉=足、ゴミ捨て場やトイレ=肛門、

ということになります。

小さなほこらを必ず建てる

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バリ人の家には必ず、トゥングン・カランという小さなほこらがあります。
バリ・ヒンドゥー教徒の誰もが家の一角に建てるものです。
どんなにお金の余裕が無くても、バリ人である限り、この小さなほこらを建てます。
このトゥングン・カランの役目は、その屋敷の中にいる者の安寧を、外の邪悪な力から守ることにあるそうで、「屋敷の番をするもの」という意味があるそうです。
バリ人は、働いたお金でトゥングン・カランを家に複数建てていきます。すると、自分の家がお寺であるかような風情を醸し出すようになってしまうのです。

バリはもともと肥沃な土地で飢えるという心配がありません。
日本と同じく稲作が盛んなので、2毛作から3毛作行なっています。
周辺の木々は様々なフルーツを実らしており、外に出れば何か食べ物があります。
そこに観光産業が入ってきたので、基本的にバリ人は豊かです。

土地を海外の観光業資本家に貸し、莫大なお金を得る人達もいますが、その得たお金で寺社をどんどん立てていきます。バリ人の実直さ、信仰心の厚さを表す現象と言えます。

バリ人のお金の使い方に脱帽

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今回訪問したバリ人は、日本で技能実習生として3年間働いたお金で屋敷寺を新設しました。はじめは、せっかく日本で貯金したお金を屋敷寺に使ったと聞いて、日本人の感覚だとありえない驚きでありました。

他にもっと良い使い道があると思っていましたが、実際バリ人の家に訪問し色々な話を聞きくうちに気が付きました。

バリ人は本当に信仰心が厚く、家族を守る事を重視しています。日本でお金を貯めてやっと屋敷寺を立て終えて、これで家族が安心して暮らせると微笑みながら話をしています。

そんなバリ人を見ていると、幸せとは金銭的に豊かになることではなく、精神的に神に守られていることが幸せであることに気が付きました。

何世帯もが共同で暮らすバリの家。屋敷寺を守り、継承していくのが一番の幸せであること。

自分を含め日本人も見習いたいと思い、惜しみながらバリ人の家を後にしました。

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