時事ネタ(Pさん)

 ジャニーズ事務所がどうなるのか見物である。
 ジャニー喜多川が死去した。
 ニュースで滝沢秀明がジャニー喜多川の後継者になるみたいな噂があったので、てっきりその気になっていたのだが、そもそも事務所が今のような形で立ちゆくのかどうかすらわからない。
 職場の女性が無邪気に「キンプリ(King & Prince)かっこいい」などと言っていたが、そのグループが今後も存在するのか、今のような存在であり続けるのかどうか全く不透明である。
 実際、ジャニーズ事務所に対して微塵も興味や思い入れはないのであるが、これから二十年後かそこらで、ふと若い人間と話したときに、
「ジャニーズって、何ですか……?」
 という時代が来るかもしれないと思うと、何ともやりきれない。
 もっとも、一代で築いた自分の息子たちの共同体であるのだとしたら、それが一代で崩れ去っていくのは道理でもある。
 昔古本屋のバイトをしていたときに、最も安く買いたたかれるのは関ジャニ∞のCDであり、退屈なレジを回している間にその音楽が有線から繰り返し流れてきて気が狂いそうになった。
 古本屋で特別買いたたかれる本やCDはなんとも言えない負のオーラをまとって見えたものだった。
 やれ「チーズはどこへ消えた?」。やれ「涼宮ハルヒの憂鬱」。やれ「バカの壁」。要するにベストセラーであるが、その中でも特異的に負の注目を集めたものというか、急激な無関心という想像しがたい集団的な注視を浴びたものが、特別に「ゴミでも受け取らない」本という烙印を押される。
 無料でも引き取ると店長に怒られたものだった。
 個人経営の古本屋で、経営が傾き、やんわりと首になった。
 それから一年して、今の職場を受ける直前になって「戻ってこないか」という電話が来て、戻らなかった。
 あのままあのバイトに戻っていたとしたら、また人生が変わっていたかもしれない。
 とはいえ、とんでもなくしんどい割に実入りが良くなく、仕事としての古本屋というものに対して価値も置いていなかったので(今で言えば文学系のものを中心とした古本屋だったらまだしもだが、そこは漫画とラノベが中心だった)、戻るという選択肢はもとより無かったかもしれない。
 カイジ、アカギ、ガンツは当時はオールタイムで売れていた。ガラスの仮面はものすごい途中で中断したようになっていた。年寄りのいる街では時代小説がとにかく売れる。など、勉強になったことも幾らかはあった。
 勉強というほどのものではなかった。
 そこをやめる最後のほうのシフトで、自分が文学系の古本を集めているという話をした。店長はけっこう感心した眼でそれを眺めていた。
 レジの背後に常にホコリを被って身動きが取れないほど山積みになった「でんぢゃらすじーさん」か何かのコロコロ系のコミックの、冊子にカセットが填め込まれている特典付きの冊子があって、それが背骨に当たるほど迫っていたことを思い出して、やっぱり戻ってやるものかと思った。

 崩れる本棚内外でいろんな企画が進みつつある。

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