𝐞𝐥𝐥𝐢𝐞

文学部美学芸術学科を卒業後、会社員を経て、現在は夜の服飾学生しています。26歳

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美術館の展示室に寄せて—芸術と救済と—

一歩足を踏み入れるだけで、全てが容受されたような気分になれる場所があります。 美術館の展示室です。 美術館に通いはじめてもう長いですが、そのことに気づいたのは、まだ最近、ここ1年足らずのこと。 ◎◎◎ ちょうど1年前の今頃、私は大学の卒業式が開かれなくなったことを知りました。自宅に学位記や最後の成績表がどっと届き、それで大学生活がお終いになってしまったのですが、私は4年間、美術史や芸術学を専攻し、時間とお金の許す限り、美術館を渡り歩く日々を送っていました。 そんな夢の

    • 一年の底の日に

      年の瀬。 今年は思ったように何もできなかったなぁとばかり、考えてしまうこの頃。 毎日、それなりに充実して過ごしてきたはずだったけれど。 昼間は会社で働き、夜は学校にゆき、パンツを縫い、ジャケットを縫った。ファッションなんとか検定という資格も取り、学校が夏休みの期間はインターンシップにも行った。 それでも、何もできなかったと思ってしまう。 日々、目の前のことで精いっぱいだった。 本当は、もっと将来に繋がるような行動を起こしたかった。 ◎◎◎ 「🔍ストレス耐性」「🔍スト

      • 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ

        東京都現代美術館へ行ってきた。 目的は、企画展「MOTアニュアル2022  私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」。 数日前、Twitterで知った企画展。 私が見たTwitterの投稿には、展示に関する詳しい記述は無かったが、とにかく展覧会のタイトルに心動かされて、休日を手に入れてすぐに飛んで来た。どんな展示なのか。私が日頃正しいと信じてやっていることも、誰かの悲しみや憎しみに繋がっていることがあるかもしれない。早く見たい。はやる気持ちが抑えられなかった。 行ってみる

        • 嘘じゃないことなど一つでも有ればそれで充分

          日々、数々の「記憶」を足掛かりにして生きている。 尊敬する人に褒められたこと 書いた拙文に対して、身に余る感想をいただいたこと 大好きな人が貴重な旅先での時間を割いて、私にお土産を買ってきてくれたこと どんな夢を語っても、時に厳しい愛を向けてでも、いつも必ず私を応援してくれたこと etc... ほかにも無数にあるけれど、他人から見れば、どんな些細なことのような記憶も、私が今日も生きることを選択しつづけるための必要条件だ。 そしてそれが真に事実なら、もっと人生を軽

        • 固定された記事

        美術館の展示室に寄せて—芸術と救済と—

          月経困難症と、PMDDと、ピル

          数ヶ月前から、ピルを服用しています。 生理に振り回されて、社会生活が立ち行かなくなってしまったから。 婦人科に行く決断をするとき、ピルを飲むと決めるとき、あとからあとから不安があふれてきて、たくさんの情報を検索しました。 当時の私が欲しかった情報を、今の私にできる範囲で、ここに残しておきます。 女の子たちのせっかくの人生を、これ以上、生理で無駄にすることのないように。 ◎◎◎ たとえこんなにつらくても、元気になれるよってところから。 中学生の頃から、激しい生理痛に悩まさ

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          やまない不安と付き合うということ

          頭から布団をかぶって、消えてしまいたいと願った日。 キッチンの床に張りついて、家族の目もはばからず、泣き叫んだ日。 いつか、そんなこともあったねって、心穏やかに思い起こせる日が来ること。 そしてまた、そういう日が巡ってくるかもしれないこと。 ◎◎◎ 日々日常を生きているだけで、我ながらいい加減にしろと思うほど、不安が湧いて湧いてくる。 仕事が一番の繁忙期に差し掛かっている今、問題なくこの佳境を乗り越えられるだろうか。 私の将来を決める大事な決断は、この道で良かったの

          やまない不安と付き合うということ

          無題

          夢の話。 もっと、世の中、生きやすくなればいいのにと願っている。 端的に言えば、社会を変えたい。 でも、社会を変えるって、政治家の仕事? 私は政治家にはなれないし、柄でもないことはやるもんじゃないって、24年間生きてきてわかってきたので、そんなことはしない。 だから、直接社会の枠組みに手を触れることはできなくても、 こういうこと考えているひとがここにいますよ、っていう声を、少しでも、ほんの社会の片隅からでも、あげていきたくて。 同じように声をあげている人がいたら

          結婚

          今日、友人に「25歳おめでとう」というメッセージを送った。 友人は私よりひとつだけ歳上だから、25歳。 25歳、という文字をLINEのトーク画面に打ちこみながら、もうこんな歳に人生が差し掛かっているのかと、ひやっとする。 かくいう私も、あと10ヶ月しないうちに25歳を迎える。 25歳といえば、幼稚園や小学生くらいのとき、「25歳までに結婚してー、」なんて安易に口にしていた歳。 現に、「結婚」という言葉というか概念というか存在が、日に日にじわじわと迫ってくるのを感じるよ

          140字ではおさまらない不安たち

          不安で不安で仕方ない夜。 夜に限らず、ここしばらく、ずっとずっと不安に締めつけられていて苦しい。 ◎◎◎ まず、自分の将来への不安。 未来の私、幸せですか? 私の未来は明るい?だいしょうぶ? 安心して、生きてていい? 夢だった仕事はできてる? だいすきな人たちと、一緒にいられてる? ちゃんとご飯食べられてる? なにより、私も大事な人たちも、みんな元気ですか? ◎◎◎ 目先の不安ももちろんある。 今世界中をおびやかしている厄介なウイルスが、私の大切な人たち、誰も苦しめま

          140字ではおさまらない不安たち

          その〝らしさ〟は誰のため?個人を属性に還元しないで

          私は人間で、女で、23歳。日本人。 会社員。社会人2年め。 〇〇県の××市在住。 独身。実家住まい。文学部卒。 これらは、世界中の人々のなかから、私という個人を特定するためのアイデンティティ。 これだけの情報で完全に特定してしまうのは難しいかもしれないが、すべて客観的にも事実であり、あらゆる場所で私を示す肩書きとなる。 他の誰のためでもなく、私のための肩書きだ。 ◎◎◎ この春、社会人2年めになった。 新入社員ではなくなって、1週間ばかりが経った頃、ふと私はつい先日まで

          その〝らしさ〟は誰のため?個人を属性に還元しないで

          生きる意味より、死なないでいる理由

          大学4年の秋、私は大学図書館の閲覧席から、突然立ち上がれなくなりました。 ひどく感動する本を読んでいたとかではありません。講義の合間に、卒業論文の資料を探しに来ていて、そろそろ次の講義の時間だから行かないと、そう思ったときでした。 次の講義は、とても尊敬する教授の、本当に面白いもので、毎週楽しみにしていました。卒業まであと少し、残り少ない講義が寂しくてしょうがないくらいでした。 そんなだから、講義に出席したくなくて、身体が動かないわけではありません。ただ、どうにもこうにも

          生きる意味より、死なないでいる理由

          他ならぬ小川洋子さんへの敬愛

          最愛の小川洋子さんの企画展示が開催されていると聞いて、岡山市の吉備路文学館を訪ねてきました。 企画展示は、決して広くはない展示室1室分のみでしたが、そこは、私が約15年愛する小川洋子さんそのものがぎゅっと凝縮された、夢のような空間でした。 ==================== 私が小川洋子作品に出会ったのは、小学校4年生になったばかりの頃。桜が咲いて、用済みとなった姉の中学受験用の教材から国語の問題集だけを引っ張り出し、文章読解に取り上げられている参考文献を拾い読み

          他ならぬ小川洋子さんへの敬愛

          「『普通の人生』は、あなたには、無理。」

          「ellieちゃん、あのね、聞いて。 『普通の人生』は、あなたには、無理。」 その瞬間、私は全身から力が抜けた。 人間、こんなにも脱力できるのかというくらいに。 ◎◎◎ こんなことを遠慮なく私に言い放ったのは、大学時代からの親愛なる友人。まだ出会って3年ほどだけれど、なかなかに濃いお付き合いをしてきた。 今年の春、忌まわしい世界的混乱の中で卒業式がなくなりながらも大学を卒業し、私は一般企業へ就職。彼女は夢を追ってさらに専門学校へ進学した。 彼女は、私が世間一般とずれ

          「『普通の人生』は、あなたには、無理。」

          人に殺され、人に生かされ。

          人と関われば関わるほど、絶望が積み重なってゆく。 もう何年も前から身を以て知っていることを、また今日も痛いほど真正面から突きつけられて、ため息をつきながら暗い駅のホームを歩く。 ◇ インスタで見かけた画像にときめいて、めちゃくちゃに可愛い服を買った。少し背伸びをしたせいで、今月は切り詰めなきゃいけないけれど。 「可愛いね」って笑顔で言ってもらえるシーンを何度も脳内再生して、どきどきわくわく、待ち合わせ場所に飛んでいく。 でも、なんてことない。あの人には服なんか、見え

          人に殺され、人に生かされ。

          〝健康的な向上心〟を模索する

          「ellieちゃんって向上心すごいよね。そんなにあれもこれもできるようになりたいなんて、私思ったことない。」 昨年の秋、友人が言った。京都のホテルで、ちょっと贅沢なアフタヌーンティーをしていたときのこと。 彼女の言葉に私はとにかく驚いて目を見開いた。 自分に向上心というものがあるらしいことに。それも彼女を上回る向上心が。 なんせ、当の彼女は私の何倍もキラキラ輝いている人だ。頭脳明晰でとにかくハイセンス、多少のリスクを負ってでも夢を追う度胸があり、そしてきちんと結果を出す

          〝健康的な向上心〟を模索する

          芸術は孤独からの救済であること

          私は芸術が好きだ。 絵画や彫刻など美術をはじめ、音楽、文学、服飾、映画など、芸術作品といわれるものには大体一旦興味を持つ。 現在大学4年生だが、大学では4年間芸術だけを好き勝手学ぶ日々を送ってきた。非常に楽しかった。 しかし、私が本当に興味を抱くのは芸術作品そのものではなく、作品の、その先に見える〝人間〟だ。 具体的には、宇多田ヒカルの音楽よりも宇多田ヒカルが、小川洋子の小説よりも小川洋子が、マリー・ローランサンの絵画よりもマリー・ローランサンに興味を持つということ。

          芸術は孤独からの救済であること