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ippon blade 1000 Zen の刃のペイント

刃にニスを塗ることに決めた。台座は白木のまま残し、一番汚がちで目立たない刃をきれいに磨くのは粋?

中学生のとき、技術家庭の木工で小さな桜材の台の作り方を学んだことがある。ぼくは面倒がっていい加減な作品を提出した。同級生でハンサムな河田くんは仕事が丁寧で授業が終わったあとも、技術室で長いこと作業をしていた。

桜は硬い木だからやすりがけも大変だ。でも、丁寧に磨けば美しい艶が出ると、技術教員が教えてくれた。河田くんは細かい目の紙やすりで見事に平面を出し、砥の粉を薄く塗った。さらにニスを塗ると彼の作品だけが艶を放っていた。

ぼくの下駄の刃を磨き上げてみようか。まずは目の細かい紙やすりとニスが必要だ。工務店を訪ねたが、水性と油性のニス、そしてあらゆる目の紙やすりを前に途方にくれた。そんなときは専門家だ。苦み走った兄貴がいたので彼の助けを借りた。

まずはニス。「水性と油性とどっちにする?」
下駄の刃の塗装に使うことを伝えて、耐水性について訊ねると、いずれも問題はないそうだ。ただ、溶媒として水を使うか、油を使うかということ。素人は水性にしておけということだろう。

次は紙やすり。細かいものは800号、1000号、1200号、2000号と。それぞれ微妙な手触りの違いはあるけれど、その違いがどんな木肌と光沢を産むのかがピンとこない。

兄貴によれば、すでにささくれとかザラザラ感がなければ、もうニスを塗ればいいらしい。砥の粉は不要。そうだったの?ニスが乾いたら、水で表面を濡らし、細かい目の紙やすりで優しく磨くといいらしい。力を入れずに、拭く感じで。

(2024-03-06 追記)そうそう、紙やすりは細かければよいわけではないらいい。兄貴によれば、2000号のように細かすぎる紙やすりで鏡面のように仕上げてしまうと、木材がニスを弾いてうまく濡れないんだそうだ。

さて、やるか。と思ったけど、どこを探しても刷毛がない。気持ちの行き場を失って、また紙やすりをかけた。

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