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NCT2021 UNIVERSE〚NCT世界観考察〛

今回はNCT2021の世界観についての考察をご紹介していきます。

アルバムのコンセプトやYearDreamの映像など、NCT2021の大枠を取り上げていきたいと思いますので、収録曲MVについての考察が見たいという方はぜひこちらの動画をご覧ください。

NCTの基本概念から知りたいという方はこちらの動画もオススメです。

それではさっそく、見ていきましょう。

NCT2021までのあらすじ

Dream Labの実験の被検体として集められたNCTは、夢を超えた先にある"すべてが叶う理想的な現実(現実回帰)"を目指すため、ラボ監視下のもと眠ることを強制されていた。自由を求める彼らは夢の世界での"共感"と"共鳴"を経て、ついにラボ崩壊を成功させる。そして今度は自分たちの力で"現実回帰"を達成しようと、彼らは動き出すのだが…

「UNIVERSE」とは

 NCT2021のアルバム名である「UNIVERSE」は、日本語では宇宙という意味。EMPATHY(=共感) RESONANCE(=共鳴)からなぜUNIVERSEになったのか。それにはNCT2020で登場した新概念「エーテル」が関係しています。

 エーテルとは端的に言えば"繋がり"のこと。前人未踏な目標である"現実回帰"を成し遂げたい彼らは、メンバー間で強固なものとなったエーテルを今度はNCTの外へ広げようと団結します。NCTの外、つまりその果てのない無限の領域がUNIVERSEであると考えられます。

※エーテルについてはこちらで詳しく考察しています。

YearDream

 YearDreamとはNCT2021の世界観映像として公開されたものです。全5本のエピソードで構成されており、世界観の内側を見ることが出来ます。

ここで気になるのは映像の公開順です。各映像には「Stage(段階)」がふられていますが、その公開順は0→3→1→2→4と不自然に3が割り込んでいます。おそらく本来の順番はNCTの夢の世界観の進行(深さ)を表しており、YearDreamの名の通りこの一年間に起こった事象が描かれているでしょう。様々な"異変"が映像に隠されていますが、これらの原因はソンチャンとショウタロウの登場であると考えられます。

そもそも実験の成功を目指す上で、被検体の持つ条件や役割というものは多様であるべきでしょう。つまりこれまで何度か行われたメンバー増員はラボ側の意図だと言えます。しかしNCT2020時点ではすでにラボが事実上の崩壊を起こしていると考えられるため、二人はNCTの夢に引き寄せられて世界観に迷い込んだ、いわば青天の霹靂であったと推測できます。

ではどのような異変が起こっているのか、詳しく映像を見ていきましょう。

Stage 0 - The 7th Sense (The first encounter of a Dream)

ーNCTの夢の入り口ー

 共鳴音(メンバー同士が"繋がる"際に鳴る音)と共に目を開け「今回は二人だ」と呟くテヨン。二人、とはもちろんソンチャンとショウタロウのことでしょう。

階段は夢の中での移動手段であり、不思議そうにあたりを見回す彼らは突如NCTの世界観に入り込んでしまったということが分かります。

起源記憶(NCTが共有する始まりの記憶)の映像を見るソンチャン。

ショウタロウは扉の隙間から差し込む赤い光に気が付きます。赤い光は"洗礼"のメタファーであり、世界観を象徴する色ともいえるでしょう。The 7th SenseのMVでも印象的に使用されている色です。

テヨンの足元の砂は起源記憶に由来するもの。ここで気になるのは彼のそばにある砂時計です。砂時計というのは砂が落ち切るのを一つの区切りとし、ひっくり返せばまた時間を計ることが出来ます。つまりこの描写は、夢の世界は無限であるという前提がありつつも、NCTの世界観においての一つの区切りが近いということを示しているでしょう。

ソンチャンが吹く笛の音に気付くテヨン。笛は以降、彼らの"繋がり"を表す重要な道具として登場します。

Stage 3 - Synchronization of Dreams

ー夢と夢の同期ー

 大草原の中で向かい合うヘンドリーとジェミン。お互いを音で感知しているようです。遠くにいたとしても笛の音を聞くだけで近くにいるように感じられる、メンバー同士の強い繋がりがあると考えられます。

笛が壊れる夢を見て飛び起きたジェミンの首元には、あるはずの笛が見当たりません。水は"夢と夢を繋ぐ媒介"のメタファーです。

ジェミンの笛を届けに来たヘンドリー。笛はおそらく大草原の中でジェミンが落としてしまったものであり、彼らの夢と夢とが同期していることが分かります。

再び鳴るインターホンに訝しがるジェミン。突如現れた列車は、夢の中を行き来する手段として様々なMVに登場します。

"異変"を察して「何かあったの?」と連絡するジャニ。連絡相手は恐らくジェミンです。もちろんこれらの異変はソンチャンとショウタロウの登場に起因するでしょう。

彼が持っているエドガー・アラン・ポーの詩集「A Dream Within A Dream」はNCT世界観と深く重なる内容であり、NCT2018の世界観映像「NCTmentary」ではジェヒョンが読んでいました。

荒れた天候に驚き、他のメンバーの安否が気になったのでしょうか。ヘッドホンをつけて深い眠りに入ろうとしています。

ジャニの聴いていた音楽に乗り、一人で踊るショウタロウ。鏡に写るメンバー達に驚いているのは、こんなに大勢の仲間がいるということを知らなかったからかもしれません。

スターとしてメイクされている状況に驚くソンチャン。これが彼の望む夢の世界ということでしょう。再び手元に現れた笛を眺め、遠くから聞こえる誰かの笛の音に振り返っています。

Stage 1 - Seeing Myself in a Dream

ーもう一人の自分に出会うー

 チソンはベッドの下に現れた子犬を見て「今回は犬?」と不思議そうにしています。夢の中では自分のなりたい姿に変わることが可能ですが、犬というのは予想外だったようです。

出前を注文したロンジュンの前に現れたのは配達員のロンジュン。お互いを見て驚いており、やはりこれらの事象も世界観の"異変"であることが分かります。

ドヨンが乗り込んだ車ではDJドヨンのラジオが流れており、学生のドヨンからのお便りを読んでいます。

途中車内で眠ってしまったドヨンは、夢の中で海を見ています。海は"夢"のメタファーであり、起源記憶に起因するものです。それから悲し気に目を逸らす彼は、心の奥で記憶を引きずり続けていると考えられるでしょう。

鏡の前で何を着ようかを悩んでいるクン。ステージ用のスーツを選んだクンの前に、普段着のクンが現れます。鏡は古来より世界と世界を繋ぐ境界と言われています。

一人でテニスの練習をすることに飽きたヤンヤンは、もう一人のヤンヤンと戦い始めました。ヘチャンが遊ぶゲーム登場キャラクターは全てヘチャンです。

このように異変に驚くメンバーと、適合するメンバーがそれぞれ存在します。

Stage 2 - Surfing in our Dreams

ー夢の海を渡り歩くー

テイルが読んでいるのは色彩心理学の本です。NCTの夢は赤や青などの様々な色彩と深く関係があるため、テイルもそれらに関心があるようです。

スロットマシンが示したイラストは「10」と「水」。10はメンバーのテン、水は先ほど触れたように夢を繋ぐ媒介です。おそらくメンバー個人の夢の世界は、他のメンバーの夢と隣接していると思われますが、"異変"によってランダムでテイルとテンの夢が繋がってしまったと考えられます。

サーフィンの要領でテンの夢の世界まで向かおうとするテイルは、チョンロの夢の世界に立ち寄ります。チョンロのいるプールには水が張られていませんが、テイルが望むと水が現れました。テイルの姿はチョンロには見えません。

この時点では夢の世界をスムーズに行き来するためには物体としての次元を落とす(携帯の通信システムを4Gから3Gにするイメージ)必要があるようです。解像度の高い3次元の身体は他のメンバーに上手く認識されませんが、2次元のテイルはテンと出会うことが出来ました。

ユウタはシャオジュンの夢の世界に訪れましたが、最初シャオジュンは彼に気付きません。しかし鏡に映るユウタの姿は虚像であり次元が存在しないため、見ることが出来たようです。

ユウタの気配に気付き振り返るウィンウィンは、そこにいるのが本当にユウタなのかを確かめるように手を差し出しています。

これらの反応の違いや次元の変換は、他のメンバーと繋がる意思や夢の世界への慣れの差、もしくは"異変"が関係していると考えられます。

また本来であればこの後にStage 3 - Synchronization of Dreamsがあるため、Stage 2の段階ではまだメンバー間の繋がりに不慣れであるのにも納得がいきます。

Stage 4 - Resonance

ー共鳴ー

テヨン「マーク、なんで遅刻したの?(韓国語)」
マーク「ごめん、長い一日だったんだ(英語)」

ここはNCT共通の夢の世界であり、彼らの心には"繋がり"があるため異なる言語でも会話が成立しているのだと考えられます。Stage 3 - Synchronization of Dreamsでショウタロウが鏡の奥に見つけた景色はこの場所です。

テヨンが発しているのは、他のメンバーを招集するための音の波動でしょう。共鳴音や笛と同じく、彼らは周波数(音が放つ波)で相手を認識し繋がっているようです。

ジェヒョン「無意識のKWANGYAに集まるのは久しぶりだね」

KWANGYA(クァンヤ)とは無意識・無秩序な世界を指し、SMCU(SMエンターテイメントが展開する世界観)の共通ワードです。NCTの世界観においては夢の深層とも捉えることが出来るでしょう。久しぶり、というのはNCT2020で集合して以来という意味だと考えられます。

パラドックスなモチーフ

 アルバムの印象的なモチーフ(左)からはペンローズの三角形と階段(右)を思い浮かべることが出来ます。これらは歪みを利用した不可能図形というものであり、三次元では実現不可能な形です。

アルバムのティザーはこのモチーフの設計図となっています。

このエスカレーターモチーフには様々な考察要素があります。例えばNCTのメンバーや楽曲が3本のエスカレーターのパーツであると仮定すると、それぞれのエスカレーターはNCT2018・NCT2020・NCT2021の全体活動、もしくはNCT127・NCT DREAM・WayVを表していると考えられます。またエスカレーターというモチーフ自体も夢の中を移動する装置として、これまでのMVで頻出していたエレベーターと非常に親和性があるでしょう。

そしてここで特に考察すべきポイントはパラドックスです。パラドックス、とは正しいと信じている論理と事実の相違のこと。この歪んだエスカレーターモチーフはある意味パラドックスそのものであるとも言え、それを掲げるNCTは現在パラドックス状態になっている可能性があるでしょう。つまり「俺達はついに実現不可能だとされているものさえ作り出せるようになったんだ!」という期待や信頼をUNIVERSEに抱きつつも、実際それらはすべて彼らの夢の中の出来事であるということです。どれだけエスカレーターに乗ったとしても、同じ場所を巡るだけでゴールには辿り着けません。

この相違を彼らがどう対処していくのか。
今後の考察をぜひ楽しみにしていてください。


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