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資源・エネルギー6(一次エネルギー)

一次エネルギーとは、加工されていない状態で供給されるエネルギーのことをいいます。大まかに言ってしまうと電力をどの資源で賄っているか、と考えてしまってもいいと思います。一次エネルギーには、石油、石炭、原子力、天然ガス、水力、地熱、太陽熱、風力、バイオマスなどがあります。

一次エネルギーの国ごとの違い

国ごとの一次エネルギー源を棒グラフにしてみました。今回のデータはこちらからいただいています。

左側の国名を隠されたときにどこの国かを当てることができたら共通テスト対策としてはばっちりです。でも、ただ丸暗記するのはきついので特徴を解説します。

石炭

石炭と言えば中国です。石炭使用量の年推移ですが、世界の使用量の増加と中国の使用量の増加は平行しています。

先進国では石炭依存を減らしてきていますが、日本は逆に石炭の量が微増しています。

石油

世界的にみても、いまだに石油と天然ガスといった液体燃料が一番多いですね。その中でも特に日本は液体燃料依存であることがわかります。近年は天然ガスも増えています。

水力発電が多い国

水力発電が優位となる国の条件は、多雨+山がち+低人口密度の3つです。その条件に入るのが、アイスランド、ノルウェー、ブラジル、ニュージーランドです。
アイスランドすごいですね。水力発電と地熱発電で総電力の85%をまかなっています。アイスランドは氷河の侵食によって形成されたU字谷の高低差を利用した水力発電が盛んです。
日本は、多雨と山がちはOKなのですが、人口密度が高いため水力発電は4.8%しかありません。つまり、水力発電ではこの人口を支える人口を得ることはできないのです。

水力+原子力の国

カナダとスウェーデンは、水力も多いですが、原子力もあります。水力が多い国の中でも亜流と考えていいと思います。

原発の多い国

原発といえばフランスですね。原発は政策に大きく依存します。そういえばドイツは2023年4月のニュースで原発0となったと報道されていました。2020年には7%あったのにこれをなくすってどうやったのでしょうね。東日本大震災を教訓にしたそうです。まさに「他山の石」としていますね。原発の賛否は分かれますが、科学をやっている身としては、核廃棄物という負の遺産を将来世代に残すやり方には反対です。今がよければいい、に感じてしまうのです。

原子力がない国

原子力がない国=地震の多い国と考えられます。
イタリア、ニュージーランド、インドネシアなどの地震国では原子力がないですね。オーストラリアは地震というよりは非核国なので政策により原子力がありません。そうやって考えると日本の原子力8%というのが世界の常識からみたら外れていますね。

風力発電の多い国

風力発電を効率的に行うには平地である必要があります。
全体からの割合はまだ低いですが、ドイツ、デンマーク、スペインに見られますね。

太陽光

太陽の国、スペイン、イタリアが多くなっています。スペイン、イタリア共に夏に降水量が少ない地中海性気候なので太陽光発電には適しています。太陽光発電に関しては日本もがんばっているほうではないでしょうか。

再生可能その他

ここにはいろんなものが入ります。

地熱は、火山活動の活発なイタリア、アイスランドで多くなります。アイスランドは「再生可能その他」の割合が多くなっています。

面白い所では、フィンランドは火力発電がおおいのですが、そのエネルギー源は、木くずや木から採れた油などです。森林の国であるため木が多いのと、森林破壊につながる石炭をあまり使えないという事情もあります。

ブラジルはバイオマスの国です。とうもろこしやサトウキビから採ったバイオエタノールで自動車が走っています。

化石燃料かそれ以外のエネルギーか

化石燃料の使用量は右肩上がりですが、その中でも特に天然ガスの伸びが大きくなっています。この3つの中では天然ガスが一番、温室効果ガスの発生が少ないエネルギーです。

それ以外の一次エネルギーの推移はどうなっているのでしょうか。
水力は右肩上がりです。水力発電は周辺への環境負荷が大きいため必ずしもエコなエネルギーではありません。
原子力は世界的にみれば2011年の東日本大震災以降、減少傾向にあります。
それと反比例するように、風力と太陽光が急上昇しています。世界は原発を再生可能エネルギーに置き換えてきていることがわかります。

SASプログラム

今回最初にお示しした棒グラフは、前回のレアメタルの回で失敗したプログラムを使いました。
今回は、エネルギー源の順に並んでくれた方がよいのでこのプログラムで問題ありません。失敗は成功のもとですね。

まとめ

1次エネルギーはその国の地形や気候、政策、経済活動、時代背景などと絡めると覚えやすくなります。
世界の流れとしては、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が進んでいること、ヨーロッパを中心に石炭の使用量が減ってきていること、日本以外の多くの国は東日本大震災を教訓に、脱原発が進んできていることなどを押さえておくとよいでしょう。

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