ポケモンですよ

会社のすぐそばの弁財天がポケモンGOの何かになっているらしく、スマホの画面を見つめてじっと佇む人の数が時々すごく増える。人の位置とか間隔とかが独特で、生き物というよりは植物のようであり、理由を知らなかったらちょっとしたホラーかと思うような光景だ。特に今日は日が暮れた後に通りかかったので、大量のうつむいた顔が照らされてかなり怖かった。

ポケモンGO自体は僕はやったことがないので良いとか悪いとか言えないのだけど、誰かが突然手をパンと叩いても、そこにいる全員がハッと目を覚ますことはないような感じがした。おそらく礼拝堂とか祠とかって今や実体がなくても良いんだろう。そういう集合が信仰の象徴である弁財天の隣に現れたというのが愉快に思える。

理由を知らずにあのヒトの群れを見たら、すごく不安になるのではないか。不気味がっている人の肩を叩いて、ポケモンですよと教えてやりたい気持ちになった。そこでポケモンってなんですか?と聞き返されたら、さあ…と答えるしかないのだけれど。

あるいは明日でも数年後でもいいんだけど、弁財天のところにポケモンGOの何かなんて今も昔もありませんよと消息筋から知らされて絶句する僕…という未来もありえるだろう。どちらかと言えばそういう展開のほうが納得できるような、B級SF映画を匂わせる光景だった。