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まあまあ健闘している日本の鉄道輸出関連のニュース

新幹線技術を供与してからというもの、中国にやられっぱなしの感がある日本の鉄道輸出であるが、カタールのワールドカップでも話題になったように、まずまず健闘しているところもあるようだ。

いくつかニュース記事をまとめておく。

バングラデシュ

口が急増するバングラデシュの首都ダッカで、初の都市型鉄道のメトロが一部区間で開通することになった。日本が事業費の多くを貸与し、車両の形はJR東日本の山手線とほぼ同じ。国旗にちなんだ緑と赤色を施した。日本の技術を結集した電車が世界有数の過密都市で走行する。

上記記事より

ベトナム

ベトナム最大都市、南部ホーチミンの都市鉄道1号線の試験走行開始を記念し、同市北東部の駅で21日式典が開かれた。日本の円借款などを活用して整備を進めており、建設には住友商事や清水建設など日本企業も参画。ベトナムの国家的な重要プロジェクトとの位置付けで、2023年末までの完工を目指す。

上記記事より

タイ

日本とタイが共同で進めるタイ首都バンコク―北部チェンマイ間の新幹線の建設計画で、日本側は来年3月末までに事業の経済・金融面での事業化調査を提出する見通しだ。同計画は2017年に事業化調査を実施したものの滞っており、現状に合わせて内容を更新する。15日付プーチャッカーンが報じた。

 タイ運輸省鉄道局は14日、タイの関係機関と日本の国土交通省、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT鉄道・運輸機構)、国際協力機構(JICA)、在タイ日本大使館と会合し、経済・金融面での事業化調査の中間報告を実施した。鉄道局は、駅周辺の商業開発による広域経済効果などを加えるよう提案した。

上記記事より

南アフリカ

〝鉄道大国ニッポン〟の安全運行を支える中小企業の技術がアフリカに根付こうとしている。鉄道の軌道のズレを防止する「座屈防止板」と呼ばれる製品の実証が南アフリカで行われており、その効果が認められつつある。南アは日本同様に総延長2万キロを超える鉄道網が敷かれているが、適切なメンテナンスが行われず、維持・管理策が急務。脱線などトラブル防止のため、日本の安全技術に対する期待が高まっている。

南アで実証を行っているのは、鉄道の保安装置などを手掛ける林総事(東京都大田区)だ。座屈防止板のほか、信号保安装置や軌道を分岐させる分岐器用部品などをJR東日本をはじめ国内の鉄道会社に納入している。

座屈防止板は、枕木の両端に取り付け、枕木の下に敷き詰められたバラスト(砂利、砕石)に打ち込むことで、軌道のズレを防止する。鉄道の高速化や地震対策、さらに温暖化によってレールがゆがむといった影響に対応するため、日本ではここ20年ほどで普及した技術という。林総事では海外にも納入実績があり、これまでに英国や香港、ベトナムに輸出した。

さらなる納入先として市場開拓を目指したのが南アだった。南アは左右のレール間隔を示す軌間が1065ミリと、日本でも広く普及している狭軌(1067ミリ)に近く、日本で使われている製品をそのまま持っていけるという利点があった。旅客、貨物合わせて2万キロを超える鉄道網も魅力で、「ポテンシャルが高い」(川名陽之介・海外業務本部長)と判断した。

上記記事より


自由で開かれたインド太平洋戦略のパーツの一つ

鉄道技術を中心とした交通インフラの輸出は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の重要なパーツの一つである。

世界が青組(自由民主主義陣営)と赤組(権威独裁主義陣営)に分かれてしのぎを削りつつあるなか、「青」にも「赤」にも属していない東南アジア・中東、そしてアフリカなどは陣取り合戦の重要な拠点となっている(特にASEAN)。

このあたりの国は、反欧米感情も根強くあることもあり、日本が果たせる役割は大きい。

なお、高速鉄道では中国に出し抜かれたインドネシアだが、地下鉄ではどうにか食い込んでいる。

自由で開かれたインド太平洋戦略という観点からも、交通インフラ輸出は引き続き注目していきたい。

(画像は写真ACから引用しています)

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