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タイトルからして読み解く必要があると読後に思い知った読解力についての一冊

こんな機会でもないと、ちっとも新しい本を読まなくなってしまったので。

読書感想なんて、いつぶりだろうか。
のっかって読んでみましたバーチャル美少女ねむさんが推薦図書にしている
AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子/東洋経済新報社です。
ちょろいと思ったVTuberの推薦図書は、ところが東洋経済新報社なめんなの読み応え。ただ、これが書かれたのは4年前ってあたり1つ注意点かも。

大規模な調査の結果わかった驚愕の実態―日本の中高校生の多くは、中学校の教科書の文章を正確に理解できない。多くの仕事がAIに代替される将来、読解力のない人間は失業するしかない…。
気鋭の数学者が導き出した最悪のシナリオと教育への提言。

内容(「BOOK」データベースより)

あまりビジネス書って感じもなく、とくに3章については驚かず読める方も少なからずいらっしゃるんじゃないかと思いつつ。
どちらかなら教育論のほうに発展する内容って気がするんですね。
国立情報学研究所の「東ロボくん」プロジェクトについても、2016年のAIについて書かれている情報なわけで、そのころに”打ち込んだ文章を解釈して、絵を描き上げてくれるIA”が誰にでもさわれるものになるなんて想像がないのは仕方がないにしても、もうAIがどうのって話じゃない。
圧倒的なインプットから最適解を見出すAIを通して、少なくとも日本の教育ではバリエーションを生み出せていないっていうのが透けてみえるわけで。
言うまでもなく「なんで勉強してんの?」の正体です。

いい大学に入りたいから、とか?

「東ロボくん」がMARCHに合格できて、でも東大には入れないっていうのがインプットに起因してる時点で”教え方”に問題があるのは間違いなくて。
3人に1人は簡単な文章が読めない、のは読む側が悪いんじゃなくて、読ませる側が「こう読めば正しい」しか教えなかったからじゃないの?
本書も終わりに向けて、むしろ教育こそ問題の根幹として定義していくわけですが、逆に言ってしまえば「人間が面倒を見てるうちは、AIも頭打ち」と読めなくもないところがあったりで、なんとも言えない気分になります。

この本で意味を理解しないから読解力がないとされていたAIは、もう文章を元に絵まで描けるようになって、絵を描かせるために頭をひねってるわけ。ほんの4年くらいで、人間のほうが。
AIが進化するスピードを考えると、そら恐ろしくなってきます。
いま推薦図書にされる怖さ、バーチャル美少女ねむさんも侮れんわけです。
狙って推薦したなら、けっこうとんでもない。
そのくらいの遊び心がないと、バーチャル美少女なんて名乗れないのかも。

バーチャル美少女って、そもそも美少女なの?
現実じゃあり得ないくらいの美少女かもしれないし、美どころか少女ですらない可能性もあるのか..
言わぬが花ってことなら、この本も同じ。
つらつら書かれてあるものの、結論これ”AI”について語るって本じゃない。
入り口がそうってだけの、読解力についての言及。
ちなみに続篇で『AIに負けない子どもを育てる』って本が出てます。

バーチャル美少女の推薦と手を出すと、まったく違うところに着地します。
ある種のSF的な期待で読むとガッカリな本だったり。
教育論というか、そういう類の。
きっと学校の先生あたりが読むには悪くないんじゃないでしょうか。

私には、こんな機会でもないと読まないだろう本でした。

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今回のタイトル画像は「番茶(50代Youtuber)」様からお借りしました。
こちらもAIに描かせたイラストだとかで。
ありがとうございましたm(__)m

#読書の秋2022

#AIvs教科書が読めない子どもたち