ハリーポッターと愚者の二番煎じ

私自身の期待値が高かったかというと、そういうことでもない。

なにせ映画も最後まで観ていないくらいで、何となく物語として知っている程度だ。ポケモンGOも、いまだアプリはスマートフォンに入っているが週に一度も起動しない。

ただ、ナイアンティック社の位置情報とARを組み合わせた試みには大いに興味がある。リリース直後から5年は楽しんだIngressの衝撃が大きかったのだろう。いわゆる第一世代Androidからスマートフォンにした私にとって、「これは未来のゲームだ!」と思わせる何かがあった。今となっては位置情報を使ってのゲームなど有象無象とある。が、Ingressの衝撃を超えたものはなく、居並ぶとしてもポケモンGOだけだろうか。

いよいよリリースされた「ハリーポッター・魔法同盟」には、もしかすると..という期待があった。出版や映画業界では近年まれにみるビッグタイトルである。背負うのであれば、それだけのものを期待していたというのもある。

が、掲題の通り残念な結果であった。

①バッテリー消費が激しい。
私のスマートフォンでは起動ごとに2%が削られる。
②ビジュアルに馴染めない。
メリケン絵本的とでも表すればいいだろうか、少なくとも私は馴染めなかった。
③操作系にバリエーションがない。
出来る事は複数あるが操作としては一辺倒でプレイする側に考える余地がない。
④そもそもハリーポッターでなくとも成り立つ感じしかない。

まず①だが、とくにGPS情報を使うゲームでは初期バージョンで大いに電力を要求する出来でリリースされることがある。が、すでに2つのタイトルを経ているとは思えない消耗度に萎える。
次いで②については好みなので多く言及しないが、いっそ私はタイトルを関するための致し方なさすら感じた。

そして致命的な③である。
いくつかアプリを紹介している記事では「複雑」とされているものもあるが、そんなことは全くない。多少のゲーム感があれば、むしろ単純な仕掛けに見えるのではないだろうか。幼児向け、とすら感じる。
たとえばIngressではアイテムを選び組み合わせる戦略を求められた。
あるいはポケモンGOには捕獲用のボールを変化球で投げると捕獲率が上がるという習熟要素があった。
そういったものが一切なさそうなのだ。
ただ、ARで空中にあらわされた線をなぞる。だんだんと複雑にはなるのだろうが、ただなぞる。魔方陣を描く、ということらしいのだが。しかし1つ前のモンスターを倒したときの魔方陣を正確に描いても発動しない。
いま、それではないから。
見たまま、なぞるだけのゲーム。
熱中できそうな要素には思えない。

最後に、最大の失敗という気がする④である。
このゲームはハリーポッターの世界観がキモなわけだが、伝わってこない。
たとえば老若男女がポケモンGOで夢中になれた背景は「誰も彼もがポケモン好き」だったわけではない。なんとなく「(空想上の)野生の生き物を捕獲する」という共通認識を植えつける説得力に満ちていたからだ。
この、「ハリーポッター・魔法同盟」にはその説得力がない。なぜ、魔法界から現実世界に流出してしまったものを回収しなければならないのか、話の上で説明はされているのだが、そこに一切の没入感がない。
ゲームとして致命的に。
あちらこちらに向かわせる動機に足り得ない。

残念ながら二番煎じを狙った数々のゲームと同じ不穏さしかない。

この週末も梅雨空のようなので、せめて映画を完結させて消化不良の穴埋めをしてみようかなどと考えている。