狂っているのは時計か視点か。

1995年3月20日と聞いてピンとこない方でも、地下鉄サリン事件と言われれば何があったのかはご存じだろう。

もう24年前なので、リアルタイムの世代ではない方もいらっしゃるのだろう
が、当時を知るひとの中には「そんなのもあったね」で終われない方も多いと思う。

ところでIGNジャパンという29か国22言語で展開するグローバルなエンターテイメントサイトの日本版がある。

SF史に残る(べき)ゲームたち、と銘打って24回め。
なかなか人気なのか、続いているWEB連載である。目を通してみて、当たり障りのない内容ながらソツなくまとめてある読みやすさを感じる。

今回は「ゼノギアス」という冒険的なRPGタイトルについてだった。

ただ、私が気になったのは本編とは全く異なる部分だ。
宗教や神話がサブカルチャー化した90年代で、ある種の象徴でもあるオウム真理教は現代であれば単なる中二病で済む人たちではなかったか、と説いている。

地下鉄サリン事件だけでも死者13人、負傷者6300人とされる未曾有のテロである。
その、犯人であり首謀者らの組織である。

その動機や背景を、中二病と一蹴する。

少なくとも、この筆者は当時をご存じないのだろう。

ほんの20数年で、テロも中二病とは。
私には違和感でしかない。

知らなければ、そんなものなのだろうか。

個人で、あるいは公明正大な名義から、情報は垂れ流されている。
大勢がそうだとすれば数年前でも過去になる。
数年で懐かしがられるコンテンツも多い。
そのサイクルが当たり前になったときに、風化は美談を生まない。

とても不穏に思える。