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浄土教思想②

過去にも仏がいたならば未来にも出現するはずだという未来仏思想も当然ながら成立した。この未来仏は『弥勒仏』とされ、これはすでに決定していることであると考えられている。
次に成仏する仏がすでに弥勒仏と決定しているということは弥勒を差し置いて仏となるのは不可能なことである。結論を先取りするとこの点について部派仏教と大乗仏教の見解の相違が生まれた。仏教には『一世界一仏教化論』という考え方がある。「世界に同時に2人以上の仏は存在しない」という考え方である。この「世界」について部派仏教は「全ての世界」と解釈した。だから全ての世界においてブッダが入滅したあとであり弥勒仏が出現する間である現世は『無仏の時』であると考えた。部派仏教は「成仏」を目標とせず命が終わったあとは永遠の涅槃に入ることを目標とした。
一方、ストゥーパに集っていた仏教徒たちはブッダを慕う心がより深かった。彼らはブッダあるいは仏に出会いたいという気持ちが強く部派仏教の「現世は無仏の時代である」を悲しい気持ちで聞いていた。

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