ヤギ健太の『遊撃手はやったことがない‼️』(エースは二年生編)
ヤギ健太が思いつきで一筆書きした、小説風の小説風ショートショート(作家ではないので、あくまで”風”の”風”)を、お届け‼️
トモユキのストレートは、浮き上がった‼️
マサシが、言っていた。
センターの位置から、
ずっと見ていた彼が言うのだから、
間違いない。
トモユキのストレートは、
魔球だった。
3年の夏の県大会。
二回戦の相手は、
第一シードの郡山商業。
秋の県大会の優勝校。
夏の県大会の、
トーナメントの抽選会は、
平日に、
磐梯熱海の旅館で開催された。
そこに、
それぞれの主将が集まった。
私は、
顧問のショージ先生の車で、
当時、出来たばかりだった、
高速道路で会場に向かった。
殆ど話をしなかったはずだ。
ショージ先生は、
会津高校の先輩でもあるし、
同じキャッチャーだったし、
主将でもあったように記憶。
共通点が、
仲良くなるキッカケらしい、
と知ったのは、
もっと大人になってからだ。
しかも、私は、
いまだに、
大人になってない、らしい。
さておき、
結構な広さの福島県。
人口は少ないけれど。
でも、
県大会は、
当たり前だけど、
一つのトーナメント。
浜通り、中通り、会津地方。
福島県は、
三つのエリアに分かれている。
新幹線は、
中通りにしか、
通っていない。
その年は、
たまたま、
会津での開催だった。
地元だ。
高校から、
自転車で10分くらいの、
あいづ球場が、
メイン会場。
そういえば、
負けたあの試合、
ムチャクチャ、
観に来てたな。
試合としては、
スゴイ、
面白かっただろうな。
いまだに、
負けた実感が、
ないんだよな。
27年も前なのに。
負けたのは、
そのシード校ではない。
会津高校は、
前年秋の優勝校である、
第一シードに勝ったのだ。
そのマウンドには、
トモユキが、
いた。
一失点の完投勝利。
その時の、
彼の、
外角低めのストレートは、
たぶん、
大谷でも、
打てないだろうな。
その当時、
まだ、
大谷が、
生まれてないか、
生まれて間もなくだった、
からではない。
トモユキが、
魔球を投げていたからだ。
打者が、
全く手が出ない瞬間の映像が、
頭の中に、
リアルに、
再現されている。
外角ギリギリに、
ズドン。
いや、
トモユキのストレートは、
ズドン、
ではないんだよな。
もちろん、
ミット越しに受けた手は、
それはそれで痛いんだけども。
シュッピュー、
みたいな、
シュルルルー、
みたいな。
郡山駅や、
福島駅の、
ホームを、
通過する、
はやぶさ、
みたいな。
そう、
明らかに、
ホームベース付近で、
速度が落ちない。
むしろ、
加速してるような。
そう、
彼のストレートは、
浮き上がった。
私には、
魔球だった。
伊藤智仁のスライダーと、
同じように、
あの夏の、
トモユキの外角低めのストレートは、
私には、
魔球だ。
それでは。
【いつか、また、どこかで】
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