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【4】クールフライヤーの構造的特徴とその効果

今回はクールフライヤーの構造的特徴とその効果について、まとめて説明します。ただし、技術的にはすでに成立した特許の範囲での説明です。11月に出願しましたヒーター構成とその制御に関するところは、別の機会にさせていただきます。

構造的特徴その1 ヒーター直下の油槽を効率よく冷却する

下記はクールフライヤーの構造を示した概念図です。実際にはオーバーフロー排出用のパイプは本体内にあり、外見からは見えません。

最大の特長はヒーター直下の油槽を水槽で覆って冷却していることです。
オーバーフローの位置は最上部にありますが、ヒーターから上の油槽は周囲を断熱していますので、実際に冷却しているのはヒーター直下以下です。

温まった水は上昇しますので、最上部の「高温水集積部」に集まります。集まった温度の高い水だけを、下部からの注水でオーバーフローさせて排出するように構成しています。

なお前回のnoteで書きました自作の実験機では、ヒーター直下の冷却ポイントまで水を満たしてオーバーフローさせていました。その後、冷却効率を上げて注水量を減らす目的で水槽を最上部まで拡張して「高温水集積部」を設けました。

この構造を2件目の特許として出願したところ、今度はすんなりと成立しました。

その後製作した試作機では水槽にも温度センサーを設けて、一定温度を超えたら電磁弁を開いて注水を行う仕組みになっています。

上の写真は最初の卓上型試作機CFT-01です。この段階では温度制御部(左)や注水制御部(本体の右奥)は本体に組み込まれていませんでした。

構造的特徴その2 低温油層への熱移動をブロックする方法

その2は低温油層への熱移動をブロックする方法についてです。

イメージとしては調理層のみを過熱し、その熱が低温油層に及ぶことをブロックするのですが、ブロックするための境界面は自然に形成されます。

調理層の温度は高く、低温油層は水冷により低いので、こうした温度差のある二層の境界には比重差や粘性差で界面が形成され 、あたかも二層間の熱移動を防ぐ働きをしているように見えます。

以前にも書きましたが油槽を真横から観察すると、小さなセル状の対流が無数に存在し、それが境界面として目視できます。まるで低温油層がガチっと熱移動を阻んでいるようです。

以上のように自然に形成される境界面ではありますが、クールフライヤーでは外周の水槽温度を管理することで境界面の位置を制御し、安定した低温油層を形成しています。

構造的特徴その3 密閉・断熱構造により排熱量を最少に

その3の構造的特徴は、油層の周囲に空間を持たないということです。
一般的なフライヤーは油槽を空冷する必要があるため、油槽の熱で上昇気流を発生させ、その吸引力で下部から周囲の空気を吸引しています。↓下図

これに対してクールフライヤーでは下図のように油槽を水槽が囲んでおり、油槽周囲を空気が通過することはありません。また本体表面温度も低いため強い上昇気流は生じません。

以上クールフライヤーの構造的特徴について書いてきましたが、これらの結果、一般フライヤーの持つ多くの課題が解決されそうだと感じていただけましたでしょうか。
念の為に、以下はその効果についてです。

構造的特徴1~3がもたらす効果

それでは先日のnote【2】一般フライヤーの構造と課題に沿って見ていきます。

<排熱に関する課題>

まず一般フライヤーには、本体からの排熱量が大きい。具体的には①本体が発する輻射熱で暑い、という課題がありました。クールフライヤーでは油槽の周囲を水槽が覆っているため本体の表面温度は低く、高温水集積部付近の水温はやや高いですが、この部分は樹脂カバーで覆われています。

接触温度計で測ったところ30℃までのところが多く、最高地点でも47℃程度で、正面や側面から輻射熱を感じることはありません。まさにクールなフライヤーで、クールフライヤーのネーミングはここから来ています。

次に②油槽の熱で上昇する空気によって周囲の空気を下部から吸引しているので、室温を上昇させてしまい空調負荷が大きい、という課題がありました。

これに対して、クールフライヤーでは油槽を空冷していないので空中への排熱は少なく、空調負荷も少ないと言えます。
一方クールフライヤーは水冷ですので、プロトタイプでは50℃前後の温水を排水しますが、厨房ではかなりの頻度でお湯を使うので、この排水がけっこう便利です。

<低温油層の温度が上昇しやすいことから発生する課題>

まず一般フライヤーでは、①揚げ物の水分が落下しにくく油ハネが生じやすい、という課題がありました。

クールフライヤーは「水分の落下が最重要」という気づきから始まっており、これを実現するためにヒーター直下を冷却しています。したがって油ハネは最少で、特に11月に出願した特許技術と組み合わせることで、油ハネを極少に抑えることが可能です。

次に一般フライヤーでは②油の劣化が進行しやすいという課題がありました。

クールフライヤーでは油槽底部近くの油の温度はおよそ40℃以下、それより上部の低温油層でも80℃以下に抑えられているため、この領域での油の劣化進行が抑えられます。ちなみに油の酸化速度は温度が10℃上がるごとに2倍になると言われています。

また油が高温状態で水分と接触することは主要な劣化要因の一つですが、クールフライヤーでは水分の落下沈殿が多いため、その分この要因による劣化も抑制されます。

次は一般フライヤーにおいて③オイルミスト、水蒸気、油の劣化が進行した場合には油煙も拡散し、厨房と本体内を汚すという課題でした。

クールフライヤーは調理によって発生する水分を油槽底部に落下沈殿させるため、大きな気泡が少なく、油ハネが少なく、水蒸気も少なく、これに伴うオイルミストも少ないと言えます。

また油煙は油が劣化すると発生しやすいので、油の劣化を抑えるクールフライヤーでは油煙も生じにくいと言えます。油煙の生じるもう一つの原因は、ヒーターの表面積あたりの発熱量が大きい場合ですが、クールフライヤーではこの点もクリアしています。

最後は一般フライヤーにおいて④気泡による沸き上がりや水蒸気爆発のリスクがあるという課題です。

クールフライヤーでは低温油槽の温度を管理しており、低温油層は80℃以下、油槽底部は40℃以下に保たれています。このため底部に沈殿した水分が気化して沸き上がることや、水蒸気爆発のリスクはありません。

<揚げカスの炭化が進行しやすいことによる課題>

具体的には一般フライヤーにおいて①揚げ物の風味を損なうことがあるという課題がありました。炭化した揚げカスが食材に付着するためです。

これに対してクールフライヤーの底部は40℃以下に保たれているので、落下沈殿した揚げカスは炭化が進行しません。また揚げカスが水分と同様に落下沈殿しやすく、また浮遊しにくいため、調理層において炭化が進むことも抑えられます。

最後は一般フライヤーにおいて②炭化した揚げカスは、廃棄時に自然発火を起こし、厨房火災の原因となるという課題です。真っ黒になった揚げカスを思い出します

言うまでもなくクールフライヤーでは揚げカスの炭化が進行することはなく、したがって真っ黒になることも、ありません。

以上見てきましたように、クールフライヤーはその独自構造により一般フライヤーの課題をすべてクリアしています。

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2018年11月に3件目の特許を出願、自信を深め、事業化へ向けて情報発信を始めました。事業の進捗などを書いていきます。 ホームページは http://coolfryer.co.jp/ FaceBookは→ https://www.facebook.com/kyamada.cf1

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山田 光二 クールフライヤー㈱代表

揚げ調理を研究してきました。全くと言って良いほど油ハネせず、油交換(全量廃棄)なしで油を新鮮に保つフライヤー開発に成功。2020年発売を目指しています。応援お願い致します! →http://coolfryer.co.jp/ 写真は調理中に油中を落下する水滴の様子です。

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