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エンジニアの話

わたしはとあるメーカーの機械設備系サービスエンジニアをしています。簡単にいえば設備の点検や修理、それに関わる施工管理など。そんな仕事のことをちょっと書いてみました。

【目次】
・エンジニアってめちゃくちゃ縁の下の力持ち
・かなりの危険と隣り合わせ
・ヒヤリハットって知ってる?
・労働災害による死亡者って年間どれくらいなの?
・KY
・「〜だろう」から「〜かもしれない」へ

今の仕事は、ものづくりに興味があって始めたことだけど、エンジニアとして修理したり点検したりの仕事で感じたのは

エンジニアってめちゃくちゃ縁の下の力持ち

エンジニアは基本、みなさんが「使えて当たり前」なものを「当たり前にし続ける仕事」で、「当たり前にし続ける」ためには、みなさんが使ってる時にはあまり修理や点検ができません。だから、みなさんが寝静まった夜中やみなさんがお休みにしてる土日や連休(稼働がなるべく少ない時)を利用して仕事をしていることが多いのです。
かといって、全てをその時間にはやりきれないので、平日の日中もなるべく少ない時間で点検などをしているのですが、使えて当たり前のみなさんは「なんで使えないの」「困る」と中々厳しい言葉をいただくこともしばしば。とほほ。

こんな感じでエンジニアはあまり陽の目を見ない「縁の下の力持ち」な職業ですが、「実は俺がみんなの当たり前を作ってるんだぜ」という自負のもと、その格好良さに魅力を感じたり(自分に言い聞かせたり)しているのです。

そんなエンジニアの仕事。
注意しなければならないのはやはり

かなりの危険と隣り合わせ

ここから少しトーンが暗くなるけど、
相手は機械なので、必ず不具合が起きるし、どんな優秀な部品も少しづつ劣化していく。通常では思いもよらないような動きをすることもある。ただ、機械はトラブルが起きると基本停止する側へ働くよう設計されているので、暴走し続けるということはほとんどないです。それよりも1番危険なのは「人間もミスをする」ということ。いわゆるヒューマンエラーというもので今も起きている事故のほとんどはここに至るのでは?と思うほど多いです。まぁ細かい話すると「ヒューマンエラーを引き起こすシステムが悪いので、ヒューマンエラーではなく、システムエラーだ」という声もありますがその話は一度置いておいて(大事なのでいつか書きたい)。いまでも現場で仕事していると、最悪のケースを想像して、ゾッとすることも少なくないです。

ヒヤリハットって知ってる?

これは建設業とかでは有名な言葉で、意味は「重大な事故や災害にはならなかったものの、直結してもおかしくない寸前の事例」のこと。ヒヤッとした、ハッとした、という言葉からきているみたい。
ハインリッヒの法則っていうのがあって、
「1つの重大事故の裏には29の軽微な事故があって、その裏にはさらに300もの異常が存在する」というもの。この数字が立証されてるかは分からないけど、ヒヤリハットの数が多ければ多いほど、重大事故につながる確率は高くなるよね、って話です。

労働災害による死亡者って年間どれくらいなの?

労災のことってたまーにニュースになるけど、日本での労災による年間の死亡者数ってあまり聞かない。もし知らなかったら大体でいいので下記から予想を選んでみてください↓

A.300人
B.600人
C.900人





正解は、C.900人

予想より多かったですか?少なかったですか?わたしは初めてそのことを知った時、そんな多いんだとびっくりしました。ちなみに30年度が909人で過去最少。(厚生労働省発表による)2010年くらいからは大体1000人を前後しているんだけど、これが1965年頃はなんと、6000人。70年かけてやっと6分の1まで下がったんです。ただ、この数字はあくまでも死者数で、4日以上の休業災害をいれると10万人超えます。

KY

KYという言葉をきいてまず思いつくのはなんですか?たぶん一般の人は「K(空気)Y(読めない)」ではないでしょうか。「まじあの人KYなんだけど〜」というような感じで。ただ、建設関係で働いたことある人はすぐに思いつくかと思いますが、「K(危険)Y(予知)」という意味です。これはもう建設業ではほんと当たり前の言葉で、現場で仕事を始める前に「KYミーティング」というものを行なって、今日の作業の流れから、どこにどんな危険が潜んでいるかを洗いだしたり、その対策をどのようにするかを話し合って記録します。もちろん事故を起こさないための活動ですが、万が一現場で労災が発生して労働基準監督署が動くと、必ずこの記録がされているかを確認されるくらい大事なものです。このような地道な活動で少しずつ事故を減らしてきたのです。

「〜だろう」から「〜かもしれない」へ

このKYという考え方、結構日常でも使えるんですよ。
事故が起きてしまう一つの要因として、「〜だろう」という思考があります。例えば車の運転で「かもしれない運転」ってありますよね?「まさか人が出てこないだろう」ではなくて「もしかしたら人が出てくるかもしれない。だからスピードを落とそう」と考えることでグッと事故が減るよね、ということです。他にも台所で高いところにある食器を取ろうとイスを使って取ろうとしたらバランスを崩して転落したり、これも普段は座って使うはずのイスを踏み台にしても「大丈夫だろう」という感覚から起きてしまうことです。この感覚はかなり個人で違うように感じます。もちろん経験などに左右されますが、「いつもしているから大丈夫」なこともいま一度どんな危険が潜んでるかをちょっとでいいので考えてみてください。

そんな感じで日々機械設備系サービスエンジニアとして働いていますが、中々忙しいです。一番のネックはやはり故障の対応かなあ。だいたい仕事って1日のスケジュールがあってそのタスクをこなしていって、目標を達成したりで進めていくことが多いじゃないですか。でも故障というのはスケジュールになかったものが第一優先になってしまうので、その日予定していたスケジュールがままならない、なんてこともまぁざらにあって(もちろんその会社にもよると思いますが)、仕事が思うように進まない。そのシステムをどうにか改善したいんですが、一人一人が忙殺されてて中々そこまでできない。この悪循環の中では人も増えない、というスパイラルで、すごく葛藤があります。上司に相談するのは簡単で、きっと上司も分かっていて変えられない状況なんだろうなと感じます。他のサービスエンジニアの人たちってどうやって仕事回してるんだろう?ってとても気になる。別に同じ職業じゃくなくても、みんな少なからず同じような悩みや葛藤ってきっとあるんじゃなかろうか、と思っていて、もしそういうことを話し合えるコミュニティや機会が作れないかなぁ、と考えている今日この頃です。
世の中色んなエンジニアがいますが、いつも当たり前に使ってる機械設備で点検や工事をしている人を見かけたら、「僕たち私たちの当たり前を作ってくれているんだね!」と思ってくれたら助かります。

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