見出し画像

【KY21】子供でも分かるPER・PBR

色々と株式投資の本を読んだり、YouTube動画などを見たりしているのですが、PER・PBRについてまともな説明をしている人がほとんどいなかったです。教える側の人のはずですが、どこかのMBAの教科書でも写したような内容で、聞いてて分かりにくかったです。

おおよそ、次のような説明でしょうか。
PERは企業の収益力を示す指標で、これをもとに企業が割安か割安か判断する。PBRは企業の解散価値を示す指標で、これをもとに企業が割安か割高か判断する。などなど、まあ分かったような分からないような説明ですね。話している人も分かってないのだろうなって、思います。

ちなみに中小企業診断士の試験科目に財務会計があるのですが、こちらでも扱います。ただ予備校の講師の先生は株式投資をしていない人が多いので、私が受験生だった頃を思い出すと、確かに授業を聞いていて理解できなかったです。

というわけで、今回はかなり平易に子供でも理解できるよう、PER・PBRについて説明してみます。


ニワトリが産んだ卵を売る

PERとは何か?

あなたは市場でニワトリを10,000円で買いました。ニワトリの所有者は誰でしょうか?
もちろん、あなたです。

そのニワトリが1年間に100個卵を産んでくれます。またニワトリを1年間飼育するのに、9,000円掛かります。この卵を1個100円で市場で売ると、いくら儲かりますか?
答えは、1,000円です。

では、そのニワトリで元を取るのに何年掛かるでしょうか?
答えは、10年です。

はい、PERは10倍です。ただそれだけです。
とりあえず面倒なので、時間による割引価値は無視しますね。

要するにPERとは、投資した金額が利益として戻ってくるまでの期間のことです。

式に表すと、PER=時価総額/純利益(倍)
なお時価総額は投資金額のことです。
一株当たりの金額で計算することもありますが、同じことです。

PBRとは何か?

あなたは卵を売る商売に飽きたので、やめることにしました。
ツケ払いのエサ代5,000円を返して、ニワトリを市場で15,000で売りました。
あなたは、いくら投資した金額を回収したでしょうか?
答えは、10,000円です。

はい、PBRは1.0倍です。
あなたは投資した10,000円を回収したので、損をしませんでした。
ただそれだけです。

要するに、PBRとは商売をやめた時に、投資した金額の投資家に戻ってくる金額に対する割合のことです。

式に表すと、PBR=時価総額/純資産(倍)
こちらも一株当たりで計算することもありますが、同じことです。

PERとPBRは両輪

PERは投資したものが、将来どれくらいの利益を生むのか(動的)
PBRは投資したものが、どれくらいの価値を持っているのか(静的)
という判断材料になります。

PERとPBRは一体として、投資の判断基準となります。

PER・PBRから、どのように割安か割高かの判断するの?

答えは簡単で、元手以上の旨みがあれば割安と判断します。
将来、卵の値段が100円以上になることが予想される、ニワトリがヒナを産んで、さらに卵が増える見込みがある、などなど。

ポイントは、PER・PBRも投資する時点で計算されているということです。
将来性まで、考慮されていないということです。

したがって、卵の値段が110円になるのであれば
今のPERは将来価値を含めると実際は低いはず(割安)
ヒナが増えるのであれば
今のPBRは将来価値を含めると実際は低いはず(割安)と判断されます。

つまり将来的に元手以上の旨み(価値)が見込めるのであれば、投資価値があると判断します。これが割安・割高の判断基準となります。

他のニワトリと比較する

良質な卵を産むニワトリと比較する

将来のニワトリと比較するというのもアリですが、他のニワトリと比較するのも割高・割安の判断基準になります。

もっと良質な卵を産むニワトリがいて、その卵が1個120円で売れるとして、そのニワトリが20.,000円で売られていればどうでしょうか?

PERは、20,000/(12,000-9,000)で計算し、6.7倍です。
また、このニワトリが25,000円で売れるとしたら、PBRは20,000/(25,000-5,000)で計算し、1.0倍です。

こちらの良質な卵を産むニワトリが割安と判断され、100円の卵を産むニワトリは割高と判断されます。

つまり他のニワトリのPER・PBRと比較することで、割安・割高かを判断することもできます。

金の卵を産むニワトリと比較する

稀にそのような素晴らしいニワトリがいるとして、10年に1個だけ金の卵を産むとします。この場合、金の卵を産むまでは毎年9,000円のマイナスとなります。

PERはマイナスになるので、算定できません。

PBRも相当割高になると思います。
今だと金1グラム10,000円ぐらいで、卵1個分だと300グラムぐらいですかね。分からないので適当ですが、さらに金の卵を産むヒナ鶏を産むことができるとしたら、資産価値はわかりません(笑)

ではここで質問です。
あなたは、この金の卵を産むニワトリにいくら投資しますか?

おそらく不確実性が高すぎて、PER・PBRに関係なく、期待値だけで値付けすることになります。
PER・PBRが投資判断に、役に立たないということです。

これがハイパーグロース株(ハイグロ株)に、異常に高い株価が付く理由です。

もっとも、ニワトリがいざ卵を産むとなって、その卵が期待していたより純度の低い金の卵だったとすると、どうでしょうか?
投資家は現実を見るので、株価も現実的な価格に落ち着くことになります。

相場格言の「噂で買って事実で売る」というのも、このことを表しています。
ちなみに私は、この噂をかなりシビアに見てしまうので、上昇株を割と逃しています(笑)

グロース株のPER・PBRが高くなる理由

大きなビジョンに引き寄せられるから

もっとも評価が高いのは、実績がないときだったりします。
これは生まれたばかりの赤ちゃんに、「末は博士か大臣か」というのと同じです。

IPO株などは、ものすごい成長を期待するから、市場での評価額(時価総額)が著しく高くなることがあります。

これがグロース株のPER・PBRが総じて、高くなる一つの理由です。

トレンドだから

生成AIや宇宙技術などトレンドのものだと、漠然とした市場の期待感だけで、上昇し続けるものもあります。
未来が見えないので、事実ではなく可能性だけを評価してしまい、マーケットが無限に広がっているように錯覚してしまうのです。
このようなマーケットに挑戦するベンチャー企業の事業内容を吟味せず、先行者利益で巨大なマーケットシェア取れると、勝手な思い込みをすることが意外と多いです。

小さいから

例えば上場したばかりの企業だと、売上高10億円未満というものがあります。こういった企業の利益は5千万円ぐらいだったりします。

ところでこの企業の利益を、2倍の1億円にすることはハードルは、それほど高くありません。ちょっと儲かる仕事を数件獲得するだけで、実現することができます。
数兆円の売上規模の企業では、このようにはいきません。

投資家の視点からすると、元手を回収する期間が半分になるわけですから、今のPERが多少割高でも構わないと、判断できます。
また株価が上がると時価総額が高くなりますから、PBRも割高になります。

希少性があるから

グロース株の場合、流通株式数が少ないというのもあります。
人気株になると、投資するチャンスが少なくなるため、株価が上がりやすくなります。
したがって時価総額が上がる分、PER・PBRが高くなります。

以上、今回はここまで。また次回もよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?