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【KY37】スタグフレーションと投資スタイル②

前回からの続きです。
今回は景気循環と銘柄選択について、ちょっと買いてみようと思います。


米国市場はピークなの?

エヌビディア(NVDA)の決算

市場では、5月22日(米国時間)のエヌビディア決算次第で米国市場の動向が決まる、なんてコメントが多いですね。

エヌビディアは、S&P500に対してEPS成長率で約40%ほど寄与するらしいので、分からなくもないのです。
ただ、なんかどこかで聞いたことあるコメントですね。

お隣の韓国経済はサムスンの業績次第、と言われていたのを思い出しました。
サムスンの売上高は韓国のGDP比(約18%)だそうで、影響力が大きいのです。
ちなみにベトナム経済もサムスンのスマホ工場に大きく依存していて、サムスンの同国の売上高はGDP比(約20%)だそうです。

話を元に戻すと、エヌビディアの昨年度売上高(609億ドル)、米国GDP(27兆3578億ドル)で、GDP比(0.22%)です。
ちなみに米国市場の時価総額はGDPの2倍以上です。

冷静に考えると、いくらAI需要がすごいとしても、エヌビディア1社で決まるとか、言い過ぎですよね。
エヌビディアの時価総額(2.27兆ドル)、PER76.7倍というのは、米国市場のトップランナーの評価としては高いです。
この株さえ買っておけば大丈夫!という安心感はあまりないです。

そのように考えると、コンセンサスでEPSで2倍は当たり前としても、米国経済への波及効果を加味すると、売上高も相当伸びないといけないのではと思います。
ここで波及効果とは、AI半導体が普及して様々な需要を生みだすことです。

そのような好決算を期待したとしても、そこまで1社に命運を委ねるようなコメントが多いのが、不思議です。

米国株を誰が買っているのか?

米国債10年の金利が落ちてきています。
そもそも金利が下がるのは、不況が意識されているからで、リスクオフになっているからです。
つまり誰かが米国債を買っており、マネーが株式から債券へとシフトしています。

昨年の今頃は、米国債のショートが話題になっていました。
最近はその話題を聞くことがほとんどないので、おそらくはポジション解消されている可能性が高いです。

バフェットはアップル株を大きく売りましたし、ドラッケンミラーもエヌビディア株を大きく売りました。

このような状況で誰が、米国のGAFAMなどテック株を買っているのでしょうか?

おそらくは一般投資家が多いのでは、と推測します。
相場を初めに動かすのは機関投資家で、次いでベテラン個人投資家、最後に一般投資家と言われていますね。
1番先に売り抜けするのも、その順番通りです。

まあ相場にはいろんな思惑があると思うのですが、最終的には大多数に従うので、いずれかの方向に行くにせよ個人投資家には賢明な判断が求められる場面だと思います。

景気循環とセクターローテーション

景気循環とは

ところで、米国や日本はどのような相場なのでしょうか。
ここでは景気循環とセクターローテーションという考え方を、取り上げてみます。

景気循環というのは、好景気から不景気へ、そして好景気に戻るという循環的な変動を言います。

不景気だと中央銀行は金利を引き下げ、景気を刺激します。
企業活動を活発化させ、雇用を生み出すよう、中央銀行は金融政策によって市場に信用を供与します。
乱暴な言い方をすれば、お札を刷って人々に気持ちよくお金を使ってもらえるようにする、ということです。

反対に好景気だと、人々の経済活動は活発で、物の値段もどんどん上昇します。
こうなるとお金持ちほどよりお金持ちになりますし、株や不動産などの金融商品への投機が増えますし、それに対して一般の人々の生活は苦しくなります。

このような過熱感を冷やすために、中央銀行は金利を引き上げます。
企業にお金を借りにくくさせ、投機熱を冷やし、需要を抑えます。そのことで物価上昇を抑えようとします。
乱暴な言い方をすると、人々からお金を吸い取り、お金を使いにくくさせるということです。

このような景気循環を踏まえると、金利と企業業績、株価には相関性があることが分かります。
そして景気循環によって、買われるセクターも変わるのです。

以下、下記の図にまとめてみました。
なお、次の本を参照しました。古い本ですが良書です。

浦上邦雄「相場サイクルの見分け方<新装版> ―銘柄選択と売買のタイミング」 (日本経済新聞出版)

景気循環とセクターローテーション

日米の相場

米国は金利はピークですし、企業業績はいいので逆金融相場だと思います。
米国は中途半端に緩和しているので、人気のビッグテック株ばかりが買われ、株価も最高値更新しているので、非常に分かりにくいです。

ただバフェットは短期米国債を増やしていますし、著名投資家は逆金融相場だと想定していると思っていいです。

なお日本はどの相場なのか悩みますが、私は米国と同じく逆金融相場だと思います。

確かに異次元の金融緩和をしていたこともあって、金融政策が全く機能しておらず、分かりにくいです。
ただ日銀は、あえてインフレを起こそうとしているわけですし、日米金利差を放置して円安による物価高を招いているわけですから、実質金利と比較して名目金利は高水準にあるといえ、逆金融相場と考えていいのではと思います。

なお日米だけでなく欧州も株価は絶好調ですが、これも下降のタイミングがずれているだけだと思います。

ここまでズレると、ノーランディングとかソフトランディングとか、都合の良いシナリオはどうなのでしょうか。
スタグフレーションに陥る危険性を考えると、FRBはまだまだ金利を高めに据え置くと思います。
また金融危機にならない限り、株式市場が下落して債券が買われる分には、財政拡大をしてきた米国政府としては都合がいいです。
米国債を買ってもらえますし、金利も下がりますから利払いも減りますし、ドル安になればその分、米国債の償還も他の通貨に対して安くて済むからです。

何に投資するか?

結論として、私はJ-REITが良いのではと思います。
米国債や金なんかもいいですね。
ただ長文になったので、詳細については次回にでも。


投資は自己判断でお願いいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。

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