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日記_2018年5月19日(土)

2人で映画を観に行った。

先週アプリを介して初めて会ってから、間をあけずにまた会うことにしたのは、あせっているからだった。
何にあせっているのかといったら、自分の年齢が20代後半をグングン加速しながら駆け抜けていっていることに対してだ。
いや、正確には誰かと付き合えずにこのまま齢をとる未来がこわくてたまらないのだ。

掲示板で募集される合コンから、簡易的なお見合いパーティのようなもの、ゲイバー、果てはレインボープライドのボランティアと、手を変え品を変え、自分なりに出会いのバリエーションをいろいろと試しているつもりなのだが、なかなか恋愛関係に発展させられない自分のままで、もどかしい。

現実逃避のために素敵な映画や舞台を消費するうちに、どんどん理想が高くなっていってしまっている気がする。
白馬の王子様なんて存在しないというのに。そう思い始めていた。
理想はいったん置いて、手近で可能性がありそうな人ならば、這いつくばってでも、関係性を保つ努力をするべきだと、なかば自分に言い聞かせるようになった。

そうして訪れた映画館。
とても緊張していた。
相手その人にドキドキするというより、どうやって「付き合う」という状態に持っていけばいいか?ということに対して考えがグルグル高速回転していたんだと思う。

部屋が暗くなり本編が始まったところで、「手を握ろう」とこちらに向こうの手が伸びてきた。
その瞬間、自分がまっさきに思ったのは「つなぎたくない」という方だった。

会うの2回目で手をつなぐのはなかなか自分にはハードルが高い。
いや、まあ、彼氏ほしいならその手に飛びつけばすむ話だろ、ってことなんだろうけど、ダメだった。

自分は気づかないようなフリをするものの、向こうの手は明確な意思を持ってつなごうとしてくる。

実は映画館で手をつなごうと言われたことが前にもあった。
実はその時も2回目のデートだった。
実はその時も同じ映画館だった。
実はその時も「無理だ」と思ったのだった。

あの時は、きっぱりと拒絶した。
きっと今より3歳若かったから。

でも今は、どうだろう。
これを逃したら次はあるんだろうか。
だってあの時より3歳トシとったし。

這いつくばってでも、努力するべきなんだ。
そう自分に言い聞かせ、手を握ることにした。

相手の手は温かかった。
他人の体温をじっくり感じることが久しぶりすぎて、素直に少しだけ感動した。

それでも時折、相手が緩急をつけて手を握る力に強弱をつけたり、指のにぎり方を変化させたりしてくるのだが、自分はなにもできなかった。

冷房と緊張で、自分の手は冷たくなっていく一方だった。
ひじ掛けに乗せたままの手を動かせず、血を指先に送り届けることがうまくできていなかったのかもしれない。
相手のアクションに反応するという指示も、うまく指先に伝達できなかった。

手を握る状態を続ける、ということで精いっぱいだった。

それはもはや意味があるのだろうか。

そんなことを思う自分は、本当に色気がない人間だと、あらためて思った。

映画が終わり食事をして、あたりさわりのない話をして帰った。
家に着いたらラインで連絡をくれと言われたので、ラインを送った。
なんだか疲れた。
よくわからないが、なんとか継続させなくては、と思う。

#cakesコンテスト #日記 #筆ペン #日常 #手書き

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