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父親の存在を尊重できたのは友人からのたったひとつのアドバイスだった〜櫻井はる枝さん〜


こんにちは。一般社団法人りむすびです。
子連れ離婚後も両親で子育てする共同養育を実践している女性「共同養育woman」特集。
今回は、ある友人からの言葉で共同養育の大切さに気づいたという櫻井はる枝さんを直撃インタビューしました。

・お名前 櫻井 はる枝さん
・ご職業 株式会社HARUE FLOWER ハルエフラワー代表取締役
     ハルエフラワーアカデミー 学長
・お子さんの性別・年齢  23歳男子(社会人)

・経歴
日本、オランダ、イタリア、フランス、ベルギーのフラワーライセンスを持つ世界で唯一のフローリスト。国内では、企業の空間プロデュースや次世代フローリスト育成を手がける。ヒューマンアカデミーにてフラワー講座のカリキュラム開発・テキスト作成慣習を行い、銀座校舎で優秀講師賞を受賞。輩出した花の有資格者は1,000名を超えるフローリスト育成のプロフェッショナル。
海外では、2016年にベトナムと日本の文化交流を深める「桜祭り」という国家的イベントにて15,000本の桜を用いた空間プロデュースや、2018年のアジア国際映画祭にて花を通して日本とアジア諸国の文化交流を深める取り組みを行ってきた。
近年、「花の世界のバリアフリー」をテーマに掲げ、特別支援学校や企業と連携し、講師歴36年のキャリアを活かした障がい者フローリスト育成の仕組み作りに取り組む。
プライベートでは16年前に別居、9年前に離婚。現在、社会人になった息子が事業展開の右腕を担う。


■共同養育をするようになった経緯をお聞かせください。

別居になったのが、当時息子が小学校2年生の頃。別居後も元夫の実家が近かったこと、祖父母に可愛がってもらっていたこともあり、別居後も変わらず祖父母に会いに行っていました。その際に父親も一緒に過ごしていたので、特に回数の制限などなく、自然体で会っていました。

私が元夫と顔を合わせることは一切なく、祖父母が送迎をしてくれるなどやりとりができていたのは助かりました。祖父母に対してはとても感謝もしていましたし、孫を会わせ続けたいという気持ちでした。

ただ、5回生まれ変わっても元夫とは結婚しない!と思っていたので、元夫と関わることには非常に後ろ向きで、正直な思いとしては会わせたくないと思っていました。息子もそんな私の気持ちに気づいてか、自ら会いたいとは言うことはありませんでしたね。


■共同養育に前向きになれたきっかけはありましたか。

息子が高校生になった頃でしょうか。ある信頼する友人から言われた言葉で私自身の考え方が変わりました。
その友人が言ったことは、「男の子は父親と良い関係をつくっておかないと、将来職場の男性の上司との人間関係がうまくいかなくなる」という助言でした。

「男性の上司」という具体的なアドバイスだったおかげで、頭の中でイメージしやすくなり、私は途端に「父親を尊敬できるように育てなくては。ちゃんと会わせなくては」と慌てふためきました。

そこで、息子の教育に関わる大きな支出がある時には、「パパ上に連絡をしなさい」と声をかけるようになりました。息子にとっては突然のことで不本意だったかもしれませんが、父親へ「ありがとう」を言える機会をつくりたかったんです。
息子は、父親からサポートを受けることで感謝し尊敬する気持ちが徐々に芽生えていったように感じます。

元夫も息子から頼られることで父親としての役割の意義を感じてくれたかもしれません。
私が父親の存在を尊重するようになってから、息子も父親と積極的に連絡をとるようになりました。


■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。

息子も23歳にもなり立派な大人ですので、直接やりとりをして会っています。息子に完全に任せていますし、息子と父親の関係に首を突っ込むつもりもないので、自由にどうぞという気持ちでいます。会った時の話は快く聞いています。

私が出向くことのない元夫側の親族の葬儀にも息子は参列するなど、父親と息子の関係にとどまらず家族という形での関わりも続いていますね。


■共同養育するにあたり困っていること、困っていたことはありますか。

自分の気持ちが不安定になりやすく心を整えることが大変でした。
元夫と直接の関わりはないので、なにか嫌なことをされるわけではないのですが、同居していた頃のわだかまりが心中に残っていましたので、不快な感情が湧き出てくることもしばしば。その自分の気持ちを抑えることに苦労しましたね。


■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。

私に対してなにかしてほしいということは全くないのですが、息子に対してよくしてくれれば十分です。今はもちろんですが、万が一元夫の身に何かあった時に息子になにかしら残してくれたらありがたいです。


■共同養育はどんなメリットがありますか。お子さんはもちろんご自身にとっても良いことがあれば教えてください。

私自身、仕事で年中飛び回っていたので、息子をひとりにさせずに、元夫そして祖父母が常に息子をみていてくれたのはとても助かりました。女手一つで子どもを育てていくのは大変なことですから。

気持ちの面で楽になったこともありましたね。息子が就職の報告した際に、「家庭が大変ななか、一人前の社会人になってくれてありがとう。悪かったな、身から出た錆だ。」といった内省があったとのこと。その言葉を聞いて、長年の許せなかった気持ちから解放されました。
もし、一切関わっていなかったら一生わだかまりがあったので、息子との関わりを通して私自身も乗り越えることができました。

息子はここ最近、更に父親との関係がよくなっているようです。先日父親と会った時に、共通の趣味の話で盛り上がったそうで、感性がとても似ていたとのこと。息子が一言「俺、やっぱり父親の息子なんだなーってあらためて思った」と。
息子が血の繋がりを再認識する機会となったのも継続して会い続けていたおかげだと思います。

元夫は、「あいつはガミガミ言うけれど、そのおかげで立派に育ったんだぞ」「あいつはいい加減だからちゃんとみてあげるんだぞ」と悪口を交えながらも私のことを会話に出すそうです。時が関係を変えていくことを感じさせられますね。


■ご自身のこれからの夢やビジョンがあれば教えてください。

「花の力で障がい者の雇用と生きがいを創ること」をモットーに、花の世界のバリアフリーをつくることをこれからも使命として活動していきます。また、貧困対策としてアジアの貧困な国でのプロジェクトも動き始めています。

プライベートでは、結婚にとらわれることなく、食事をしたり話をしたりできる素敵なパートナーがいたらいいですね。息子には、後悔せずやりたいことをやって生きていってほしいですし全面的に応援していきたいです。

この記事を読んでいる方の中には、夫婦問題の渦中で辛い思いをしている方もいると思います。私は、もし友人から「父親とは会わせない方が息子のためだ」とアドバイスされていたら流されていたかもしれません。周囲の人の言葉ひとつで息子の人生も変わっていたかと思うと恐ろしいことですし、気づきのきっかけはとても大切なこと。
こうやって時を越えてきた先人の経験が、たったひとりにでも響くきっかけになればうれしいです。

企画・取材 一般社団法人りむすび

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