#5 さっぽロックvol.95

調べてわかる範囲でだが、2009年、WDCの北海道予選があった。
当時は大学1年生。
大学の1個上の先輩と一緒に2on2に出たのを覚えている。
それと同時期に始まったのが、今や「札幌 ロック」と検索したら当たり前にHITするである老舗イベント。
そう、さっぽロックだ。

自分は、高校2年生からダンスを始めた。
バトルに出始めたのは大学に入ってから。
その年にタイミングよくWDCの北海道予選が開催され、同じ年にさっぽロックが始まった。
ダンスを続ける中で、「自分っていい巡り合わせでダンスができているな。」と感じる出来事がいくつもある。
バトルに絞っていえば、WDC開催とさっぽロックvol.1は自分にとって「いい巡り合わせ」であったと振り返り、そしてそれは過去の1点思い出ですでに完結した出来事ではなく、今に続いているものだと思う。


世代は変わる、でも、つながっている

そんな自分も現在33歳。
今年は2024年。
34歳になる。
そして、さっぽロックは16年目となる。
当時大学1年生だった自分が、4月からは社会人12年目。
始まった当初は、学生・大人部門では年齢的に一番下の世代。
当時いた先輩方・同世代は、道外に行ってしまったり、諸所諸々の事情で今は現場にいなかったり。
今や、自他ともに認める最古参。
歳とったなと感じる。

そんなに長い月日が経つと、当時キッズだった子がDJをしていたり、自分が社会人になる前後で当時学生だった子たちがオーガナイザーとしてイベントを引っ張っているのも、当時学生だった自分には想像もつかない事だ。
ただ、自分が16年月日が経つ中で、周りも同じく時間が経過し、歳を取り、人として大きくなっていくんだから、そういった過去と現在で違った立ち位置にいるのは当然だ。

今回、キッズサイドのグラチャンがあった。
今や、オーガナイザー陣が教えている子達や、自分よりも下の世代がインストラクターとして日々教えている門下生達が、さっぽロックのキッズシーンを支えている。

キッズのメンバーは一新。
世代は変わった。
だが、そのキッズを支えるのさっぽロックの歴史の中で成長してきた世代であり、彼ら・彼女らが積み上げてきたものが、今のキッズ達に脈々と受け継がれている。
それが、今のキッズ達の土台となり、現在進行形の新たなものを吸収し、さらに成長させている。
そんな気がした。


バトルに対する意気込み

1年間を通した予選会。
優勝、準優勝が本選に進める。

優勝・準優勝に輝いた子達も勿論、その2つの称号を得ることができなかっと子達も、すごいダンスをしている。
その結果、予選通過・ベスト8・ベスト4という結果を残している。
ただ、この1年間については、
「優勝」「準優勝」
その2つの称号を得ることがゴール。
この2つを手に入れなくては、グランドチャンピオンシップの場に立てない。
その為、予選会で勝てなかったら、勝つまで出続けなくてはならない。
もし、今自分が子供で、ロックダンスをやっていて、同じ境遇だったら、絶対心が折れる。
このグラチャンの最終予選まで出続け、勝った子、負けた子それぞれいるが、本選に出れた子も、出られなかった子も、この1年間を出続けた事。
この事実はグラチャン優勝とは全く別物だが、しっかり誇るべき勲章であり、結果であり、事実である。
自信をもって自分を褒めてほしいと最古参は感じる。

話は自分のことになるが、自分はバトルへ挑む意気込みで、良くない点がある。
それは、負ける事への悔しさがない点だ。
全く悔しくない訳ではない。
悔しい事はたまにある。
ただ、ほぼ悔しいと感じて感情を爆発させることはない。
それって、バトルに出ているのに、勝ち負けにこだわっていないのだろう。

ただ、この1年間、自分がキッズサイドで見てきたものは前述の自分とは180°違ったバトルへの意気込みだった。
キッズ達のバトルへ向かう姿勢は、結果として負ける事への悔しさをしっかりと露わにしていた。
悔しい表情、悔し涙、それらを幾度も目にした。
正直、心が痛い。
勝手に自分は、「この悔しさがきっかけで、ダンスが嫌になって辞めちゃう子・・・出てきたりしないかな?」という不安を感じていた。

そんな心配をよそに、みんな出続け、挑み続け、グラチャン当日も最後の2枚の切符をもぎ取るべく、足を運んでいた。
本気で挑んでいる故に、悔しさは正直な感情表現であって、しっかり受け止めなきゃいけないんだなと思った。
受け止めたうえで、折れずに出続ける。
それって本当にすごい事。
自分を褒めてね、もう一回言うけど。
そして、誇ろう。
自分たちは挑み続けたんだと。


みんなドラマの主人公

回を重ねる毎に、前回までのあらすじがどんどん増えていく。
前回も当たったあのカード。
同じ先生に習うもの同士の、同門対決。

出る人それぞれにそのドラマがあって、途中で重なる部分はあるが、みんなそれぞれ別の世界線で動いていると感じる。
なので、みんな主人公だと感じる。

そんな主人公たちが集まる場は、例えるならMCUのマルチバースの様だった。
ただ、優勝者はその主人公集団でも特出して主人公で、MCUでいうアイアンマンだった。
一方で、たとえ優勝できなくても観てる人の印象に残り下手したら優勝に匹敵するインパクトを残した人もいて、M-1でいうオードリーや初出場時の錦鯉、2023年のヤーレンズの様だった。

バトルはその日限り。
ただ、そこまでに続けてきたものはしっかりと見える。
その日に挑むまでの背景、前回大会の結果。
それらはジャッジには関係ないだろうし、ましてや勝敗には何も寄与しない。
ただ、観ている人には、少なくとも自分にはその背景が加味されて各バトルが目に入っていた。

唯一あった地方予選の旭川にもしっかりと出る、札幌の子の意気込み。
この1年間で他のイベントで見たダンスやその勝敗。
予選会1回目の時とこのグラチャンまでの成長過程。
それらは他の誰にも代役は出来ない。
そして、その子のダンスにしっかりと活かされているもの。

そういった点で、当日予選の結果や、各試合のマッチメイク、そして優勝者はとてもドラマチックだった。


あとがき

いろんな場所で言っている・書いているが、ここまで書いているのに、自分はオーガナイザーではない。
ただのいち視聴者、観戦、エントリーした人なだけ。

でも、思う事(文句や苦情じゃなく、ポジティブな内容で)はあって。
それを書き出してみた。
正直、結果についての総評を書くと、何をえらそーにってなるから書かないし、まして1回もジャッジしてないんで。
なので、観てきた中で感じたいい事を振り返り書き出してみたのが今回の内容。

今回のグラチャンで自分も改めて感じ直したこと、考えた事、そして得たものがあった。
それを今後の自分の活かしていこうと思う。
最後に、関わったすべての皆さん、お疲れさまでした。
そして、また、さっぽロックでお会いしましょう。

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